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鐵岩からV列車で汾川へ

東海サンタ列車は、正東津から1時間40分ほどで鐵岩に到着。ここは日本の夕張や筑豊と同様に、かつては炭鉱の町として栄えたところ。広い駅の構内には何本もの留置線があり、今も一部で採掘がおこなわれているようで、向こうにある大きな建物は石炭の集積施設らしい。

▲ 鐵岩駅に到着

留置線には重連で運用される貨物用8500型電気機関車が待機中。韓国ロテム製だが、中身の電装品は東芝製。ボギーの無蓋貨車も多数。

▲ 駅の構内に貨車が並ぶ

鐡岩で東海サンタ列車から下車。ホームの向かい側に停車中の白頭大幹峡谷列車、略称V列車(ValleyのVかな)に乗り換え。

▲ 東海サンタ列車からV列車に乗り換え

先に鐡岩を発車して行く東海サンタ列車。なお、その後のダイヤ改正により、2024年7月現在ではV列車が先行し、東海サンタ列車と接続しなくなった。

▲ 発車していく東海サンタ列車

2013年に運行を開始したV列車の先頭に立つのは、ゼブラ塗装の4400型電気式ディーゼル機関車。本来は入れ換え用の機種で、全区間架線の下での運用だが、低速走行の短編成の列車には、高価な電気機関車よりふさわしいのかも。

▲ DL牽引のV列車

乗車するのは、韓国唯一のトロッコ客車だが、空気バネ台車を履いていて、トロッコと呼ぶには立派すぎる車両。

▲ ホームの乗車位置Vマークとトロッコの客車

3両のトロッコ客車の後ろには、ステンレス車体のセマウル号の電源車を連結。

▲ 最後尾の電源車

トロッコ客車の側面は3段窓に加えて、肩の部分にも明り取りの窓。天井には扇風機。床置きのエアコンらしきものも。

▲ V列車の車内

座席は前後方向と窓向きの転換式クロスシートを千鳥配置。中央部にはストーブを置いて、煙突が天井を突き抜けている。この座席でセマウル号の特室運賃の適用はどうかと思うけど、運行距離が短いので運賃としてはリーズナブル。

▲ 千鳥配置の座席と中央にストーブ

鐡岩の隣の銅店も廃止された駅だが、信号所として交換設備は使われている模様。

▲ 信号所

白頭大幹峡谷列車の名のように、V列車の車窓には洛東江源流域の渓谷美が展開するが、はっきり言ってルート変更で廃止された旧山陰本線の線路を活用した、京都の嵯峨野観光鉄道の保津峡の方が渓谷が深く、車窓の眺めは格段に優れている。

▲ 車窓の吊り橋

V列車は鐡岩から2駅目、川に面した2面2線の承富で停車。何故かホームでは、白雪姫と7人の小人が出迎えてくれる。魔法使いのおばあさんの姿も。

▲ 白雪姫と7人の小人がお出迎え

10分程度の停車時間を利用して、乗客は車外へ。途中駅で停車時間を設けているのは、嵯峨野観光鉄道よりV列車が優れているところ。

▲ 承富駅のV列車

ここは定期の旅客列車や貨物列車が運行されている路線だが、下車した乗客は線路内に立ち入りウロウロ。この時間には交換列車や通貨列車は来ないのか、乗務員が注意する様子もなく、日本も昔はこうだったけれど。

▲ 線路に立ち入る乗客

調子に乗って、機関車のデッキに登ってポーズをとる輩まで。

▲ デッキに乗る輩も

車窓に沈下橋のようなものが見えるけど、その下流側には岩がゴロゴロ。

▲ 車窓の沈下橋?

V列車は、続いて1面1線の構造で川に面した側にホームのある両元へ。ここでも10分ほどの停車時間を設けている。

▲ 両元駅のV列車

ホームにはベンチと電話ボックスのような待合スペースがあり、V列車のマークとともに駅周辺の案内看板も。

▲ 両元駅ホームの案内

川の対岸の黄葉が美しい。

▲ 対岸の山は黄葉している


サンタクロース村の汾川駅

こうして、ムグンファ号や東海サンタ列車が40分で走破する区間を1時間かけ、V列車は終点の汾川に到着。

▲ 終点の汾川に到着

先に着いている東海サンタ列車が、向こう側の留置線に停車中。

▲ 先着の東海サンタ列車と並ぶ

汾川に嶺東線が開通したのは、戦後の韓国発足後の1956年。その後1970年ごろまでは木材の出荷で賑わったが、林業の衰退とともに過疎化が進行。村おこしのため、2014年から汾川駅周辺を“サンタビレッジ”として整備し、一年中、列車名にもなっているサンタクロースの姿。夏服のサンタクロースもいるが、暑苦しそう。

▲ 夏服のサンタクロース

そりを牽いているのは、白い斑点からみてトナカイではなく鹿? 駅舎の横にあるサンタクロースがよじ登っているレンガの煙突は、後から追加したと見受けた。

▲ トナカイではなく鹿がそりを牽く

少なかったV列車の乗客は、駅前広場で思い思いに過ごしている。この後どこへ向かうのだろう。

▲ 駅前広場

汾川駅を通る定期旅客列車は、1日わずか4本のムグンファ号だけ。ソウルへ帰るため、嶺東線のこの先、中央線に接続する栄州に抜けるなら、V列車がもう一度鐡岩を往復した後に栄州行きとなって戻ってくるまで、待ち時間は3時間以上。

▲ 郵便局らしい

遠くに教会のような建物も見える駅前の集落も散策してみたかったが、V列車の到着から14分後に来る東海行のムグンファ号に乗って、今来た道を折り返すことにして、既にソウルの永登浦で切符を購入済み。

▲ 汾川駅前の街並み

汾川では数枚の写真を撮っただけでホームに向かおうとしたら、構内踏切の遮断機が閉まったまま。駅舎内にいる駅員に声を掛けたら上げてくれた。次のムグンファ号に乗車する客など、いないと思っていたのかも。

▲ ホーム側から見た汾川駅舎 遮断機を上げてくれた

駅舎側のホームに停車中のV列車が、機回りして電源車側に機関車を付け替えるのは、ムグンファ号の発車後。

▲ 折り返し待ちのV列車

江陵に向けて折り返し待ちの東海サンタ列車の横に、

▲ 折り返し待ちの東海サンタ列車

8500型電気機関車が重連で牽引する、栄州方面行きの貨物列車が入線してきた。

▲ 貨物列車が入線

有蓋貨車の後ろに、多数のタンク貨車を連結している。

▲ ボギーの有蓋貨車やタンク車を連ねている