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発車時間が迫ってきて、やっと乗車ホームの番線が表示され、改札を開始。ヨーロッパの駅は改札がないなどといわれているが、スペインの高速鉄道は荷物検査に加えてホームの入り口でチケットのチェックがあり、空港に近いシステム。
大半の乗客はネットで買ったチケットをスマホに表示し、駅員が端末で画面のQRコードを読み取り。中にはプリントしてきた紙を差し出す乗客もいるが、窓口で買った切符らしきものを持っている人は見かけない。
▲ 改札はスマホか紙のQRコードを読み取り
今朝 renfe のホームページで購入し、スマホにダウンロードしたe-ticketを見せて通ったが、自動改札機より読み取りに時間がかかる。
▲ トレド行 Avant104型
トレド行のAVANT S104型は、1編成の4両ともツーリスタクラス(2等車)。座席は2+2で回転せず、中央の仕切のような壁の両側で集団見合い型の座席配置。1両に4箇所のボックス席があるが、テーブルは設置していない。
先頭の1号車には売店のカウンターがあったが営業していない様子で、プレファレンテ(1等)を想定した座席が2+1の配置の合造車。同じ運賃でも1号車は当たり席だが、指定されたのは2+2の3号車。2022年10月段階のスペインでは、公共交通機関の車内でマスク着用が求められていたが、概ね守られていた。
▲ 当時はマスク率が高かった
コルドバ方面のAVE S100を横目に、定刻にアトーチャ駅を発車。
▲ AVE S100の横を抜ける
車窓には、車両基地に並ぶ高速列車の編成。日立製のフレッチャロッサ1000の同型車をイタリアから持ち込み、格安高速列車に参入予定(その後2022年11月に運行を開始したらしい)の iryo の姿も。
▲ イタリア鉄道のiryo
車体に adif と書いたAVE S102と同型の機関車が、わずか3両のタルゴ客車を挟む編成。調べてみると、上下分離のスペインで、線路や駅などを保有する国有企業、“スペイン鉄道インフラ管理機構”の略称がADIFで、この車両は電気試験車A-330。日本の新幹線のドクターイエローのような存在なのかも。
▲ adifの検測車 A-330
アトーチャ駅を発車して郊外へ、20分ほど走るとコルドバ方面に向かう本線からトレドへ向かう路線が分岐。
▲ コルドバ方面の本線から分岐
車内で検札はなく、アトーチャ駅からわずか30分程で終着トレドに到着。駅の出口はフリーパス。
▲ トレドに到着
乗ってきた編成以外に2本のAVANT S104が停車中。この日は祝日で、午前中は満席にもかかわらず平日と同様に概ね1時間間隔の運行。車両は余っているのに、休日は増発という柔軟性はないのかな。
▲ トレド駅のAVANT S104
外観は教会ふうで、世界でも屈指の美しい駅舎として知られているトレド駅。
▲ ホーム側から見た駅舎
駅舎内のアーチや幾何学模様はイスラムふう。
駅舎内のホーム側の面には、木組み細工でつくられ中央に時計が掲げられたコーナーが。ネットから購入が一般的になった今は閉まっているけど、鉄柵の向こうに小さな窓口らしきものがあるので、かつては乗客が列をなしていた切符売り場でしょう。
▲ 木組み細工のもと切符売り場
駅前広場から見上げる駅舎のシンボル、高い時計塔。
▲ トレド駅舎と駅前広場
トレドに来たのは21年ぶりの2回目。前回はまだ高速新線の開通前で、国電セルカニアスの終点アランフェスから広軌のローカル線がトレドに延びていて、アトーチャ駅から直通の区間快速のような在来線の列車に乗ってきたときは1時間を要した。同じトレド駅まで標準軌の高速新線の乗り入れで、このローカル線は廃止されたらしい。
▲ 2001年 在来線時代のトレド駅
トレド駅からトレドの旧市街へは徒歩でも20分ほどだが、駅前から路線バスで。車窓に丘の上のアルカサルが見えてきた。
▲ 車窓のアルカサル
この先、一旦バスターミナルに立ち寄ったあと、地元乗客のために新市街を大きく迂回して何ヶ所かに停車したあと、坂道を上って城壁にあるビサグラ門の横からトレド旧市街の中へ。
▲ ビサグラ門
路線バスの終点は、軍事博物館になっているアルカサルの近くのソコドベール広場。駅からのバスは大回りするので、徒歩と所要時間はあまり変わらないのかも。
▲ アルカサル
広場には汽車型の遊覧車ソコトレンの乗り場があるが、祝日のためか混雑していて停車中の便は既に満席。何とか30分後の切符をゲット。
▲ ソコトレン
周辺をウロウロして時間をつぶしてからソコトレン乗り場に戻ったら、すでに乗客が乗車済。各席毎にドアがあるので、最後に余った席に乗り込むと進行方向右の窓側になり、残り物に福の特等席。
▲ テージョ川を渡って旧市街の外へ
旧市街の東、南、西の3方に湾曲して流れるテージョ川に囲まれたトレド。ソコドベール広場を発車したソコトレンは急な坂道を下り、新しい道路橋を渡って旧市街の外へ。トレド駅から歩いて旧市街へ向かう場合は、東側に架かる石積みのアルカンタラ橋を渡り、10世紀のアルカンタラ門から入ることに。
▲ アルカンタラ橋とアルカンタラ門
ソコトレンは右側に旧市街を眺めながら、川に沿った対岸の道を進みます。坂を登りつめたところがトレド旧市街を一望するミラドール・デル・バイエ。ここで5分程度の小休止。
▲ ミラドール・デル・バイエから見たトレド旧市街
アルカサルにズームアップ。トレドで最も高い標高548mの丘に立つ、4角に塔のある長方形のアルカサルは、3世紀のローマ帝国の宮殿跡に、11世紀にイスラムの支配からトレドを奪還した国王が要塞を建設したものを、16世紀に改築。20世紀のスペイン内戦で破壊されたあとの再建だとか。
▲ アルカサル
その横の尖塔はトレド大聖堂。
▲ トレド大聖堂
さらに左の高台には、サン・マルコス教会、イエスズ会教会などが並びます。
▲ イエスズ会教会など
ソコトレンは旧市街西側の入口、サン・マルティン橋を通り過ぎた先の新しい橋でテージョ川を渡り、
▲ サン・マルティン橋
城壁をくぐって旧市街の中へ。ソコドベール広場に戻るまで、一周40分ほどのコースです。
▲ 城壁をくぐって旧市街へ
トレドの外側から全体像を掴んだ後は、GoogleMapを頼りにこんな迷路のような路地の続く旧市街の散策へ。
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旧市街の路地
空間が開けると、大聖堂側面の獅子の門のところにに出た。
▲ トレド大聖堂の獅子の門
こちら側が正面。幅が59m、奥行きが120mのサンタ・マリア・デ・トレド大聖堂は、スペインカトリックの大本山。13世紀の前半に建設が始まり、260年余りをかけて15世紀末に完成。左の鐘楼の高さは90m。右には礼拝堂のドーム。
▲ トレド大聖堂の正面
ズームアップすると中央の門の上、中央横一列に並ぶのは、キリストと12使徒の最後の晩餐。18世紀に追加されたものだとか。
内部は、こちらからご覧ください。
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中央にキリストと12使徒の最後の晩餐
大聖堂前の三角形の市庁舎広場に面して建つ、15世紀のトレド大司教宮殿。二重の柱を持つ正面のファザードは16世紀だとか。
▲ トレド大司教宮殿
三角形の広場ももう一面には、左右に2本の塔がある17世紀のトレド市庁舎。三階のバルコニーに翻るのは、EU、スペイン、カスティーリャ・ラマンチャ自治区、トレドの4本の旗。
▲ トレド市庁舎