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アスワンへ

翌日は飛行機でアスワンに向かいます。アスワンはルクソールからさらに南へ、カイロから930km。エジプト最南端にあるヌビア地方の入口です。アラブ系の顔をしたエジプト人に対し、ヌビア人は隣国スーダンにつながる黒人系の人々です。アスワンの街には自動車とともにロバが行き交います。

アスワンではロバも立派な交通機関 アスワンハイダム完成記念塔

20世紀初頭のイギリス統治下に、ナイルの氾濫の防止と灌漑の目的で、アスワンダムが造られましたが、目的を達することはできませんでした。1972年にそのすぐ上流にアスワンハイダムが建設され、水力発電によりエジプトのエネルギー事情はよくなったものの、背後に奥行きが500km以上に及ぶナセル湖が出現したことは気候の変化をもたらし、遺跡の保存には悪影響を及ぼしているとのことです。

私が訪れた当時は湾岸戦争の直後で、クエート側にたったエジプトに対して、イラクからアスワンハイダムを破壊するとの脅しがあり、警戒のためダム周辺は撮影禁止の措置がとられていました。

5つ星のカタラクトホテル正面玄関 切りかけのオベリスク

アスワンダムのすぐ下流の河岸段丘の上には、アガサクリスティーの小説“ナイル殺人事件”の舞台となったカタラクトホテルが当時の姿のままで高級ホテルとして営業しています。

アスワンは花崗岩の産地です。市街地からほど近い古代の石切場には、途中でクラックが入ったため放置された、切りかけのオベリスクが残されています。

 


アブ・シンベル神殿

アスワンからナセル湖畔を南西へ300kmのところにアブ・シンベル神殿があります。ラムセス2世により紀元前1250年に建造されたもので、ヌビア人に対する権威と畏怖の念を抱かせるために建造されたといわれています。砂岩の岩山をくりぬいて造った岩窟神殿で、1831年にスイス人によって発見され、砂に埋もれた神殿の発掘には1909年までかかったそうです。

アスワンハイダムの建設によりこの神殿が水没する危機にみわれたとき、ユネスコによる遺跡の救済キャンペーンが行われました。世界から集まった資金をもとに、小さなブロックに切り分けられて、62m高い位置への移設工事が行われました。

ダムに水没する左位置から中央に移設した大神殿 ラムセス2世のアブ・シンベル大神殿

この神殿を見るためだけに、アスワンからアブ・シンベルへ、飛行機で往復します。空港からバスで到着すると、向かって左に、高さ20mの巨大な4体のラムセス2世の座像のあるアブ・シンベル大神殿、右に結婚25周年を記念して王女ネフェルタリに贈ったとされるネフェルタリ小神殿があります。

アブシンベル大神殿の内部の壁画に見る古代の神々 王女ネフェルタリの小神殿

いずれの神殿も、中央の入口から中にはいると、王家の谷の王墓と同様にいくつもの部屋に分かれ、鮮やかな壁画が当時の繁栄を現代に伝えています。

アブ・シンベル大神殿は、カイロから南へ1200km以上、数十km行くと、そこはもう隣国スーダンとの国境です。

 


旅のヒント

私がエジプトに行ったのはもう10年以上も前のことです。でも、最初にも書きましたがエジプト5000年の歴史から見ればわずか0.2%、治安に問題が生じてきた以外は、おそらく何も変わっていないと思います。

エジプトは、日本人が観光で入国する場合でもビザが必要です。でも、高い手数料を払って旅行会社にビザ取得の代行を申し込んだり、時間をさいて日本にあるエジプトアラブ共和国大使館に行かなくても、入国審査の場で切手を買うような調子でその場でビザの発行が受けられます。

博物館や遺跡によって、カメラやビデオカメラの持ち込みに制限があります。私が行った当時は、カイロのエジプト考古学博物館は、当時のレートでカメラの持ち込み料が400円、ビデオカメラはその10倍でした。ピラミッドはカメラのみ可。王家の谷の王墓内は、当時は全て撮影不可でしたが、今ではカメラ持ち込み料を払えば可能なようです。アブシンベル神殿はいずれも可、とそれぞれの場所で対応はバラバラです。また、いずれの場合もフラッシュは不可、ひどく怒られますから高感度フィルムを用意しましょう。屋外の遺跡の撮影は自由ですが、軍事施設の関係でしょうか空港などは撮影禁止でした。

エジプトを旅行するときは、乾燥と暑さ対策には十分に気を付けましょう。ベストシーズンは冬ですが、カイロは寒いこともあるそうです。また、アブ・シンベル大神殿はライトアップした写真を掲載していますが、予定では昼間に見学することになっていました。飛行機の時間が遅れたため、当日の夕食は11時近くになってしまいました。

カイロには日本料理屋中華料理もありますが、エジプト料理は日本人にの口には合わないものが多いように感じました。エジプトでは予定通りには動けないことが多く、身体のリズムを保つのが大変です。

でも、ピラミッドや王家の谷など、エジプトの遺跡はすばらしく、また、カイロの夜のナイル川ディナークルーズ船の上で行われる妖艶なベリーダンスなど、魅力がいっぱいです。ぜひ若くて体力のあるうちに訪問されることをお勧めします。

次回のエジプト訪問時には、地中海の海中からクレオパトラの神殿跡が発見されたアレキサンドリアへ、カイロから列車の旅に出かけたいと思っています。

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