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LCC格安航空でポルトからマドリードへ

こうしてポルトガルに入国してポルトまで行きました。ポルトで1泊したあとリスボンに移動して2泊し、リスボンからマドリードへ夜行列車で戻る計画で寝台券を手配していたのですが、その寝台列車に乗る予定の日がゼネストに当たってしまいました。

ヨーロッパの金融危機で、EUに金融支援を要請したポルトガルは財政再建に取り組んでいますが、国内の2大労働組合を中心に緊縮財政反対のゼネストが行われることに。日本出発の3日前に在ポルトガル日本大使館のホームページでこれに気付き、リスボンを1泊で切り上げて前日の夜行列車に変更しようとしたところ、スペイン国鉄Renfeのサイトではゼネスト当日に加えて前日も予約できなくなっています。これはまずいことになってきました。

ポルト国際空港のLCCライアンエアー ライアンエアーB737の機内

ゼネストではポルトガル国内のほとんどの公共交通機関が止まるとのことで、リスボンで足止めになると、最悪の場合はマドリードからの帰国便に乗れなくなる危険性もあります。

やむなくリスボン行きはあきらめてポルトにもう1泊して、ゼネストの前日に格安航空“ライアンエアー”でマドリードに脱出する計画に変更しました。ライアンエアーの黄色い機内は自由席。シートピッチは特に狭いとは感じなかったものの、シートはリクライニングせず、到着後の掃除の手間を省くためかシートポケットもなく、安全のしおりは前席の枕の後部に貼ってあります。

チャマルティン駅のカフェテリアで夕食

1週間前の予約で、航空券だけなら29.9€、約3000円。有料の荷物預け等も含めても、6000円でおつりが来るので確かに安い。ポルトから正味一時間のフライトで、この旅行で2度目のマドリードバラハス国際空港に到着して、地下鉄でチャマルティン駅前のホテルに移動。疲れたので夕食はチャマルティン駅構内をぐるっと回って、カフェテリアで済ませます。

 


チャマルティンからメディアディスタンシアでアビラへ

翌日は、マドリードから西北西に約90kmにある城壁の街アビラと、北西に約90kmの位置にある水道橋で有名なセゴビアに行くことにしました。朝のチャマルティン駅から在来線のビトリア行きメディアディスタンシアに乗ります。5車体連接の449型電車を使っています。

ビトリア行きのメディアディスタンシア(電車) サラマンカ行きのメディアディスタンシア(ディーゼルカー)

同じホームには、15分後に出るサラマンカ行きのメディアディスタンシアもスタンバイしています。こちらは、サンチャゴ・デ・コンポステラからビーゴまで乗ったのと同じ3両編成の599型ディーゼルカーです。

メディアディスタンシアは全席指定。座席は集団見合い型のクロスシートで回転はできません。窓口で購入するときに窓側を指定したら、出入り口の隣の後ろ向きに当たってしまいました。車内は空いていたので、真ん中のテーブルのある4人のボックス席に移動します。検札にきた車掌も何も言いません。隣のシニアの男女4人組はアメリカからの観光客で、やはりアビラまで行くのだとか。

メディアディスタンシア(電車)の車内 尾根に沿って現代の風車が立ち並ぶ山間部の車窓
アビラ駅を発車するビトリア行きのMD アビラ駅に留置のディーゼル機関車

列車はマドリードの市街地を抜けると緑豊かな山間部を走ります。カーブが多く、余りスピードは出ません。乗車時間1時間半ほどで、アビラに到着です。ここは標高1100m、人口46,000人の街です。

ホーム横の留置線には貨車と2両のディーゼル機関車が停車しています。写真を撮っていると、マドリード方面行きのメディアディスタンシアが入線してきました。しばし停車後、軽いモータ音を残して走り去ります。


アビラ駅を発車するマドリード・チャマルティン行きのメディアディスタンシア(449型電車)

しばらくすると今度は、チャマルティン駅を15分後に発車したサラマンカ行きのメディアディスタンシアが到着し、エンジン音を響かせながら発車していきます。アビラから分岐するサラマンカ方面の路線は電化されていないのでしょう。


アビラ駅を発車するサラマンカ行きのメディアディスタンシア(599型ディーゼルカー)

駅をあとに、歩いてアビラ旧市街に向かいます。まずは途中にあるバスターミナルに立ち寄り、先にセゴビアまでのバスの切符を買っておきます。アビラ−セゴビア間は鉄道では遠回りで乗り換えが必要となることから直通の路線バスが便利ですが、本数が少ないので時間の確認が必要です。

スペイン国鉄アビラ駅 アビラのバスターミナル

 


  城壁に囲まれたアビラ旧市街

バスターミナルから新市街をサンタ・テレサ広場に向かいます。アビラは、城壁のほかに、サンタ・テレサという聖女の生まれた街としても有名だそうで、“アビラ旧市街と市壁外の教会群”として世界遺産に登録されています。サンタ・テレサ広場に面した旧市街の入り口の門の一つ、アルカサル門の横にサンタ・テレサの像があります。

サンタ・テレサ広場 旧市街の入り口アルカサル門

門をくぐって旧市街に入ったところに城壁への登り口があったので、チケットを買って階段を上ります。城壁は11世紀にイスラム教徒から街を奪還したキリスト教徒が、敵に襲撃に備えて築いた高さ12m、幅3mで全週2.5mに及ぶ石の建造物です。

その上から、内側の旧市街や外側の新市街が見渡せます。旧市街を取り囲む城壁は完璧に残っているのですが、その上の通路は途中で行き止まりになっていて、一周はおろか歩ける範囲はごくわずか。

サンタ・テレサの像 アルカサル門から中に入ると城壁の登り口がある
城壁の外に広がるアビラの新しい街 城壁の上の通路は前方のカテドラルで行き止まり

 

アビラのカテドラル

アビラのカテドラル、大聖堂はゴシック様式で12世紀に建設が始まり14世紀に今の姿となりました。後陣が城壁とつながって要塞のようになっています。この上から街に攻め入ろうとする外敵と戦ったのでしょう。旧市街の内側を向いたカテドラルの正面に向かって右側に塔がないのは、未完成のままなのだとか。

城壁とカテドラルやその他の建物が一体化

アビラのカテドラル

キリストの生涯を描いた祭壇屏

内部には、主祭壇の手前に祭壇屏があり、キリストの生涯を彫られておます。また、隣の宝物館には銀製の聖体顕示台をはじめ数多くの美術品が展示されています。

カテドラルの内部 聖体顕示台

 

サンタ・テレサ修道院

次に、サンタ・テレサ修道院に向かいます。ベビーカーを押した若いお母さんに道を尋ねる、といっても言葉が通じないのでスペイン語が併記してある日本語ガイドブックのページを開いて指さすだけですが、親切に教えてもらえました。

サンタ・テレサ修道院 修道院の祭壇

サンタ・テレサはユダヤ系キリスト教の家に生まれ、カルメン修道会の改革を進めた人だそうで、バロック様式のサンタ・テレサ修道院は17世紀に彼女の生家跡に建てられたのだとか。

メルカード・チコ広場 サン・ビセンテ門

このまま旧市街を通り抜けて川を渡ると、クアトロポステスという外から城壁越しに旧市街を望める撮影ポイントがあるのですが、カテドラルで時間を取りすぎて、セゴビア行きのバスの発車時間が迫ってきました。市が立つのでしょうか、旧市街の中心にあるメルカード・チコ広場を抜けて、サン・ビセンテ門を目指します。

城壁前のミニトレイン 延々と続くアビラの城壁

城壁の上の通路は途中で行き止まりになっていますが、先にアルカサル門で買った城壁のチケットには、ここサン・ビセンテ門の入場券も付いています。城壁に登っている観光客はいるのですが、入り口がどこにあるのかよくわかりません。ついに時間切れでバスターミナルに向かいます。