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香港のトラム完乗

トラムには、途中から分岐線として、跑馬地(ハッピーバレー)の競馬場の周りをぐるっと回る線があります。この分岐線にだけはまだ乗っていなかったので、跑馬地行きの電車を待ちます。

電車はとぎれることがなくやってきます。香港島でもっともにぎやかな中環(セントラル)、灣仔(ワンチャイ)を過ぎ、銅鑼灣(コーズウェイ・ベイ)の直前で波斯富街を南に右折します。単線となって住宅街のようなところから競馬場に沿って進むと島式のホームがあり、やがて終点の跑馬地に到着します。

砲馬地(ハッピーバレー)のトラム
行き先方面でホームが分かれる
正面が曲面の1枚ガラスになった香港市電の新型車

跑馬地のターミナルでは、東の筲箕湾方面行きと西の堅尼地域方面行きでホームを使い分けており、次々と電車が発車していきます。競馬場のまわりを一周した電車は、天楽里で再び東西に走る本線に合流します。

正面が曲面ガラスの1枚窓になった新車もやってきます。白とダークグリーンが香港のトラムの標準色なのでしょうか。今のところ新車に広告塗装は無いようです。

新車では、ロングシートだった1階席もクロスシートに変わり、2階も含め従来の駅のプラスチックベンチのようなシートから 、バス並みのシートに進化しています。でも、台車は相変わらずの2軸に吊りかけモータですから、新しいのは車体だけです。風通しが悪そうですが冷房が入るのでしょうか。

 


ビクトリアピークと香港の夜景

中環に戻り、今度は100万ドルの夜景を見にビクトリアピークに向かいます。ケーブルカーのピークトラムが有名ですが、昨年乗車しているので、今回は二階建ての路線バスにします。狭い急勾配の山道を、ロンドンと同じ背の高いダブルデッカーが走る姿は迫力があります。

 
夜のビクトリアピークに到着するピークトラム   九龍半島から見た香港島の中環 中央の山がビクトリアピーク

中環まで降りてきて、今度は天星小輪(スターフェリー)でビクトリア港を九龍半島側の尖沙咀(ツィムサーツィ)にわたります。わずか7分の乗船ですが、船から見る両岸の夜景は絶景です。

香港の夜景については、こちらもご覧ください

夕食後にマンゴープリンを食べに尖沙咀西の広東道にある昔からの中国風デザートの店、唐朝に立ち寄ります。最近表参道に出店し、いつも店の前に女性の行列ができていますが、香港の本店は待たされることもなく入れます。入り口に「日本橋高島屋店3月開店」と書いてありました。もちろん日本語で。

唐朝九龍本店ののマンゴープリン 九龍のメインストリートネーザン通り

九龍のメインストリート彌敦道(ネーザンロード)の下を走るMTR荃湾線で旺角(モンコック)へ、毎日が縁日のように夜店で賑わう女人街油麻地(ヤウマティ)の道教寺院、天后廟近くの男人街をひやかして佐敦のホテルに戻ったら、時計は翌日になっています。

 


再びトラムに乗りに

香港には、1泊で滞在時間はわずか27時間。午後便で東京に戻るため、朝は早起きをして旺角のお粥の専門店へ。海鮮粥と油条(中国式揚げパン)の朝食を済ますせると、駅の改札に山と積まれたフリーペーパー(無料の新聞)をもらって、ラッシュの始まったMRTで再び香港島へ。

朝食の中華がゆと油条(揚げパン) 銅鑼灣にあるΩ型ループになったトラムの折り返し線

中環では、二階建てトラムの北角(ノースポイント)行きを待ちます。香港のトラムは両側に運転台があるものの、今では片方のみ使用して、折り返し点ではぐるっと一周して向きを変えます。二階の座席は、以前は背ずり(といっても1本の木の板でしたが)転換式になっていましたが、今では一方向を向いたベンチです。

銅鑼灣行きのトラムは終点で乗客を降ろすと一旦左側にポイントを切り、Ω型にぐるっと右回りに本線を平面交差で横断しながら一周して向きを変えます。北角行きのトラムは、終点の手前で一旦左に折れ、単線の線路のまま市場の様なところの1ブロックを一周して向きを変えます。

単線になった北角の市場の中を進む北角行のトラム 日本と変わらぬ北角の果物屋 右のおばさんに怒られてしまった

14年前に初めて北角に来たときは、線路のギリギリまで並んだ露店と大勢の買い物客に埋め尽くされた人波をかき分けながら、ノロノロとトラムが進む姿が見られたのですが、今ではこのあたりもすっかりきれいになりました。

それでも、骨付きの大きなブロックのままぶら下げている肉屋に南国の魚やイカ、海老などが並ぶ魚屋、日本と変わらぬ野菜の八百屋にドリアンやドラゴンフルーツの並ぶ果物屋、所狭しと商品を並べた衣料品店など、ここは香港の庶民の生活に直接触れることのできる楽しい場所です。店の写真を撮っていたら、おばさんに怒られてしまいました。

 


香港島・九龍と新空港を結ぶ電車

北角のスーパーマーケットで土産を仕入れて、MTRでホテルに戻りチェックアウト。佐敦駅周辺で昼食を済ませて空港に向かいます。香港(香港島の中環)、九龍(尖沙咀の西)と新空港をむすぶ機場快線(空港特急)の電車は、空港の手前までMTR東涌線と複々線のようなかたちで併走しており、MTRの経営のため接続駅までのMTRの料金は無料のようなことが書かれたポスターを見かけました。

佐敦から九龍駅まで、荷物を持って歩くにはす少し遠いので、MTR荃湾線に乗り茘景東涌線に乗り換え青衣機場快線に乗り継ぐことにしました。その前に佐敦駅の有人窓口でオクトパスカードを払い戻すついでに、MTRから機場快線に乗り継ぐ場合のMTRが無料になる切符の買い方を訪ねたところ、オクトパスカードを使えば良いとの回答。

 
機場快線(空港特急)の車内 手前はトランク置き場 座席の枕の後ろには液晶ディスプレー

それなら払い戻しは新空港駅でと先延ばしにしたのですが、青衣駅でのMTRから機場快線へ乗り換えの時に、オクトパスカードの残額不足で自動改札が通れません。SUICA/ICOCAと同じように券売機でチャージを試みたのですが、何故かうまくできず、やむなく現金で新空港までの乗車券を買いました。

機場快線の電車はシートの向きが固定のクロスシート。枕の後ろには、最近の飛行機の座席ような液晶ディスプレーがはめ込まれています。ドア付近にはトランク置き場も設けられ、高速で快適な車内ですが、バスに比べ運賃が高いためか乗客はわずかです。

空港特急を降りるとそこは航空会社のチェックインカウンター 日本に持って帰ってしまったオクトパスカード

ホームドアのある機場(空港)駅のホームに降り立つと、そこは空港ビルの出発ロビーのフロア。改札口などは無く、目の前には航空会社のチェックインカウンターが並んでいます。成田や関空に比べ便利にできていますが、オクトパスカードを払い戻す窓口などどこにもなく、日本に持ち帰る羽目に。

 


旅のヒント

今では、日本の自宅にいながらネット経由で海外の列車の予約や切符の購入ができることも普通になってきていますが、北京発香港九龍行きの京九特快T97次を直接予約することは無理でした。ここでは、切符の入手の苦労をご紹介します。

香港発北京行きあるいは香港から北京を往復する場合は、香港の旅行会社にネット経由で申し込み、現地で切符を受け取ることが可能なようす。列車の運行日や時刻、“高包”、“軟臥”、“硬臥”それぞれの料金(香港ドル)は、この会社のホームページに示されており、“高包”の場合は1,391HK$になっています。

隔日運行でもあり、もし北京で切符が入手できない時はスケジュールが破綻するため、日本の旅行会社に切符の手配を依頼しました(上記のホームページに、切符の発売は出発の5営業日前までとなっています)。

まず、国内最大手の旅行会社に電話したところ、中国の列車の切符を単独では扱わないとのこと。そこで取り扱う旅行会社の紹介をお願いしたところ、ガイドブックに後ろの広告を見なさいと教えてもらいました。

地球の歩き方の中国編を見て、格安航空券最大手と、二番手の会社に電話したところ、2人用の個室“Delux Soft Sleeper”の存在を知らず、もちろん予約はできないといいます(今では“軟臥高等”として掲載されています)。

別の会社に電話したところ、「ああ、コウホウですね」と言ってあっさり引き受けてくれました。ただし、価格は22,800円(北京の旅行会社手配料金)+5,000円(日本の旅行会社の手数料)=27,800円とのことです。この時、“Delux Soft Sleeper”が“高包”ということを知りました。

日本の旅行会社の手数料は仕方がないとして、原価18,000円ほどの切符ですから中国の物価に対して中国側の旅行社の手数料がずいぶん高いと思ったのですが、他に方法がないので手配を依頼しました。万一T97次特快が満席で、軟臥も取れないときは、北京西を午後に出発する広州行きT29次特快の軟臥を、それもダメなら前夜に出発するT15次特快の軟臥を第三希望として予約しました。

出発まで2週間程になって、旅行会社より希望どおりのT97次特快の高包が入手できたとの連絡が来ました。ただ、切符は北京にあり、事務所まで受け取りに行く必要があるが、現地旅行会社は完全週休二日制とのことです。北京着が土曜日、次の日曜日をはさんで月曜の朝にはT97次特快で出発のため、受け取りが困難です。

現地旅行会社が手数料4,000円で、北京空港から北京のホテルまで送迎する時に手渡すとの提案してきました。日本の旅行会社は、中国ではトラブルのもとになるので勧めないとのことでしたが、交渉により手数料1,000円で北京のホテルのフロントまで切符を配達してもらうことにしました。

いよいよ北京に着いて、ホテルにチェックインの時にフロントで列車の切符のことを尋ねると、“知らない”と言います。おまけに4つ星ホテルのくせに日本語が通じません。この時のために、日本の旅行社で聞いてきた現地旅行社の携帯電話にホテルの部屋からかけようにも、まずはフロントに電話して外線発信番号を尋ねてから。

何度目かでやっと通じたら(日本語が使えます)、まだ日があるので今夜か明日届けますとの返事。結局、香港に向けて出発する前夜、ホテルに戻った時にフロントに尋ねたら、届いているよとの返事。やっと入手した切符。不安から解消されて、嬉しくて思わずチップをはずんでしまいました。

2003年12月 旅
2004年12月 記



お役に立つリンク集

これからお出かけになる方や鉄道ファンの方に役立ちそうなリンクをそろえました
中国 上海・蘇州・無錫・南京 1991 や 中国 哈爾浜・長春・瀋陽・大連 2001  中国 上海 2002 、 香港 九広鉄路・軽便鉄路・トラム 1989 のリンク集も参考にしてください)