HOME 1/9page 2/9page 3/9page 4/9page 5/9page 6/9page 7/9page 8/9page 9/9page


神殿の谷アグリジェント 

シチリア島の南西、海岸近くに位置するアグリジェントには、ギリシャ時代の遺跡が残る場所があります。神殿の谷と呼ばれる地域で、はるか 彼方に地中海を見下ろす丘の上に、2500年の歴史を刻む壮大な神殿群が並んでいます。

神殿の谷の入り口 むこうはヘラ神殿 列柱が残るのみのヘラ神殿

神殿の谷の一番奥にある入り口のチケット売り場の目の前、眺めのよい標高120mの丘の頂上に、全能の神ジュピターの妻である、天の女神ヘラ神殿の列柱が並んでいます。紀元前450年頃に建設され、紀元前406年にカルタゴの侵攻により破壊されてから既に2500年の歳月が流れてい ます。

丘の頂点に建つヘラ神殿からの眺め コンコルディア神殿に続く道の左側は城壁 その先には地中海

ヘラ神殿から西へ向かう下りの坂道の向こうに、三角屋根のコンコルディア神殿が見えます。崖に沿った道の脇には古代都市を取り囲んでいた城壁が続きます。 この壁は積み上げたのではなく、断崖の内側を掘って高い壁の部分を残したのだとか。

11月下旬。オリーブの実が色づく横では、春に咲くはずのアーモンドに花が一輪。温暖化のせいでしょうか。

オリーブの実 秋にアーモンドの花が一輪 天然の断崖の内側を掘り込み城壁ととした

コンコルディア神殿は、前面に6本、側面に13本の円柱が整然と並び、アテネのパルテノン神殿より保存状態が良いと思われます。それに、こちらは観光客でごった返していないのも嬉しいですね。6世紀にキリスト教 の教会に転用された時の修復により、今でも良好な状態に保たれているのだそうです。

コンコルディアとは、平和や調和を象徴するローマの女神ですが、紀元前450年頃の建築当時の名称とは無関係なのだとか。

夕日を受けて輝くコンコルディア神殿 ヘラクレス神殿の列柱

さらに下ると、遺跡の手前の入り口に一番近い場所にヘラクレス神殿があり、外の道路からもその姿がよく見えます。ヘラクレスは、全能の神ジュピター(ゼウス)とその愛人アルクメネの 間にできた子。ジュピターの妻であるヘラとの間に確執があったのだとか。神様も人間の世界と一緒ですかね。

一旦外に出て、道路の向かい側のゾーンに行くと、ジュピター神殿のあとがあります。他の神殿と同じ時期に建築されていた神殿ですが、完成する前にカルタゴ軍の攻撃にあって崩壊したため、原型をほとんどとどめていません。

周囲は石ころだけが残るのみ ゼウス神殿の人像柱テラモーネ U字の溝にロープをかけた

ジュピター神殿のあった場所には、人像柱テラモーネが横たわっています。この像は柱の装飾に使われたといわれていますが、本物は博物館で、ここにあるのはレプリカだとか。

また、周辺にはU字に刻まれた溝のある石をよく見かけますが、ここにロープをかけて運搬した跡だとか。

 


陶器の階段カルタジローネ

アグリジェントで1泊した翌日は、ツアーバスでシチリア島の中心からやや東に寄った内陸の街、カルタジローネに向かいます。アグリジェントからカルタジローネ へも鉄道は通じているのですが、逆Sの字型の遠回りで使えません。

カルタジローネは、標高約600メートルの丘の上に、17世紀の地震の後に再建されたバロック様式の街並みが広がり、世界遺産に登録されています。

陶器の壺が並ぶ市民公園 サン・フランチェスコ教会

市民公園からローマ通りを歩いて市の中心へ向かうと、サン・フランチェスコ教会が見えてきます。13世紀の創建だが、今ある建物は地震の後の17世紀の再建だとか。その先のサン・フランチェスコ橋を渡ると旧市街。橋の欄干は陶器の装飾で美しく飾られています。

ここカルタジローネは、古くから陶器の生産が盛んで、中世にスペインから伝わったマヨルカ焼きの技法が取り入れられ、鮮やかな色彩が目を楽しませてくれます。

サン・フランチェスコ橋の欄干にも陶器の装飾 カルタジローネ市庁舎

最大の見所は、旧市街の市庁舎の脇から登る陶器の階段ラ・スカーラこと、サンタ・マリア・デル・モンテの大階段です。 高さ50m、全部で142段ある階段の踏面はエトナ山の溶岩でできていて、奥の垂直の面にはそれぞれ1段ずつ異なる、142通りのマヨルカ焼きのタイルによるカラフルな装飾が施されています。

クリスマスまで、あと1ヶ月足らず。階段の途中には聖人や鳥などの装飾が置かれています。夜になると裏から照明を当てて、美しく輝くのでしょう。

     
陶器の階段スカーラ       シチリアのシンボル

登りきると、この階段の名前の由来となっているサンタ・マリア・デル・モンテ教会があり、ここから見下ろすと旧市街の向こうにサン・フランチェスコ教会の姿があります。

階段の途中や周辺には、陶器職人の工房やショップが並び、太陽や月、3つの岬を表す3本足のシチリアのシンボルも飾られています。

     
スカーラの上から見たカルタジローネ       サンタ・マリア・デル・モンテ教会

何故か、サンタ・マリア・デル・モンテ教会の扉が閉ざされていて、内部の見学ができなかったのが残念。

 


エトナ山を周回してタオルミーナへ

バスで東海岸のカターニャに向かいます。カルタジローネを出ると、遠くにエトナ山が姿を現します。カターニャはサッカーの森本で日本 でも有名になった、パレルモに次ぐシチリア島第2の都市です。

はるか遠くにエトナ山が見えた エトナ山に向かいカターニャへ

カターニャから高速に乗り、右に真っ青なイオニア海、左に噴煙をたなびかせるエトナ山を見ながらタオルミーナへ向かいます。

カターニャからタオルミーナに向かう車窓 タオルミーナの街へはマイクロバスに乗り換え

シチリア島東海岸のタオルミーナはイタリアを代表する保養地。映画「グラン・ブルー」の舞台となった場所です。海岸を走る鉄道や道路から、タウロ山の中腹にあるタオルミーナの街に向かうにはロープウエーに乗るか、曲がりくねった坂道をたどります。大型のバスは通れないので、マイクロバスに乗り換えて、街の西にあるカターニャ門に向かいます。