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再びトラムでクノックへ

オステンドは、デパンネとクノックのほぼ中間地点。本日の目的地ブルージュまで、国鉄ならオステンドから15分程度ですが、再びトラムに乗ってクノック経由の大回りで行きます。

トラムのオステンド駅 国鉄オステンド駅をオーバークロス

トラムのオステンド駅の出札で切符を買ったら、クノックまで2€でした。やっぱり運転士から買うと高くなるようです。トラムは国鉄オステンド駅をオーバークロスして海沿いに出ます。でも、線路と海岸との間に砂丘があり、ドーバー海峡は見えません。田園地帯と原野の間に工場地帯があったり小さな町が現れたり。中には、立派な駅舎の建つ駅も。

こんな郊外を快走 芝生軌道に立派な駅舎を有する駅も
ベルギー国鉄ブランケンベルゲ駅と接続 終点クノックに到着

デパンネ、オステンドに次いで3つ目の国鉄との連絡駅はブランケンベルゲです。次のクノックも含め、トラムは北海に向かう国鉄線の4つの終着駅を横に結んでいます。

最終コースでは、コンビナートや港湾、コンテナターミナルを横に見ながら、大型船が通るときに開く可動橋で運河を渡ります。やがて住宅街に入るとトラムの車庫があり、終点クノックに到着。その先はもうオランダです。オステンドからここまで1時間10分ほど。デパンネから67km、車内の路線図で数えてみると71駅、正味乗車時間2時間半。世界最長の路面電車路線を制覇しました。

 


クノックからブルージュへ

すぐ近くに国鉄のクノック駅があり、ブルージュ方面に向かう列車は1時間間隔で運行されています。オステンドに比べると、ずいぶん簡素な駅です。ブルージュまでの切符を買い求めます。クノック・ヘイストは海浜リゾート地のようですが、駅から海までは少し距離があるようです。

三角屋根のクノック駅 ホームのベンチで昼食に

近くの市街地を見て回ったのですが、レストランに入っている時間的余裕がなかったので、スーパーマーケットでビールとサンドイッチを買ってきて、駅のホームのガラスで囲われてベンチで遅い昼食です。クノック駅に折り返しの列車が入線してきます。またしても正面が黒いタイヤの車両です。最初はユニークだと思ったこの電車にも、ちょっと飽きてきました。

ブリュージュ方面に行くIC クノック駅のホームと駅舎

 


ブルージュ

クノックからインターシティーに乗って20分程で、水の都ブルージュに到着です。ブルージュ(多分フランス語)はオランダ語ではブルッヘといい、英語のブリッジ、橋という意味だそうです。観光客の人気の高さは、ベルギーの京都でしょうか。

ブルージュは運河で北海とつながり、15世紀にはヨーロッパ有数の商業都市として栄えたものの、これが土砂で埋まって海上交通が困難になると、商業の繁栄を港町アントワープに譲り、発展から取り残されます。そのため、中世そのままの町並みが世界遺産ブルージュ歴史地区として現代に残り、屋根のない美術館として大勢の観光客で賑わっているのはのは歴史の皮肉ですね。

ブルージュ駅に到着 駅からブルージュ旧市街に向かうバスの車内

ブルージュにはトラムはありません。駅前からバスに乗って旧市街、世界遺産ブルージュ歴史地区に向かいます。マルクト広場でバスを降りると、目の前には白いネオゴシック様式の州庁舎、隣には高さ83mの鐘楼がそびえカリオンの音が響きます。向かいの階段状の切妻屋根を持つギルドハウスは、北海交易で財を築いたハンザ商人たちによる富かさを現代に伝え、今はショップやレストラン、オープンカフェとして賑わっています。

マルクト広場に面した州庁舎と鐘楼
中心に英雄の像が立つマルクト広場を取り囲むギルドハウス

州庁舎と鐘楼の間を入っていくと、18世紀に建てられた旧裁判所、16世紀のルネッサンス様式の公文書館、14世紀から15世紀にかけて建てられた市庁舎が並んでいます。市庁舎の横にくっついた小さな二階建ては聖血礼拝堂。十字軍がコンスタンチノープルから持ち帰ったキリストの血が祭壇に納められているのだとか。

左から旧裁判所・公文書館・市庁舎 14世紀から15世紀にかけて建てられた市庁舎
中央の小さな建物が聖血礼拝堂 聖血礼拝堂の上階は礼拝堂

聖血礼拝堂は上下二層構造になっていて、下層は納骨堂、上層は礼拝堂です。キリスト昇天祭に「聖血の行列」が行なわれ、聖なる血を納めた聖櫃がブルージュの街をめぐるのだとか。

 


聖サルバトール大聖堂・聖母教会・ベギン会修道院

ブルージュ市街地を駅の方向に向かいます。高さ99mの塔がそびえる、ゴシック様式の聖サルバトール(救世主)大聖堂は、12〜13世紀のブルージュ最古の教会。内部はステンドグラスやパイプオルガン、タペストリーが見事です。

ブルージュ最古の教会 救世主大聖堂
救世主大聖堂に掲げられたタペストリー 運河を観光客を乗せたボートが行く

観光客を乗せたボートが行き交う運河に沿いに、高さ122mの塔を持つ聖母教会があります。ここのお目当ては、イタリア以外では珍しいとされる、ミケランジェロ作の聖母子像。

聖母教会とその内部 ミケランジェロの聖母子像

世界遺産ベギン会修道院には、運河に架かる橋を渡って小さな門をくぐります。木々の向こうには修道女たちが住む白壁の家屋が連なる中庭を歩いていると、信仰と祈りの生活を送るシスターに出会います。

世界遺産ベギン会修道院の門 ベギン会修道院の中庭
修道院の中にある礼拝堂 愛の湖公園

ベギン会修道院を出ると、愛の湖公園が広がります。中世にはブルージュの内港として賑わったところのようですが、今では運河に続く湖となっています。駅の近くですが、ここまで来る観光客は少ないのか、静かな佇まいです。