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ラッコやアザラシの海

船は、バリー氷河の前でメインエンジンを止め、静かに停泊します。航走中は寒いため、暖房の効いた船内に入っていた乗客も、防寒着に身を包んでデッキに出てきます。

氷河の土砂で黒く汚れた表面と青く透き通った崩壊面 防寒着を着込んだ観光客がデッキで氷河の崩壊を待つ

残念ながらこの日は小雨模様のため、空も海も鉛色ですが、氷河の崩れた断面はグレーシャーブルーと呼ばれる青く透き通っていることが写真からもおわかりいただけるでしょうか。

カスケード氷河とバリー氷河 ラッコがお出迎え

突如、雷鳴のような音が轟き、氷河の先端が崩壊して海に崩れ落ちます。気温が低いため、氷河の崩壊が少なく、船の乗組員の方は Sleeping Glacier などと言っていましたが、それでも数回、氷河の崩壊を見ることができました。

氷河のかけらの氷と一緒に海に浮かぶラッコの群れ(右が頭、左が足)

カレッジフィヨルドでも、ラッコの姿を見かけましたが、バリー入江やハリマンフィヨルドには、仰向けに寝ているようなかたちで、あっちこっちに集団になって浮かんでいます。船がそばまで近づくと、くるっと回転して背を向けて潜ってしまいます。

氷河が崩れた流氷の上にアザラシが寝そべる 目の前をラッコが泳いでいった

やがて、船はサプライズ氷河の前でしばし停船。ここは氷河が崩れ落ちてできた流氷が一段と多く、周辺の空気は冷え込んでいます。そんな中で、あちらこちらの流氷の上で、アザラシが気持ちよさそうに寝そべっています。氷の間をぬって、目の前の海をラッコが泳いでいきます。

ハリマンフィヨルドの奥に位置するサプライズ氷河

雷鳴のような大音響ともに、目の前の氷の壁が崩れ落ち、水しぶきが上がります。周囲を見渡せば低くたれ込めた雲に隠れた氷河から流れ出すのでしょう、幾筋もの滝が落ちています。もう一隻のクルーズ船がやってきました。船と比較すると氷河の規模の大きさがよくわかります。

     
雲に隠れた氷河から名もない幾筋もの滝が落ちる       氷河の前で停船するクルーズ船

サプライズ氷河を最後に、船は一路ウィッティアを目指して戻ります。入港したのは定刻から1時間遅れの18時30分、5時間半にわたるクルーズはこれで終了です。

 


アンカレッジへ

クルーズ船が帰港した時点で、列車の発車時刻までもう15分しかありません。機関車が汽笛を鳴らして早く乗れと呼んでいます。帰りの指定席も、往路と同じ号車で同じ座席番号で発券されています。どうやら、車両はボーテージ駅にある三角線を使って、編成ごと方向転換をしてきたようです。

小雨のウィッティアを発車する列車の車窓より アンカレッジ駅に戻った列車

列車は18時45分に、霧雨で夕暮れのようなウィッティアから、貨物列車が停車する脇をすり抜けて、今朝来た道をアンカレッジに向かって折り返し ます。往路と同じ2時間30分かけて、21時15分にアンカレッジに戻ってきました。

明朝アンカレッジ発、JALのチャーター便で酷暑の日本に戻ります。

 


旅のヒント

最初にも書きましたが、アラスカは日本から最も近いアメリカです。ここのところ毎年、夏の観光シーズンや冬のオーロラを目当てに、成田からアンカレッジに飛ぶJALのチャーター便でわずか6時間半です。

カナダの大陸横断鉄道で、カナディアンロッキーを越えてから、次はぜひアラスカ鉄道に、と思って15年が過ぎました。やっと実現したアラスカ鉄道の旅、多くの観光客が乗るアンカレッジからデナリ国立公園に向かう車窓も素晴らしかったですが、日本人観光客に無視されているアンカレッジから海沿いにウィッティアを目指す車窓も、氷河が間近に見られ、素晴らしい風景が展開します。

もっとも、ウィッティアに向かうバスの通る道路も、鉄道にほぼ並行しているので、車窓に大差はないかもしれませんが。

26氷河クルーズは、日本からのパックツアーに組み込まれていたり、オプショナルツアーとして販売されていることが多いようですが、これらはウィッティアまでバスで往復することになります。列車を使いたければ、アンカレッジの旅行会社が販売するツアーを購入することになります。

2004年時点でのTHE 26 GLACIER CRUISEの販売価格は、大人1名当たりクルーズが$129(6月〜8月の場合で、5月と9月は$109) 、アンカレッジから往復のバス代が$45、列車にすると$64。片道の所要時間は、バスの1時間45分に対して列車は2時間半かかります。でも、ゆったりとしたシートで車窓を楽しみながらの小旅行もなかなか良いものです。残念ながらウィッティア行きには食堂車は連結されていませんが。

日本の旅行会社から日本円で購入するオプショナルツアーに比べれば、THE 26 GLACIER CRUISE直接でも、アラスカ現地の旅行会社を通じても同じ価格で、かなり安く購入することができます。私は、日本人が経営する現地旅行社にメールで依頼してカードで決済、チケットを宿泊ホテルに届けてもらう(無料)方法で購入しました。乗船した9月1日からオフシーズン割引もあって、二重にラッキーでした。

デナリからマッキンリーへのフライトは天候に左右されます。1時間で250ドル前後と、日本からソウルや台北往復より高価ですが、飛んでみればその価値はわかります。デナリの天候が悪く、フライトキャンセルになっても、アンカレッジからマッキンリーへの遊覧飛行もあり、時間は3倍かかりますがほとんど変わらない料金で乗れ、マッキンリーに向かう途中の景色を楽しみながら飛行するこちらの方がお得といえるかもしれません。

2004年8月 旅
2005年9月 記

 


お役に立つリンク集

これからお出かけになる方や鉄道ファンの方に役立ちそうなリンクをそろえました