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アトーチャ駅からAVEでコルドバへ

3日目はアンダルシア地方のコルドバに向かいます。ツアーは、途中休憩を含め5時間近くかけてバスで移動しますが、私たちは荷物だけバスに積んでもらい、身軽になってスペインの新幹線AVEに乗り、わずか1時間40分の行程です。

バスは朝の7時半頃にホテルを出発していきました。ホテルでしばし休憩の後、地下鉄でシベーレス広場のあるバンコ・デ・エスパーニャ(Bank of Spain スペイン銀行前)へ、グランビアからプエルタ・デル・ソルまで散歩して、生ハムやさんのお店でチュロスとコーヒーの朝食にします。

向こうに生ハムがぶら下がるお店でチュロスの朝食 新幹線AVEの始発 マドリードのアトーチャ駅

王宮付近散策した後、地下鉄でアトーチャ駅に向かいます。お目当ては、駅前に建つソフィア王妃芸術センター。この中に、有名なピカソの“ゲルニカ”が展示されています。向かいの駅からAVEの発車が11時ですから、開館時間の10時に合わせて入場します。ピカソ以外にも、ダリミロなど巨匠達の作品で見応えがあります。ただ、プラド美術館と違って撮影は禁止。ゲルニカは、こちらで見てください

ソフィア王妃芸術センターをあとに、アトーチャ駅に向かいます。本当は、AVEよりスペインオリジナルのタルゴに乗りたかったのですが、最高時速300km/hのAVEに対し、200km/hのタルゴでは所要時間の関係で、ゲルニカを鑑賞する時間がとれなかったので仕方がありません。

AVEのツーリスタクラスの車内 天井にはビデオのモニタ AVEのビュッフェ 立って車窓が楽しめるように窓が二段に

AVEのホームはセキュリティーが厳しく、入り口で係員が乗車券をチェックし、手荷物は空港にあるようなX線検査機を通します。AVEの客室は、クラブプレファレンスツーリスタの3つのクラスがあります。それぞれ、特等、1等、2等でしょうか。特等と1等には食事のサービスもありますが、私たちはバスで先行したツアー一行に、コルドバの昼食のレストランで追いつくことにしていますので、食事なしの2等にしました。運賃は安く、日本の新幹線の半額程度です。

ツーリスタは左右2人がけずつのシートが並び、日本の新幹線の普通車に比べ前後間隔は狭いが横幅には余裕があり、リクライニングはしないものの居住性は良好です。シートは回転せず、4人がけのボックス席となったところには固定のテーブルが取り付けてられています。ただ、ヨーロッパの列車によくあるように、AVEも窓とシートのピッチが一致せず、運が悪いとすぐ横が壁の席に指定されることも。

コルドバ駅に到着したAVE AVEから下車した乗客

アトーチャ駅を11時に発車するセビリア行きのAVEは、コルドバまでノンストップの便です。マドリードの古い街並みを抜けると列車はスピードを上げ、車窓にオリーブ畑が広がります。ドンキホーテの舞台となったラマンチャ地方にさしかかると、緩やかな起伏の赤土の荒野が続きます。車窓が単調なためか、天井に 飛行機の機内のようなビデオを上映するモニターがあり、乗務員がイヤホーンを配ってくれます。このイヤホーンは持ち帰れます。

コルドバ駅在来線の近郊電車 こちらは在来線の気動車

フランスTGVの技術を採用したAVEは、両端の電気機関車の間に連接構造の客車をはさむ方式です。乗客の乗る車両にモーターはなく、台車が2両の接合部の下、デッキの部分にあるため、日本の新幹線に比べて車内は静かで滑るような乗り心地です。

やがてシエラ・モレナ山脈にさしかかると、車窓に樹木が多くなり、トンネルもくぐります。ビュフェに行ってビールを片手に車窓の風景を楽しんでいると、白壁の家々が増えてきて、コルドバには定刻より数分早く到着です。隣の在来線ホームには、近郊電車や気動車が乗り換えの乗客を待っています。

 


メスキータ

駅でタクシーを拾い、ツアー一行が先に到着しているメスキータ近くのレストランへ。コルドバは、10世紀には東アフリカを含むアラブ世界の中心で、人口も現在の3倍以上の100万人を超える大都市だったという説もあります。その中心に建つメスキータとはイスラム教のモスクのことで、内部は25000人も収容できる広さだったとのことです。

現在のメスキータは、アラブ人が8世紀に建てたイスラム寺院であるモスクの中を、13世紀にレコンキスタでイベリア半島を奪い返したキリスト教徒が、後に無理矢理キリスト教会にしてしまったものです。

     
アルミナールの塔       オレンジの木の中庭とメスキータの外観

門を入ると、アラビア庭園オレンジの木の中庭に出ます。ここはイスラム教徒が祈りの前に手足を洗い、洗面をする場所だったとか。アルミナールの塔がそびえています。メスキータの内部は暗く、目が慣れてくると、礼拝の間は赤と白の石材を組み合わせた二重アーチを支えて林立する850本もの大理石の柱が浮かび上がり、幻想的な空間です。

       
紅白のモザイクの二重アーチが林立 ミフラーブのモザイクの天井

モスクの中にある、イスラムの聖地メッカの方向を示すくぼみがミフラーブです。ミフラーブの天井のモザイクは実に見事です。

       
カテドラルの幾何学模様 カテドラル(大聖堂)の中

幾何学模様のゲートをくぐると、そこはカトリック大聖堂カテドラル。キリスト教徒がアーチの柱を取り払って、モスクの中にキリスト教会を建てています。トルコの首都イスタンブールのアヤソフィアは、オスマントルコが東ローマ帝国のキリスト教会をモスクに造り替えています。世界遺産の中に、宗教の攻防を肌で感じます。