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港町リトルトン

オークランドを出発したあとは、列車内もウエリントンも船の中でも日本人をほとんど見かけなかったのですが、クライストチャーチは日本人の多いこと。観光客以外にも、ワーキングホリデーでしょうか、若い人もいっぱいいます。

お昼時を過ぎたので、大聖堂広場近くの日本料理店に入ります。名物のサーモンどんぶりを注文し、日本人の店員に、ニュージーランドでもサケが川に遡上するのか聞いてみました。サケは捕れるそうですが春の9月はサケの季節ではなく、ノルウェーからの輸入物だと正直に教えてくれました。南半球で食べる北欧のサーモンはおいしかったですよ。

ニュージーランド名物サーモンどんぶり リトルトン駅は閉鎖されていた

午後になって雪が止んだので、クライストチャーチの南東にある港町のリトルトンまで行ってみることにしました。大聖堂近くのバス停から市バスで20分程です。市街地を抜けたバスは郊外の住宅地を走ります。次第に積雪が少なくなり、住宅街を抜けるとガヴェンディッシュ山に登るロープウエー、クライストチャーチ・ゴンドラの乗り場に立ち寄ってから、山の真下を長いトンネルで抜けるとリトルトンです。わずか10数kmの距離ですが、ここには雪はありません。

リトルトンは、19世紀の後半にヨーロッパ人のクライストチャーチへの入植が始まった場所で、その後はキャプテン・スコットをはじめとする多くの南極探検の基地となったところです。

玉の落ちることで船に時刻を知らせたタイムボール・ステーション タイムボール・ステーションから見たリトルトン港の全景

現在もコンテナ船のターミナルがあり、クライストチャーチから貨物線が延びてきて、広いヤードには貨車が留置されています。リトルトン駅もありますが、駅舎は閉鎖されていました。バス停近くにあるリトルトン博物館に入植や南極の歴史が展示されているので立ち寄りましたが、この日は休館。

港町リトルトンの丘の上には、屋上につけた玉を落とすことで港内に停泊中の船舶に正確な時間を伝えた、タイムポール・ステーションがあります。19世紀の終わり頃から20世紀の初め頃まで使われたそうで、今では世界でも残っているところはわずかだそうです。急な坂道を登ってやっとたどり着いたら、改修工事中で中に入れません。

 


再びクライストチャーチ市内

お天気が回復してきたので、ゴンドラでクライストチャーチとリトルトンを見下ろせる山に登ってみようと、帰りのバスで停車ボタンを押して降りようとしたら、運転手が“Closed !”と言います。一瞬、何かと思ったのですが、悪天候で“運休”でした。そのままバスでクライストチャーチへ。

追憶の橋 下をエイヴォン川が流れる 南極探検キャプテン・スコットの像

市内を蛇行しながらゆったりと流れるエイヴォン川には、船に乗って、パンティングとよばれるイギリス的な優雅な船下りがありますが、これも雪のために運休。そのエイヴォン川に架かる追憶の橋は、第一次世界大戦に出征する兵士を見送った場所で、慰霊碑を兼ねたアーチ型の門が建っています。

その近くでは、世界初の南極点への到達を目指しノルウェーのアムンゼンに先を越され、帰路に遭難死したイギリス人の南極探検家、キャプテン・スコットの像が、わずかに残った雪原を見つめています。

     
市内を走る無料の電気バス       雪が融けた午後

市内には、クライストチャーチ・カジノやシティ・モール、大型ショッピングセンター、映画館、スーパーマーケットなど、かなりの広範囲に渡って生活と観光の要所を巡る無料バスが10分間隔で運行されてます。黄色の車体が目印の電気バスで、これを輸入したものが、丸の内シャトルメトロリンク日本橋として、東京駅周辺で無料運行されています。

 


トランツ アルパイン号の旅

翌日は、東海岸のクライストチャーチから南アルプス(サザンアルプス)を越え、西海岸のグレーマスまで列車で往復です。トランツ・アルパイン号のクライストチャーチ駅発車時刻は8時15分、駅は市の西の郊外にあり、観光案内所で聞いた無料送迎バスは発車の1時間前に来るため、7時からの朝食をとる時間がありません。B&Bの主人に相談すると、7時半過ぎにシャトルが来るように予約の電話を入れてくれました。

市の西の郊外に位置するクライストチャーチ駅 重連でトランツアルパイン号を牽引するディーゼル機関車

シャトルは、乗り合いのミニバスのようなものです。でも、来たのは本物のタクシー。他に乗客はいないらしく、私一人だけを乗せてメーターは倒さずに、途中でどこにも立ち寄ることなく、タクシーの半分以下の運賃で駅まで運んでくれました。夕方、クライストチャーチに戻ってくると言ったら、駅前のシャトル乗り場を教え、間違えてタクシーに乗らないようにと注意してくれました。

駅でのチェックインも3回目でもう慣れました。今日は預ける荷物はありません。席の指定を受けホームにはいると、今までとは違ってトランツアルパイン号は長い編成です。

重連のディーゼル機関車が先頭に立ち、客車が4両でうち1両は半分が売店、次の窓ガラスのない吹き抜けの展望車には中央にディーゼルエンジンと発電機室があって、一般客は通り抜けができない構造、さらに半室の売店を含む4両の客車があり、最後尾には預かった乗客のスーツケース等を積み込む荷物車が付いています。

トランツアルパイン号の車内 車端部だけボックスシート トランツアルパイン号の車窓

車内は、テーブル付きのボックスシートの車両と、回転式の前向きシートの車両がありますが、後者も何故か車端部だけはボックスシートになっていて、私は最後尾の車両の最後尾のボックス席に指定されました。

賑やかな台湾人女性の団体客以外は大半が個人客のようです。これだけの長い編成にもかかわらず空席はわずかで、トランツアルパイン号の人気の程がわかります。

いくつものトンネルで南アルプスを越える 南アルプスの山々を望む車窓

列車は15分遅れで発車し、一旦南へ向かいます。広いヤードと貨車の群れを過ぎ、次の停車駅ロールストーンでダニーデン方面に向かう線(旅客列車は廃止され貨物専用線になっています)から分岐して西に向きを変えると、はるか前方に白銀に輝く山がみえてきます。

長いホッパー車を連ねた貨物列車と交換した3つめの停車駅、スプリングフィールドをすぎると、いよいよ南アルプスに分け入っていき、トンネルと高い鉄橋、車窓に山と川を組み合わせた雄大な風景が広がります。

重連のディーゼル機関車が牽くホッパー車を連ねた長い編成の貨物列車

展望車に行ってみると、すでにカメラやビデオを手にした大勢の乗客でいっぱいです。列車は右に左に大きくカーブしながらトンネルを抜け、鉄橋を渡り、次第に高度を上げていきます。乗客は譲り合いながら、窓から顔を出し、風景や列車をカメラにおさめています。南アルプスに分け入るに従って沿線の雪が少なくなってきます。高原の信号所で、再び貨物列車と交換です。

 


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