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ラトビア独立までのパネル展示

駅の構内にもお店はたくさんありますが、隣のショッピングセンターに入っているスーパーマーケットで、量り売りのお総菜を買ってホテルに持ち帰って夕食にします。写真左の黒い機械で、銀行窓口のように番号札をとって順番に注文するシステム。これなら言葉が通じなくても欲しいものに指をさせばOK。冷えたロング缶のビールとあわせて300円少々。

夕陽が西に傾く中、少し遠回りになりますが、翌日の市内観光の下見を兼ねて、旧市街の中を通って帰ることにします。

スーパーマーケットのお総菜売り場 狭い石畳のリーガ旧市街

リーガ大聖堂横のドゥァマ広場まで来たとき、中央に写真のパネルが並べられています。第一次世界大戦中のドイツのラトビア占領とその後のソ連軍の侵攻、第二次世界大戦による再度のドイツのラトビア占領によるユダヤ人の強制収容所送りとその後のソ連軍の再占領、東欧で起きたハンガリー動乱やプラハの春、そしてわずか18年前の血の日曜日事件、ラトビア独立の戦いの中で街を埋め尽くす人々の群れ!

ドイツのラトビア占領、ソ連の支配から独立の戦いに至るパネル展示 

2回の世界大戦に加えて、戦後も多くの犠牲が払われた東欧の歴史。パネルの説明文はラトビア語と英語。ラトビア人も外国人観光客も、20世紀の生々しい写真を見つめる人々の目は真剣です。

日本大使館に近い公園の名前に、姉妹都市“KOBE”を見つけました。街中で見かけた日本料理店の名前は、“SUMO”、“KABUKI”、“SAMURAI”など。隣国エストニア出身の関取が“把瑠都”ですから、日本人もラトビア人も思考回路は同じですかね。

 


ユーゲントシュティール 建築群

翌日は、朝からリーガの市内観光に出かけます。新市街のアルベスタ通の周辺に、20世紀の初期のアール・ヌーヴォー(フランス語で新しい芸術)様式の建築多くあり、こちらではユーゲントシュティール(ドイツ語?青春様式)と呼ばれています。リーガの建築責任者だったミハエル・エイゼンシュテインの設計によるもので、 曲線や動植物、人の顔や人体像など過度の装飾が通りを見下ろしています。

建物の最上部を見上げると大きな人面が

最近修復されたものでしょうか、旧共産圏にしてはメンテナンスが良く行き届いており、ユーゲントシュティール 建築群は高級アパートや、一部は大使館になったりしています。

ハンガリー大使館 メドゥーサ(上)と女性像(下) ベルギー大使館

ハンガリー大使館の頂部には、3つのメドゥーサの顔の両サイドにライオンの頭部が、ベルギー大使館の壁は美しい女性像で覆われています。

ロシア大使館 新型トロリーバス

アルベルタ通り周辺は、トロリーバスが縦横に走っています。多くは新しい車両に更新され、連結タイプの車両もあります。

 


リーガ旧市街

世界遺産のリーガ旧市街は、リーガ湾からダウガヴァ川を10km余りさかのぼったところにあります。西をダウガヴァ川、東をかつての堀であるビルセタース運河に囲まれた、600m×800mのコンパクトな区域に見所が詰まっています。

リーガは、13世紀の初めにドイツ 騎士団がここを占拠し、聖堂などを建てたことに始まります。その後は、ドイツ北東部のハンブルクやブレーメンから商人が集まり、ハンザ同盟に加盟して北ヨーロッパの重要な港湾都市として繁栄します。 中世ドイツ商業都市の街並みが残っています。

リーガ城 リーガ大聖堂

旧市街の北西にあるリーガ城は、14世紀に騎士団の城として建てられ、その後はポーランド、スウェーデン、ロシアなどの歴代のリーガを支配に使われ、現在ではラトビア共和国大統領官邸となって、一部が歴史博物館や美術館として使われています。でも、当時の建物が残っているのは、一部だけだとか。

リーガ大聖堂の内部 リーガの歴史を表すステンドグラス

リーガ城から旧市街を南へ。リーガ大聖堂は13世紀初めから建設が始まり、18世紀に今日の姿になるまで500年以上にわたって幾度もの修復が重ねられているため、ロマネスクからバロックにいたる様々な建築様式が混在しています。バルト三国に現存する最古の建築の一つで、リーガの歴史を表したステンドグラスは見応えがあります。19世紀に造られ、当時は世界最大級だった立派なパイプオルガンは、残念ながら修理中。

ブラックヘッドの会館と聖ローランドの像 ブラックヘッドの会館前のストリートパフォーマンス

さらに南へ進み、市庁舎前広場へ。正面にに建つブラックヘッドの会館は、第二次世界大戦中にドイツ軍の空襲により破壊されたものを、リーガ創設800年を記念して、忠実に復元する形で2000年に再建されたもの。時計の下にある4つの紋章は、ハンザ同盟の4都市リーガ、ハンブルグ、リューベック、ブレーメンです。その前には、リーガの守護聖人ローランドの像が立っていますが、これも復元です。

再建されたリーガ市庁舎 ソ連が立てたラトビアライフル部隊の像 背後は占領博物館

ブラックヘッドの会館の隣の黒い建物は、ラトビア占領博物館。第二次世界大戦から戦後のスターリンによるシベリア流刑まで、ラトビアの苦難の歴史が展示されています。その隣にはソ連が立てた巨大なラトビアライフル部隊の像。ソ連時代には多くのロシア人がラトビアに移住してきており、ラトビア独立に反対する人々はこの像のところに結集したのだとか。

ブラックヘッドの会館の正面のリーガ市庁舎も最近の再建です。

聖ペテロ教会の正面 聖ペテロ教会の側面 ブレーメンの音楽隊

市庁舎広場の東に、ひときわ高い塔がそびえるのが聖ペテロ教会です。大聖堂と同様に、13世紀の初めに建設が始まり、現在の姿になったのは18世紀だそうです。この間、塔は何度も火災等で倒れては再建され、現在のものは戦後のソ連時代に改修されたものです。占領博物館にある、第二次世界大戦で砲撃を受け、塔から炎を吹き出して燃える写真は衝撃的です。

この塔にはエレベータがあり、地上72mの高さからリーガ市内が見渡せるのですが、長蛇の行列で登るのを諦めました。教会の内には、オリジナルと思われる聖ローランド像が保管されています。聖ペテロ教会の裏には、姉妹都市であるドイツのブレーメンから贈られたというロバ、犬、猫、鶏の音楽隊がいます。人々が触れるロバの鼻は、いつもピカピカ。