HOME 1/7page 2/7page 3/7page 4/7page 5/7page 6/7page 7/7page


旅の車窓から

ラトビア リーガ・バウスカ・スィグルダ

JALのチャーター便に乗ってバルト三国の一つラトビアへ。首都リーガとバウスカにあるルンダーレ宮殿、ラトビアのスイスといわれるスィグルダ、リーガから電車でバルト海の海岸ユールマラへご案内します。

リーガの気温と時刻 クリックすると天気も表示 バウスカの気温と時刻 クリックすると天気も表示
リーガ バウスカ

JALのチャーター便でラトビアへ

旧ソ連崩壊で1991年に独立を回復したバルト三国森林と畑と牧草地の国土は北海道とよく似ていますが、違いは高い山がないこと。どこまでも平坦な国土です。

2004年には、チェコやポーランドなどの旧共産圏の国々とともに、念願だったEUへの加盟を果たします。その後は西ヨーロッパからの投資により、2桁の経済成長を謳歌してきたのも束の間、2008年のリーマンショックに端を発した経済危機では、西側の銀行が投資資金を一気に引き揚げたため経済は苦境に陥ります。

中でもラトビアは2009年のGDPが-12%、失業率も急激に高まりアイスランドのような国家経済破綻も懸念されていますが、IMFの融資と、EU、北欧・バルト諸国、世銀等からの支援を受け、緊縮財政でユーロに対する通貨ラトの切り下げを必死で食い止め、何とか持ちこたえてるのが現状です。

ラトビア共和国は、バルト海に面して北から南の並ぶバルト三国のうち、中央に位置します。北海道の8割ほどの面積6.5万平方キロに、その半分以下の約230万人の人が住み、最大の都市はリーガ湾の奥に位置する人口70万人余りのリーガです(ドイツ語ではリガで、日本ではリガと書かれることが多いようすが、ラトビア語ではリーガだそうで、ここではリーガを使います)。外務省の統計では、2007年10月現在の在留邦人数は、わずか24人です。

そんなラトビアへ、2009年8月に、初めて日本からの直行便が成田空港を飛び立ちました。リーガ国際空港まで、正味飛行時間は10時間を切ります。バルト三国は、ロシアとフィンランドの次に日本に近いヨーロッパでしょう。

JALのチャーター便で、機材はなんとボーイング747-400。着陸時に機内の前方スクリーンに映し出される操縦室からの映像では、緑の平原に1本だけの滑走路。この空港にジャンボ機が降りるのは初めてのことかもしれません。滑走路は離着陸にぎりぎりの長さと見受けました。

※ 7ページの末尾にそれぞれリンク先を設けました。詳しく知りたい方はご利用ください。

 


リーガ国際空港で歓迎セレモニー

駐機場に入ると、晴天にもかかわらず、突然窓の外を水が流れます。なかなか手荒い放水の歓迎の中、ジャンボ機は駐機場の所定の位置に停止します。

空港では歓迎のセレモニーのためにボーディングブリッジは使わず、子供達が歌と花で歓迎してくれる中、乗客はタラップを降りて赤い絨毯の上を進み、記念品をもらってターミナル行きのバスに乗り込みます。

日本から初の直行便を子供達が歓迎 ラトビア政府からのプレゼントが手渡しで

このJALのチャーター機は、2日ほどリーガに駐泊した後アテネに向かい、一週間後には再び日本人を迎えにリーガに戻ってきます。

 


リーガのトラム

リーガ国際空港は、リーガ市の西の郊外にあり、バスで10分余り走って幅広いタウガヴァ川にかかる橋を渡ればもう旧市街です。直行便ですから、ホテルにテックインしたあとも長い夏の太陽は西に傾いてるとはいえ、暗くなるまでまだまだ十分な時間があります。

緑に囲まれたビルセータス運河 バステヤ大通りのトラム

リーガの市内交通は、トラムとトロリーバス、バス、それに小型のミニバスと、バラエティーに富んでいます。とりあえず、地図を頼りに徒歩で旧市街の目指します。

旧市街と新市街を分けるビルセータス運河の緑地と、旧市街の間にあるバステヤ大通りを、前の車両がトロリーバスのような長いポールを掲げた2両編成のトラムが行き交います。

旧市街の東の縁を走るリーガのトラム

トラムは、旧共産圏の標準型、チェコのタトラカーで、製造時期による違いでしょう、丸い車体の旧型と角張った新型がありますが、低床車はまだ導入されていないようです。ワンマン運行で、女性の運転手も多く見かけます。

自由記念碑 国立オペラ座

ラトビアの3つの地域を示す星を高く掲げた女性像が立つ自由記念碑は、1935年の最初のラトビア独立を記念して建てられた高さ51m記念塔です。その後のソ連併合時代には、この記念碑は破壊こそ免れましたが、市民が近づくことは反体制派と見なされてシベリア送りを覚悟しなければならないという民族の悲劇を象徴する碑であったとか。

19世紀後半に建設された重厚なラトビア国立オペラ座の前を通って、ラトビア鉄道リーガ駅に向かいます。

 

ラトビア鉄道リーガ駅

ラトビア鉄道リーガ駅は、旧市街の南側にあり、駅前にはトラムやトロリーバス、市内バスのターミナルや長距離バスのターミナルがあり、リーガの交通の拠点になっています。

ヨーロッパの首都の中央駅の多くが、上野駅の地平ホーム様な頭端式に対して、リーガ駅は通り抜け式になっています。

時計塔のあるリーガ駅 リーガ駅構内

ヨーロッパの多くの国の鉄道と同様に、ラトビア鉄道にも改札口はありません。高架になったホームに出ると、4〜6両編成の国電と3〜4両編成の気動車が頻繁に出入りしています。

リーガ駅の国電

国電は旧ソ連時代からの車両でしょう、側面にリブがある共産圏標準型のような車体ですが、塗色だけは紺と黄色に白のラインの派手なものに改められています。その後の改造でしょう、正面は複数のパターンのデザインがあり、行き先表示はLED化されています。

運転台が流線型の車両は、シングルアームのパンタグラフや両開き扉からスイング式のプラグドアに交換したようですが、リブ付きの古風な車体側面といかにもアンバランス。もちろんモーターは吊りかけ式です。

リーガの国電リニューアルタイプ 他端に機関室を持つ車両を連結した3両編成の気動車

3両編成のディーゼルカーは、片側の先頭車は運転台の後部の室内にディーゼル機関を備えた、半分機関車のような構造です。ソ連時代は、床下にディーゼルエンジンを納める技術が無かったのでしょうか。4両編成のディーゼルカーは、両端の機関室付きの車両が2両の付随車をはさむ構造です。

 

ロシアへ向かう夜行列車

駅舎側に行き止まり式のホームがあり、大勢の大きな荷物を持った乗客が列車の到着を待っています。しばらくすると、リーガ始発のロシアサンクトペテルブルグ行きの夜行列車が入線して来ます。

夜行列車の入線を待つ乗客 夜行列車がディーゼル機関車の推進で入線

編成は、先頭に大きなディーゼル機関車、寝台車が3両、車体にBARと書かれた食堂車、さらに寝台車が3両の編成です。寝台車は、3段寝台が向かい合わせになった6人のコンパートメントのようです。

夜行列車の大きなディーゼル機関車 リーガ−サンクトペテルブルグ のサボは窓越しに

国際列車ですが、客車にはBATIJAと書かれているので、ラトビア持ちの車両でしょう。サボにも、ロシアのキリル文字は使っていません。各車両の入口では、中年の女性車掌が乗客の切符のチェックをしています。乗務員もラトビア人でしょうか。それにしても、車掌さんは皆さん体格が良いですね。

各車両のデッキでは車掌が切符をチェック 車体にBARSと書いた食堂車

国際夜行列車は、まだ明るいリーガの街をあとに、サンクトペテルブルグに向けて発車していきます。