駅弁の店“悟饕池上飯包”。今は無くなっているが、最初に鉄道で台湾を一周した20年前に池上を通ったときには、ホームに名物の便當(駅弁)の立ち売りがいた。お昼前に池上に下車したので、次の新自強号までの70分の時間で駅弁屋に立ち寄ることに。

▲ 池上飯包の店
交差点の所に“悟饕SINCE1939 池上飯包文化故事館”の大きな看板と、1980年以前の762mmのナローゲージ時代の台東線で使われ、その後1067mmに改軌されたディーゼルカーの付随車(日本の国鉄でいえばキサハ)が2両。

▲ 文化故事館を併設
店の入り口には、赤と緑のポストに“停看聴”(止まれ、見よ、聞け)の踏切警報器。

▲ 入口に踏切警報器とポスト
信越本線横川駅の峠の釜飯の荻野屋が、駅売りからドライブインに移行したように、池上飯包も道路沿いの店へ。
お昼時の店内は、列車とは無関係の客で賑わっている。

▲ 池上飯包の店内
初めて台湾の車販で温かい便當を買ったときは、日本円換算で200円でお釣りが来たと思うが、台湾に行く毎に物価上昇に円安が加わり高くなったが、種類も豊富になっている。写真を見て弁当を注文すると、その場で手渡ししてくれる。

▲ ここで弁当を注文
スープはセルフサービスで。

▲ スープはセルフサービス
店内にも席はあるが、店の外には車両から外した本物の転換式クロスシートに、テーブルを組み合わせた列車席が用意されている。でも、やっぱり駅弁は車内へ持ち込むことに。

▲ 店の外のテーブル席
気動車の車内は片側の座席は撤去し、シートピッチも広げて間にテーブルを設置。

▲ 車内で食事もできる
車体のバス窓の部分が、中から見ると腐食が激しい、内側に上下2段式のサッシを取り付ける改造がなされているが、果たしてこの車両の現役時代の改造か、駅弁屋に引き取られた後の修理なのか。

▲ 窓を改造した?
これが120元(約600円)の弁当。高くなったといっても、日本の駅弁の半額かな。

▲ 600円の弁当
大きな豚肉の下には茹でキャベツ。その下にご飯。煮卵や厚揚げなどの副菜も。

▲ 肉の下にキャベツ
もう一両の、キサハの方は立ち入れなくなっていた。こちらも窓を改造し、本来の引き戸とは別に取り付けた開き戸を閉めている。

▲ もう1両の車両
“文化故事館”の看板がぶら下がっている、店内の二階に上がる階段がテープで閉じられている。

▲ 文化故事館への階段が閉まってる
階段横のカフェのコックさんに声を掛けたら、店のスタッフに伝えて開けてくれた。

▲ カフェの人に言って開けてもらった
鉄道か駅弁の展示があるのかと思って二階に上がったら、池上名産の米に関連するものや、

▲ 米俵と脱穀機
昔の農家の土間の様子が再現。

▲ 農家の土間の台所
日本の農家の台所にも通じるものがある。

▲ 台所を別の角度から
丸いテーブルと椅子も並んでいて、一階が満席になるとここも開放するのでしょう。

▲ テーブル席もある
もとは、二階は米の貯蔵場所だったのか、滑車で米袋を吊り上げている。

▲ 2階に吊り上げている
何故か、二階から見下ろす一階の店内に、カタカナで“サッポロビール”の看板。

▲ サッポロビールの看板
昔の池上らしき写真が掲示された横では、

▲ 手洗いに昔の写真
国民小学の教室を再現している。

▲ 国民小学の教室を再現
店の横は、電動カートの駐車場になっている。

▲ 電動カートで乗りつけてきた客
昼食と文化故事館の見学を終え、池上駅へ戻ってきた。

▲ 池上駅に戻ってきた
ホームの横の側線では、2軸のクレーン車が長い連結器で小さな貨車を引き連れている。

▲ 側線の保線機械?
1面2線のホームに、E200型電気機関車の牽く客車列車の莒光号が入線。
台鉄の客車列車で普快車や復興号は既に消滅したが、新自強号EMU3000型の大量増備により、今や莒光号も風前の灯火に。

▲ E200型牽引の莒光号
折戸で手動扉の莒光号の旧型客車は既に無く、引き戸で自動扉の比較的新しい車両で構成。

▲ 莒光号の客車
台東始発で東部幹線から台北経由、海線を通って彰化まで、11時間をかけて台湾を半周以上する列車。車内に乗客はごくわずか。

▲ 莒光号の車内
編成の後部に、紺に白帯の普快車色の郵便車と荷物車を連結。

▲ 郵便車と荷物車を連結
日本の国鉄もそうだったが、2025年7月のダイヤ改正後も台東線に1本だけ残った莒光号の目的は、郵便荷物輸送なのかもしれない。

▲ 莒光号の最後尾
※ 次回は、旧台東駅を訪問し、南廻線の莒光号で潮州に向かいます。