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台中から海線への直通列車で追分へ

台中駅で下車して、お昼時の駅周辺を一周してみたものの、日本の立ち食いそばのような短時間で食事を済ませられる店は見つかりません。発車時間が近づいてきたので、駅前の紅茶スタンドで珍珠奶茶をテイクアウトし、窓口で西部幹線海線の追分駅までの區間車の切符を買ってホームにあがります。

台中駅ホームの売店

駅弁を購入 下は珍珠奶茶

駅弁の容器と中身

ホームには、日本と同じような売店があり、お菓子や土産物とともに、駅弁を売っています。日本と違い冷や飯を食べる習慣がない(といっても、最近では中国文化圏でもコンビニおにぎりや巻き寿司など冷たいご飯も一般的になってきていますが)ので、駅弁は保温ケースに入れて売っています。

台北駅に比べると台中駅の駅弁は種類が少なく、60元(約160円)と80元(約220円)の2種類だけ。それも、80元は売り切れなのか入荷していないのか、売店にあるのは60元1種類だけです。台鐵便當の箱には、集集線をいくCK124が描かれています。

台湾高鐵(新幹線)台中駅 成功駅で海線への分岐線が分かれる

山線から海線に直通する區間車はロングシートで、駅弁も珍珠奶茶も置く場所などありません。でも、空いているので、車両の端の方のシートを占拠してお昼の店開きです。ふたを開けると、温かいご飯の上に肉とタマゴと野菜が乗っています。6年前に、初めて車内販売でこれを買って食べたときは、一度経験すればもういいやと思ったのですが、今ではおいしいと感じるようになりました。訪問回数を重ねて、台湾に慣れたのでしょう。

高鐵台中駅と接続する新烏日駅では、ホームに台湾新幹線700Tが停車中。次の成功駅は、まっすぐ南へ彰化に向かう山線と、海線への連絡線の分岐駅。區間車はポイントで上り本線をわたって連絡線のホームに入線します。

海線の車窓から見た彰化へ向かう西部幹線 海線の追分駅

成功駅を発車すると、単線の連絡線は右に大きくカーブして、左の車窓には複線の山線が分かれていきます。またすぐに、彰化から北に向かう複線の海線が左の車窓に寄り添ってくると、追分駅に到着です。

 

追分駅

彰化に向かう海線の列車に乗り換えるため、追分駅で下車します。ホームは2面3線で、海線と山線への連絡線で使い分けているようです。この他に通過線や留置線もあり、客車や貨車が停まっています。

跨線橋がなく下車した客は線路を渡って駅舎へ。改札の駅員さんに切符がほしいと申し出ると、一旦事務所に持って入って、無効の印を押して返してくれます。大きな駅では、改札に置いてある無効印を自分で押すのですが、この駅ではそんな客は珍しいのでしょう。

追分駅の木造駅舎 出札窓口と自動券売機

木造駅舎の内部は、待合室に面して出札窓口と1台だけの券売機があって、その上には時刻表や運賃表が掲げられています。いまでは、仮に廃線を免れたとしても無人駅となってしまっているであろう、かつての日本のローカル線がまだ元気だったころの懐かしい鉄道の光景が、ここ台湾に残っています。

SL列車のポスター 停看聴は踏切注意 駅舎から線路をわたってホームへ

駅舎の壁には、この秋に運転されたSL列車のポスターがまだ残っています。彰化行きの入線時間が近づくと改札が始まります。警報機などはなく、改札からホームへ線路を渡るときは、停看聽。日本語の踏切注意と違って、中国語では何をしなければいけないか、具体的に示されています。そういえば、日本でも“止まれ・見よ”はありましたが“聴け”まではなかったような。

 

海線で彰化へ

改札が終わると、2人勤務の駅員さんのうち1人はホームの監視に来ます。海線の彰化行きが入線してきます。莒光号や復興号のように、電気機関車の牽く客車列車なら演出効果として申し分ないところですが、今では追分駅に停車するのはロングシートの電車、區間車だけ。

     
彰化行きのく區間車が入線       最後部は荷物車代用

客車列車が減って、電車には荷物車の連結ができなくなったからか、區間車の最後部ドア周辺は荷物車代用となり、段ボール箱から自転車までが積み込まれています。

小姐のマスクが… 彰化駅

彰化までわずか1駅。向かいに座った乗客の小姐のマスクがすごいですね。排ガス対策か、台湾ではバイクに乗っている人が派手で大きなマスクをしているのをよく見かけますが、電車の中までこのマスクはまだ少数派です。土産に買って帰ろうかな。日本でこのマスクをしたら、街ゆく人が振り向いてくれるかも。

 


彰化機務段

彰化駅に隣接している彰化機務段(機関区)には、今では台湾で唯一の存在になった扇形庫が残っています。蒸気機関車もここに所属していて、方向転換に使う転車台も(ターンテーブル)も現役です。入り口の守衛さんのところで、ノートに住所と名前を書けば、誰でも機関区内の立ち入り可能場所の見学ができます。

CK120型 CT270型 DT650型

今回の訪問時に機関区にいた蒸気機関車は、いずれも戦前の日本製。日本国鉄のC12型と同型のCK120型は動態保存機で、台湾各線でイベント列車の牽引に活躍していますが、今日はここで休んでいます。CT270型は日本国鉄のC57、DT650型はD51で、廃車後は今まで静態保存されてきましたが、2011年の中華民国建国100年を記念する活動の一環として、いずれも動態へ復活するそうで、今後が楽しみです。

扇形庫の内部 旧塗色になったディーゼル機関車

イベント列車で、CK124の補機をつとめることの多いディーゼル機関車も、莒光号タイプのオレンジ系の塗色から、平快車と同じ紺に白帯の旧塗色に戻されて、CK124の隣で休んでいます。

現役のDLとELが並ぶ 扇形庫内の電気機関車

その他、現役のディーゼル機関車や電気機関車も彰化機務段に出入りしています。こちらは米国製でしょうか。構内の片隅には貨車移動機がいます。虎塗りの貨車は有蓋貨車を改造した救援車でしょうか。これらは日本製かもしれません。

こんな貨車移動機も 業務用の貨車でしょうか

彰化機務段の蒸気機関車については、こちらでもご紹介しています

 


路線バスで鹿港へ

彰化から台湾海峡に面した古い港町、鹿港に行ってみることにしました。鹿港行きのバスは、彰化駅前ロータリーの向こう側にある、彰化客運のバスターミナルから発車しています。

台中と鹿港をむすぶバスが、途中で彰化駅前に立ち寄るようです。地球の歩き方によると料金は43元。ここでは台北のICカード悠遊卡は使えません。乗車時に運転手にルーガンと行き先を確認して、小銭がなかったので50元を出すと、おつりは当然もらえません。車内では停留所の案内放送もありません。終点までいくぶんには、支障はありませんが。

彰化経由で台中と鹿港を結ぶバス 彰化客運の鹿港ターミナル

一般道ですが、前扉のみでハイデッカー、リクライニングシートの高速バスタイプの車両です。幹線道路を西に向かって30分ほど走ると、バスは鹿港の市街地に入り、乗客を降ろしながら、一旦外周部近くまで出てから市街地近くの彰化客運鹿港ターミナルまで戻ります。途中で下車してもよくわからないので、とりあえず終点まで乗ることにします。所要時間は35分程度。