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ローヌ氷河

バスは登りつめたフルカ峠で休憩します。すぐ目の前にローヌ氷河の末端部分が広がり、融けたた水がローヌ川の源流としてフランスに向け旅に出ます。ドライブインの裏庭に出ると、ローヌ氷河に掘られたトンネルに向けて橋が架けられています(有料)。氷河の中は、氷が青の波長を通すからでしょう、海の中と同じ青い世界です。

ローヌ氷河の末端部分 氷河にトンネルを掘り中に入るための橋が渡してある

フルカ峠からグレッチュ方面をのぞむと、蛇行するローヌ川と峠から下る道路にはさまれて、かつて、氷河急行がここを通った、今はフルカ蒸気鉄道となった細い線路が続いています。

グレッュまで降りるてきたポストバスの車窓に、ローヌ氷河と峠に至るつづれ折りの道がのぞまれます。

フルカ峠から 右にローヌ川 道路の下の細い線が鉄道路線 グレッチュから見上げたフルカ峠 ローヌ氷河が見える

やがて道路はフルカトンネルの出口オーバーアルプに至ります。そのままバスで氷河急行と並行する道を、標高671mのブリークに向かって下っていきます。ここまで来ると、美しい車窓もちょっと見飽きてきます。

 


ブリーク・フィスプ・ツェルマット鉄道

バスは、フルカ・オーバーアルプ鉄道とブリーク・フィスプ・ツェルマット鉄道(BVZ鉄道)の接続駅ブリークを通過します。ブリークはジュネーブ方面からシンプロントンネルでイタリアに抜ける国鉄線および国鉄や国際列車も乗り入れるベルン方面の私鉄レッチュベルク鉄道と、氷河急行の接続駅でもあります。

BVZ鉄道は全長44km、最急勾配は1000分の125。フルカ・オーバーアルプ鉄道と同じアプト式の機関車を使っています。

国鉄ブリーク駅前の路面のようなところに、氷河急行のブリーク駅があります。国鉄と並行する道を西にフィ スプへ、ここから南へマッターフィスパの狭い渓谷をBVZ鉄道の線路と道路がもつれ合いながらマッターホルンのふもと、標高1604mのツェルマットに向けて登っていきます。

ブリーク・フィブス・ツェルマット鉄道のオールパノラマ一等車編成 普通列車を牽く荷物電車タイプの電気機関車

ところで、ツェルマットは環境を守るため、排気ガスを出すエンジンの付いた自動車の乗り入れを規制しています。BVZ鉄道の終点の手前のテッシュ駅の周辺には広い駐車場があり、バスも自家用車も、ツェルマットに行く人はみんなこの駅から鉄道を使います。

乗り換え客用に、BVZ鉄道ではツェルマット−テッシュ間に20分間隔でシャトル列車を運行しています。機関車の付け替えの必要がないように電車の編成で、モータのないクハやサハは台車間を低床として低いホームからでもノンステップの構造です。

ツェルマット−テッシュ間のシャトル列車 穴蔵のようなBVZ鉄道ツェルマット駅に停車する電車

終点のツェルマットは行き止まり式のホーム。駅前に出ると、そこで待つ乗り物は排気ガスを出さない小さな電気自動車と馬車。でも、馬車は道の真ん中に排出物を置いていきます。メインストリートのオープンカフェに、ほのかな香りが....

電気自動車と馬車が乗客を待つツェルマット駅前広場 ツェルマットに咲くスイスの国花エーデルワイス

サンモリッツから1日かけて到着したツェルマットのホテルの庭では、スイスの国花エーデルワイスが、部屋から見上げると背後に夕日をあびた標高4478mのマッターホルンの峰が出迎えてくれます。明日はBVZ鉄道のツェルマット駅から道路の向かいにあるゴルナーグラート鉄道に乗って、マッターホルンを正面にのぞむ3089mのゴルナーグラート展望台を目指します。

 


旅のヒント

サンモリッツからツェルマットへ、氷河急行とバスを乗り継いで1日かけて車窓を楽しみました。ここでは3種類の客車が使われています。詳しくは、下記のGlacier Expressのホームページを見てください。

お勧めは、定員が36人の旧型の一等車です。通路をはさんで4人がけのボックス席と2人がけのボックス席でゆったりとしており、冷房がなく窓が開けられます。次は定員56人の旧型の2等車です。4人がけのボックス席で、定員だけ乗車すると窮屈で、8時間乗り通すのはちょっときついですが、窓が開けられます。避けたいのは新型のパノラマ一等車です。定員が48人の4人がけのボックス席で窮屈なことと、固定窓で車窓の写真を撮るには適しません。

窓を全開して顔を出していて、ただ一つだけ気になることがあります。氷河急行のトイレは、かつては日本でも一般的であった垂れ流し式です。便器の穴から線路のバラスト(砂利)が見えます。走行中は風に舞って後ろへ‥‥‥。これは、氷河急行に限ったことではなく、TGVやICEなどの超高速列車を除けば、ヨーロッパの列車のトイレではごく一般的なことです。

夏休みの氷河急行は、一般客の車両は予約でほとんど満席ですが、ツアー客には1グループに1両が割り当てられることが多いようです。サボも、ツアー名と利用区間が書かれた、一般客の車両とは異なったものがかけられています。私の場合は27名のグループに定員56人の2等車が1両割り当てられたため、1ボックス2人ずつで使うことができ、実に快適でした。

サンモリッツからアンデルマットまでのツアー貸切客車のサボ 右には予約という単語が4カ国語で書かれている

サンモリッツからツェルマットへ向かうとき、進行方向左側がお勧めです。ランドバッサー橋の写真をねらえます。クールで進行方向が逆になるため、そのまま座っていると右側になります。氷河急行は単線ですが、日本と同じ左側通行で列車交換をするため、右側の窓から交換する列車の写真が撮れます。オーバーアルプ湖は左側にありますが、クールから先は左側に陽が当たります。ブリークで再び進行方向が逆になり、左側になった車窓にフィスプから さきのマッターフィスパ渓谷が展開します。

2000年8月旅
2003年5月記

 


お役に立つリンク集

これからお出かけになる方や鉄道ファンの方に役立ちそうなリンクをそろえました

 


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