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旅の車窓から

スイスアルプス 氷河急行 編

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サンモリッツ ツェルマット

スイスアルプス氷河急行の旅

スイス連邦はヨーロッパ中南部にある国で、九州よりやや小さく70%が山岳地帯の土地に、700万人余りの人々が住んでいます。 国連にもECにも加盟せずに永世中立を貫き、独自の道を歩んでいます。

西はフランス、北にドイツ、東はリヒテンシュタインとオーストリア、アルプスの南側はイタリアに囲まれ、かつては山で行き来が少なかったからでしょう、州によって人々の話す言語も異なり、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語が公用語になっています。スイス最大の都市は人口35万人のチューリヒ、首都は13万人のベルンです。

精密工業が発展していますが、最大の産業は観光。鉄道はよく発達しており、周辺国に直通する国際列車も運転されているスイス国鉄のほか、各地に多くの私鉄があり、観光シーズンにはヨーロッパの周辺国は当然として、遠くはアメリカやオーストラリア、それにアジアからの観光客で賑わっています。

子供のころに本で見てからずっと乗りたいと思い続け、あこがれだったスイスアルプスの登山電車氷河急行。夢が実現したのは20世紀の最後、2000年の夏休みで す。スイスの中をあっちもこっちも、行きたいところや乗りたい列車はいっぱいあっても、休暇の日数と予算が伴いません。効率よくまわるために大手旅行社が募集したスイス10日間のパッケージツアーに参加し、不足分は自分で補うことにしました。

まずは、サンモリッツからクールアンデルマットを経てツェルマットまで、 アルプスの山麓の私鉄3社 (東からレーティッシェ鉄道フルカ・オーバーアルプ鉄道ブリーク・フィスプ・ツェルマット鉄道)を直通する氷河急行 (Glacier Express)の旅にご案内します。

JRに急行がなった今では、日本語のパンフレットにはGlacier Express氷河特急などと書いて勝手に格上げしていますが、小さな駅に止まらないだけでゆっくりと車窓を楽しむ列車に特急は不似合いです。ここでは氷河急行としています。

2013年のスイスイ再訪は、こちら

※ 4ページの末尾にそれぞれリンク先を設けました。詳しく知りたい方はご利用ください。


旅の始まりはサンモリッツ

氷河急行の東の始発のサンモリッツ標高は1700mあまり、アルプスの懐に抱かれ1928年と1948年の2回冬のオリンピックが開かれた、スイスの東端に位置するた高級スキーリゾートです。ここ に住む人々が話している言葉は、スイスの公用語の中で最小派のロマンシュ語です。

ツェルマットに向かう氷河急行の最初の区間を受け持つレーティッシェ鉄道。スイス東部に総延長400kmをこえる路線網を持つ スイス最大の私鉄で、日本の箱根登山鉄道と姉妹提携をしているため、箱根の山に赤い電車があったと思います。ヨーロッパの登山鉄道では標準の線路の幅がJRより少し狭い1mのナローゲージ、氷河急行が走る路線は電圧11kV、周波数16.67Hzの交流電化で、 これは3社に共通です。

レーティッシェ鉄道は、氷河急行の走る本線の最急勾配を1000分の45に抑え、ラックレールは使わずに全て粘着運転で長い編成を可能としている点が他の2社と異なります。

氷河急行の始発 サンモリッツ駅 電気機関車を先頭に出発の時を待つ氷河急行

サンモリッツ駅はサンモリッツ湖の湖畔にあり、氷河急行のほか、南へ標高2250mのベルニナ峠でアルプスを越えて、イタリアティラノに向かうベルニナ急行も運行しています。 こちらは1000分の70の勾配があり、1kVの直流電化のため、氷河急行とは機関車が異なります。

夏のハイシーズンには、毎日4往復の氷河急行が運行され、そのうち2往復がサンモリッツ発着(他はクールとダボス)となっています。ホテルからサンモリッツ駅に着いたとき、先発の氷河急行が出発の準備を終え、私たちの乗る次発の氷河急行もすでに入線していま す。

編成の中間には2車体連接の食堂車 開店準備中の氷河急行の食堂車

ガイドブックやビデオ、名物の傾いたワイングラスやおもちゃの列車がならぶ土産物屋に殺到する他の乗客を横目に、まずはこれから乗車する列車の観察です。先頭には広告塗装の電気機関車がつき、1両目は屋根 の肩の部分まで窓のあるパノラマ1等車、冷房のない2等車が続き、編成の中間には2両固定連結でパンタグラフの付いたの食堂車、2両では席が足りないのでしょう、その前の旧型の1等車は テーブルにクロスをかけて食堂車の代用となっています。

編成の前の客車はホームからはみ出しており、両数を数えてみると何と全部で18両。私たちが指定された2等車は後ろから3両目の16号車でした。

 

レーティッシェ鉄道の車両

氷河急行の客車は、レーティッシェ鉄道とフルカオーバーアルプ鉄道、ブリーク・フィプス・ツェルマット鉄道の車両が混結されています。同じ赤でも窓のすぐ下に細いシルバーのラインがレーティッシェ鉄道 、太くて白いラインがフルカ・オーバーアルプ鉄道、窓から下へ少し離れた位置に細いシルバーのラインがあるのがブリーク・フィプス・ツェルマット鉄道です。外観は同じ2等車でも 会社によりボックスシートの形状が異なります。

青い食堂車の向こうはパノラマ1等車 入れ換え用機関車とオープンデッキの旧型客車

発車までの時間を利用して、サンモリッツ駅にいたレーティッシェ鉄道の車両をご紹介しましょう。イタリアのデザイナーの手によるパノラマ1等車。ピンクのエンブレムを付けた青い食堂車。入れ換え用機関車につながれたピンクとクリームのオープンデッキの旧型客車 。

ベルニナ急行線は電車が重連で客車をひく これが本当のパノラマカー??

電車が重連で客車を牽引していますが、こちらはイタリアのティラノに向かうベルニナ急行で使われています。線路幅は同じ1mですが直流1kVで最急勾配は1000分の70までありあます。

電車の中央のドアから前は窓上に黄色のラインが引かれていますが、 他の客車も含めこれはヨーロッパでは共通で1等車を表しています。貨車を改造したと思われる、オープンルーフのトロッコ、本当のパノラマカーも停まっています。この車両も、ベルリナ線で使用されているようです。


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