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クライストチャーチのトラム

日本と季節が逆転している南半球のニュージーランドですが、冬が温暖で日本の3月に相当する9月の半ばですでに桜の盛りを過ぎ、季節が1ヶ月早い感じです。ところが、クライストチャーチでは明け方から降り始めた雪が積もりはじめました。

当初はマウントクックまで行こうかと計画していたのですが、お天気に恵まれないことがわかっていたので、代わりに手近のアカロア半島のツアーの申し込みと、翌日の南アルプスを越える列車の切符の手配に、大聖堂前のツーリストインフォメーションに出かけました。

雪景色のクライストチャーチ大聖堂 大聖堂を背に積雪の中を走るトラム

ところが、アカロア半島へのバスツアーは、雪のため催行中止。翌日のトランツアルパイン号でクライストチャーチと西海岸のグレーマスを往復する、列車の切符の確保(日本からのインターネット予約には出てこないオフシーズンの格安チケットが入手できました)と、夜のトラムウエーレストラン(当日はすでに満員のため翌日分を予約)の予約を済ませてから、目の前のカセドラルスクエアーの停留所から路面電車で市内めぐりにします。

     
トラムの運転士は沿線のガイドを兼ねる       運転士の皮のカバン(懐かしい!)

クライストチャーチでは、19世紀末に鉄道馬車や蒸気トラムとして開通し、1905年に電車になったトラムを、1954年に一旦廃止した後、1995年に観光用に復活させています。大聖堂や博物館、植物園など、市の主な名所が集まる中心部に一周2.5kmの単線の線路がひかれ、クラシックなトラムが25分程度で一周します。

切符は乗車時に運転手から購入しますが、2日券で12.5ドル(約1000円)と割高です。でも、観光客にはとても人気があり、運転手さんの案内を交えながら、ゆっくりと市内を巡ります。下車したあと、トラムの写真を撮ろうとすると、発車を待ってくれたりします。

オールドトラム178号の車内 カンタベリー博物館前のトラム

この日は、雪のため乗客が少ないとみたのか、運転されていたのは大型の178号だけでした。クライストチャーチオリジナルのトラムで、1921年製だそうです。進行方向が時計回りで常に一定ですから、使用しない進行方向右側のドアは閉鎖され、後部の運転台は機器を撤去して座席が設けられています。

 


クライストチャーチの博物館

大聖堂スクエアから乗って、エイボン川の橋を渡りアートギャラリーを右にみて、アートセンター前の停留所で下車しました。

ネオゴシック様式の建物群からなるアートセンターは、19世紀の後半に建てられてから1世紀にわたりカンタベリー大学の校舎だったもので、今では彫刻、陶芸、木工などの工房になっていて、一部は一般にも公開しています。

カンタベリー大学の校舎だったアートセンター カンタベリー博物館

アートセンターの先に建つカンタベリー博物館で電車通りは行き止まりとなり、トラムは右折します。カンタベリー博物館では、原住民マオリの彫刻やニュージーランド開拓時代の街が再現され、以前のカップヌードルのコマーシャル“Hungry?”のモデルとなったとされる絶滅した巨鳥モアや、国鳥キーウイーの剥製もあります。

絶滅した巨鳥モア ニュージーランドの国鳥キーウイーの剥製

雪は降り続き、博物館を見学していたら、係員がやってきて雪のため閉鎖すると言って追い出されてしまいました。入場無料だからまっいっか。

博物館前から再びトラムに乗って、大聖堂スクエアに戻ります。寒いのでスダバのコーヒーで暖まろうとしたら、こちらも雪のため早々に臨時休業に。やれやれ。

 


トラムの車庫訪問

行きところがなくなたので、三度目のトラムに乗って街を一周し、カセドラルスクエアの一つ手前のトラムのターミナルとなっているカセドラルジャンクションで下車します。ここで、ポイントが分かれて細い道に線路が敷かれ、シャッターの降りた建物の中に続いているのを見つけました。

建物の道路面がガラス張りになっていて、車庫の中に何両ものトラムが並んでいるのが外から見えます。シャッター横の通用口に呼び鈴がついていたので、ピンポンを鳴らし“日本から来たのだけれどトラムの写真を撮らせてほしい”と言ったところ、中に招き入れてもらえました。

左はダニーデン、右はクライストチャーチのオールドトラム 中間がオープンエアになった152号の車内

狭いスペースに何両ものトラムが並んでいます。チョコレート色とクリーム色の2軸の単車11号は1903年のアメリカ製で、南島東海岸のダニーデン(現在では廃止)のトラムだそうです。その隣の緑と白で車体中央がオープンデッキの152号は1910年製のクライストチャーチのトラムで、後ろに1908年製の2軸のトレーラー115号を連結しています。

車輪径が極端に異なる152号のマキシマム台車 トレーラー(左)とメルボルンの電車(右)

その隣に顔を見せているチョコレート色とクリーム色の244号は1925年製で、お隣の国オーストラリアのメルボルンのトラムから譲り受けたものだそうです。

一番奥で修復工事中の2軸のトレーラー18号は、1879年製のダニーデンの鉄道馬車の車両だそうです。馬に牽かれて走っていましたが、電車に置き換えられた1903年に引退して、もう100年以上になるのだそうです。

修復工事中のオープンデッキの鉄道馬車 メルボルンの電車を改造したレストランカー

入り口のシャッターの前には、紺色の411号が待機しています。車体には Tramway Restaurant の文字があります。食事をしながら市内を巡るトラムウエーレストランの車両です。案内してもらった方に、明日の夜のトラムウエーレストランを予約してあり、楽しみにしていることを伝え、礼を言って車庫をあとにしました。

 


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