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トップ・オブ・ヨーロッパを目指して

ベルナーオーバーラントの有名な3山、南に向かって左からアイガーメンヒユングフラウに向かう基地が、ドイツ語で湖の間という意味のインターラーケンです。インターラーケンには街中のベスト(西)駅と街はずれのオスト(東)駅がありますが、ターミナルはインターラーケンオスト駅です。首都ベルン方面からのインターシティーや国際列車も乗り入れるレッチュベルク鉄道、ルツェルンからの国鉄の狭軌線、それにユングフラウ方面に向かうベルナーオーバーラント鉄道がこの駅で接続しています。

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スイス政府観光局で入手したパンフレットから 図をクリックすると別ウインドウで大きな図が開きます

図の中央下のインターラーケンオストから3つの私鉄を乗り継いで、3000mを超える標高差を克服して、トップ・オブ・ヨーロッパとよばれるヨーロッパの鉄道最高地点、図の中央上のユングフラウヨッホまで登ります。

 


ベルナーオーバーラント鉄道でグリンデルワルトへ

まずは、標高567mのインターラーケンオスト駅からベルナーオーバーラント鉄道(BOB)に乗って、標高1000m余りの高原のリゾート地、グリンデルワルトへ向かいます。BOBの列車は、先頭に立つ強力な電車が5両ほどの客車を牽引します。BOBの線路幅は、スイスの登山鉄道の標準的な1000mmの狭軌で、標準軌のレッチュベルク鉄道に比べると一回り小さな車両です。

途中駅のツヴァイリチュネンまでは、ラウターブルンネン行きとグリンデルワルト行きを2本併結した10両以上の長い編成で走ります。先頭と中間に電動車が入り、チッキで送る乗客の手荷物を積むためでしょうか、荷物車も連結しています。

電車が客車を牽引するベルナーオーバーラント鉄道の列車 インターラーケンオストとツヴァイリチュネン間は2列車を併結

ツヴァイリチュネン駅の側線には、2軸の古典客車がとまっていました。ベルナーオーバーラント鉄道は、古い蒸気機関車も動態保存しているそうで、これに牽かせる客車かもしれません。

BOBの最急勾配は1000分の120です。ツヴァイリチュネン駅でそれぞれの方向に分割されてからは勾配がきつくなり、レールの真ん中にはしごの形をしたリンゲンバッハ式のラックレールが敷設されている区間があります。列車は徐行しながらラックレール区間に入り、台車に設けたギヤをこれにかみ合わせながらゆっくりと登っていきます。

ツヴァイリチュネンで見かけたオープンデッキの旧型客車 グリンデルワルトの到着 左はヴェンゲルン・アルプ鉄道の電車

滑走事故の防止のためでしょうか、電動車以外に客車の台車にもギヤが付いているようで、ラックレール区間にはいると床下からゴロゴロという音と振動が伝わってきます。

こうして、19kmに所要時間35分程度を要して、列車はグリンデルワルトに到着します。

 


小さな電気機関車と古典客車のシーニゲプラッテ鉄道

ベルナーオーバーラント鉄道でインターラーケンオストから1つ目の駅、ヴィルダースヴィルシーニゲプラッテ鉄道(SPB)が接続しています。残念ながらこの鉄道には乗る機会がなく、BOBの車窓からSPBの列車を見ただけですが、線路幅が800mmと狭く、2軸の古い小さな電気機関車が明治時代のマッチ箱客車のような各席にドアのある客車を押し上げています。

シーニゲプラッテ鉄道の小さな電気機関車 各席にドアのある客車

わずか7.2kmの距離で、BOB鉄道の標高差の3倍近い1987mのシーニゲプラッテまで登るため、1000分の260の急勾配があり、全線にわたってリンゲンバッハ式のラックレールが敷設されています。

終点のシーニゲプラッテは、アイガー3970m・メンヒ4099m・ユングフラウ4158mベルナーオーバーラント3山を見渡す展望台だそうで、次にスイスを訪れる機会があれば、ぜひ乗ってみたい鉄道の一つです。

 


高原のリゾートグリンデルワルト

グリンデルワルトは、日本でもその名を知られた高原のリゾート地。ホテルもたくさんあり、駅前は観光客で賑わっています。すぐ目の前に立ちはだかるアイガーの北壁ユングラウヨッホを目指す観光客は、ここでヴェンゲルン ・アルプ鉄道(WAB)に乗り換えてクライネシャディックを目指します。

グリンデルワルトから見上げるアイガー北壁 グリンデルワルトの到着したヴェンゲルン・アルプ鉄道の電車

BOBとWABのホームは隣接しており、1,2番線をBOBが、3,4番線をWABが使用しています。もっとも、ヨーロッパの他の多くの鉄道と同様に改札口がないため、低いホームと道路の区別もあまりよくつきません。

WABの線路幅は800mmと狭いため、BOBと直通運転をすることはできません。電車は、濃淡グリーンの塗り分けの旧型車とグリーンと黄色の新型車があるようで、勾配の下側に電動車、上側に制御車の組み合わせになっています。新型車は2本併結の4連も組んでいます。

右にヴェンゲルン・アルプ鉄道の新型車、左に旧型車 グリンデルワルトから見おろすスイッチバックのグルント駅

標高1067mのグリンデルワルトを出ると、次の標高797mのグルントまで、一旦急勾配で下ります。ここでスイッチバックして、標高2061mのクライネシャディックを目指して登ってきます。この間、8.6kmは全線にわたってリンゲンバッハ式 (ポイントの部分は単なる1枚歯のシュトルプ式のように見えます)のラックレールが敷設されて おり、所要時間は35分ほどです。

ベルナーオーバーラント3山を望む、スイスアルプスきっての素晴らしい車窓が楽しめるはずだったのですが、残念ながらこの日はお天気に恵まれま れず、8月とはいえ冷たい雨に降られてしまいました。

 


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