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旅の車窓から

オーストリア ウイーン・バーデン編

5年ぶりに再訪したオーストリアの首都ウイーン。赤と白に塗り分けた市電は以前と変わらず市内に網の目のように路線を延ばしていましたが、新しく5車体連接の低床車が導入されていました。近郊のバーデンへの往復に乗った国鉄とバーデン鉄道もあわせてご覧ください。


5年ぶりのオーストリア ウイーン

2002年の夏休みに東ヨーロッパへ行きました。わずか8日間、日本への往復を除けば正味5日間でハンガリー・スロバキア・オーストリア・チェコの4ヶ国をまわる駆け足旅行です。ベルリンの壁の崩壊から13年が経過し、東欧諸国の中でも変化の激しいハンガリーとチェコですが、まだまだ西ヨーロッパとはひと味違う部分も残っていました。

ハンガリーの首都ブダペストこちらから。 スロバキアの首都ブラチスラバはこちらから

スロバキアの首都、ブラチスラバの旧市内からバスに乗り、西へ十数分も走ればもうオーストリアとの国境です。簡単なパスポートチェックが行われますが、スロバキアECへの加盟が実現すればノーチェックになるのかもしれません。 ドナウ川沿いに国境からわずか1時間でオーストリアの首都、音楽の都ウイーンに到着です。

オーストリアはヨーロッパ中部に位置し、東西に長く、北はドイツとチェコ、東はスロバキアとハンガリー、南はスロベニアとイタリア、西はスイスに接し、面積は北海道と同じ8万平方キロ、人口は800万人余りの国です。

決して広くはない国土ですが、自然、歴史、建築、音楽、美術等々、旅行者にとってあらゆる分野の魅力があり、隣国のスイスと並んで治安もよいのんびりとした国です。言語はドイツ語ですが、街中では英語も通じます。

オーストリアの東に位置する首都ウイーンはオーストリア最大の都市で、人口150万人余り。西にアルプス山麓、東にドナウ河谷平野が広がり、市内をドナウ川が流れています。

オーストリア ウイーン・ザルツブルグ1997 は、こちらから

※ 3ページ目の末尾にそれぞれリンク先を設けました。
詳しく知りたい方はご利用ください。


地下鉄で夜のウイーンの街へ

ヨーロッパでは東部に位置するウイーンでも夏の陽は長く、ホテルにチェックインしてから夕食を済ませた21時になってやっと夕焼けです。ホテルは都心を貫く地下鉄1号線の北東側の終点の駅前です。1号線は都心を抜けると高架になり、ドナウ川を鉄橋で渡ってしばらく行くともう終点。営団東西線の葛西のような立地です。駅前には市電のループ線があり、地下鉄を降りた乗客が赤と白に塗り分けた市電に乗り換えていきます。

ウイーン市内の交通機関の切符は共通です。地下鉄の駅の券売機で24時間有効の乗車券を5ユーロで購入すると、明日の同じ時間まで、市内の地下鉄、市電、バスはもちろん、国電や私鉄の市内区間にも乗り放題です。

1号線の始発駅カグランに停車中の電車
外開きプラグドア
地下鉄1号線の電車の車内 3扉でクロスシート

地下鉄には、6号線のように路面電車2車体連接車3重連の路線もありますが、1号線は他の路線と同じ第三軌条集電の電車です。電車に乗り込み都心に向かいます。

かつてウイーンの旧市街を取り囲んでいた城壁の跡はリンク通り(英語のring環状)となり、 市電の循環系統が走っています。リンクの中心に位置するのが、高さ137mの塔を持つシュテファン大寺院。その地下には、1号線と3号線が交差するシュテファンスプラッツ駅があり、まずはここで下車しました。

 

オペラ座前の市電

やっと日が暮れ、シュテファン大寺院から南へ向かうウイーン一の目抜き通り、歩行者天国のケルントナー通りには灯りがともり観光客や若者でいっぱい。チョコレート菓子“ザッハトルテ”で有名なザッハホテルの横をとおり、リンク通りに接するライトアップされた国立オペラ座前まで歩くと市電に出会えます。

リンク通りに面した国立オペラ座 ライトアップされている オペラ座前の市電 赤と白の在来車

リンク通りの市電は、赤と白に塗り分けた2車体連接車が1両のトレーラーを牽く3両編成です。この他に、5年前には見かけなかった5車体連接低床車が、ポイントを渡ってリンク通りに乗り入れてきます。オペラ座前に来る電車の4本に1本程度が低床車になっており、Jや65など特定の系統の全車がこれに置き換えられたようです。

ポルシェのデザインによる5車体連接のこの低床車、床面の高さ152mmは世界最低床の電車だそうで、車道との段差がほとんどない歩道からもスムーズに乗り降りすることができます。加減速も良く、併用軌道を高速で走行します。

中間車の車輪は連接面にあるようで、ドアのある右側にはこの部分だけに座席があります。左側にはドアがなく、2人がけのクロスシートが列んでおり、日本の低床車に比べれば十分な座席数を確保しています。

低床車に乗り込む電動車いすの乗客 低床車の車内
大半の座席はドアのない左側

リンク内にはかつてオーストリア帝国を治めたハプスブルク家が650年にわたって居住した王宮、国会議事堂市庁舎美術史博物館など、ウイーンの著明な建造物が多くありライトアップされていますが、夜のリンク通りの車窓を楽しむには残念ながらスモークガラスの低床車は適しません。

ウイーン市電の低床車はこちらでも紹介しています

 


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