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“スペイン マドリード 鉄道博物館”

スペインの首都マドリード、首都の中央駅アトーチャ駅の近くに Museo del Ferrocarril de Madrid マドリード鉄道博物館があります。最寄り駅はメトロ3号線の Delicias 駅。マドリードの中心、Sol から4つ目で、地上に出ると博物館の入り口が目の前に。石畳の通路を奥に歩いていくと国鉄関係の建物があり、その先に博物館が見えてきます。

▲ 鉄道博物館 Museo del Ferrocarril de Madrid の入り口 2011/11

最初に出迎えてくれるのは、1両の小さなB型のタンク機関車。1885年のベルギー製だそうです。正面にはスペイン国鉄 RENFE の表記が。

▲ ベルギー製の蒸気機関車

鉄骨にガラス張りの博物館は、19世紀に建設された旧デリシアス鉄道駅を利用しています。この建物はマドリード市の産業考古学の遺産の一つとなっており、最も代表的な鉄骨建築のひとつとされています。

入場料金は5ユーロですが、ガイドブックには土曜日は無料となっているので、この日を狙って訪れたのですが、入り口で1ユーロ払いました。英語の公式ホームページには、学生や年金受給者、家族の割引料金や、4歳以下や鉄道関係者、失業者は無料、ビジターズデーの日曜日は2ユーロなどの記述はありますが、土曜日のことは見つかりません。

▲ 旧デリシアス鉄道駅の建物を利用した鉄道博物館

中に入ると、旧デリシャス駅のホームに色々な車両が並んでいます。

まず目を引くのは、スペインが誇るタルゴです。今では、スペインの在来線や高速新線のみならず、軌間変更装置を活用してフランスやイタリアまで乗り入れ、AVEの一員にもなっているタルゴですが、ここにいるのはその初期の車両です。

▲ Talgo U のディーゼル機関車

ディーゼル機関車と5両の連接タイプの客車が一体になっています。先頭のディーゼル機関車350-002-2は1950年のスペイン製。側面の一部を切り取ってアクリル張りとして、機関室の中が見えるようにしてあります。

▲ 機関車のエンジンルームが見えるようになっている

客車のドアは3両目の1個所のみ。現役時代は、もっと長い編成だったのかもしれません。車高が低く、 最近のヨーロッパの路面電車のように、車軸のない左右独立の車輪を装備しているため、低床でヨーロッパの低いホームでの乗り降りは容易です。ドアから前方の車両は丸窓、後方の車両は連続窓になっています。

▲ Talgo U の客車

車内は前向きに固定されたシートがならんでいます。終点では三角線でも使って編成ごと向きを変えていたのでしょう。最後部の車両は何故か食卓のようなテーブルと椅子がぽつんと1組だけ。

▲ Talgo U の客車

1軸台車の連接式のため、連結面の車輪の入る部分がカバーされ、その間が通路になっています。客車には TalgoU の表記があります。初代のタルゴは試作車で、この2代目から営業運転に供されたのだとか。

▲ 連接部の1軸台車と車内からみた車輪の入る部分

続いて、蒸気機関車をご紹介しましょう。

1A1の軸配置、動輪がわずか1軸だけの古風な111号は、1864年の英国製。緑の衣裳を身にまとい、ドームや煙突の先端は金ピカでなかなかおしゃれです が、キャブに屋根がありません。

▲ 英国製のA型タンク機関車111号

軸配置が1Bのタンク機関車、120-0201は1877年の英国製、シリンダが内側で外から見えません。

▲ 英国製のB型タンク機関車120-0201号

軸配置が1Cで、ボイラの上に水タンクを乗せたタンク機関車130-0201は1889年の英国製。

▲ 英国製のC型タンク機関車130-0201号

軸配置がCのテンダ機関車、030-2107は1863年のフランス製。

▲ フランス製のC型テンダ機関車030-2107号

上のC型によく似ていますが、こちらはD型。ボイラの上に巨大なドームを載せています。やはりフランス製でしょうか。

▲ D型テンダ機関車

大きな動輪を持つ2C1の軸配置は資料がありませんが、急行旅客列車用の蒸気機関車でしょう。

▲ C型テンダ機関車

こちらの2Dの軸配置の蒸気機関車も資料がないのでよくわかりません。動輪経が小さいので貨物用でしょうか。

▲ D型テンダ機関車

緑に塗られた軸配置が2D2の大型のテンダ機関車、242-F-2009は1955年のスペイン製。ヘッドライトの横に2009のナンバーが読み取れます。スペインは日本より遅くまで、蒸気機関車を製造していたようです。

▲ スペイン製の大型のテンダ機関車242-F-2009号

日本のD51と同じiD1の軸配置、ミカド型の蒸気機関車がカットモデルになっています。火室やボイラの構造がよくわかります。テンダまでカットモデルになっているのは珍しいのでは。141型は1953年の英国製です。

▲ 蒸気機関車の構造がわかるカットモデル

同型の機関車がもう一両、屋外にいます。夏期にマドリードとアランフェスの間で運転されるイチゴ列車の牽引機かなと思います。

▲ 夏期に運行されるイチゴ列車の牽引機?

おもちゃのような、可愛いナローゲージのB型タンク機関車もいました。

▲ ナローゲージのB型蒸気機関車


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