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マテーラのサッシ

マテーラの丘陵地に広がる旧市街に、サッシと呼ばれる洞窟住居があり、世界遺産になっています。新市街の展望台からは、柔らかい石灰岩をくりぬいた住居が幾重にも積み重なって構成されている様子がよくわかります。

マテーラの丘陵地一面に広がる洞窟住宅サッシ

旧石器時代の出土品もあることから、古くからこの地に人が住んでいたようですが、記録では8世紀頃にイスラムに追われたギリシャの修道僧がこの地にやってきて、15世紀頃になるとバルカン半島からオスマントルコに追われた人々が住み着き、その後は長らく小作農民の住居として、南イタリアの貧しさの象徴とされてきたそうです。

中央上の岩が洞窟教会 サンタ・マリア・デ・イドリス教会	サン・ピエトロ・カヴェオーソ教会

電気もガスもなく、台所もトイレも家畜も一緒の非衛生なサッシから、戦後は行政の手で住民を郊外へ強制的に移住させたことで、サッシ地区は無人となり廃墟と化しました。その後、洞窟住居の歴史的遺産としての価値が見直され、住居等として再生整備の上で利用されるようになり、まだまだ空き洞窟は多いもののサッシ地区には徐々に復興してきているようです。

バロック様式のサン・フランチェスコ・ダッシジ教会	大聖堂ドゥオモ

サッシ地区には、高台にある13世紀に建設されたドゥオモをはじめ、多くの教会があります。岩山の上に十字架が立つ洞窟教会、サンタ・マリア・デ・イドリス教会はサッシを象徴する教会です。

入場料を払って、当時の様子を復元した洞窟住居の中に入ってみました。当時の生活を偲ぶ古い家具や台所用品、リビングも寝室も家畜小屋も、洞窟の中で一体化しています。

洞窟住居の入り口				洞窟住居の内部

マテーラからツアーバスに乗って、今度は高速道路で再びアペニン山脈を越え、この旅行で3回目となるナポリに向かいます。

ナポリのトラム

ナポリ中央駅を出ると、正面にガリバルディ広場が広がります。大きな広場の向こう、イタリア建国の英雄ガリバルディ将軍の像が建つ近くに、トラムの停留所があります。

ガリバルディー将軍の像	ガリバルディー広場の電停

15年前にナポリ中央駅に降り立ったときには、いかにも治安が悪そうという雰囲気の広場を横切り、ここからオレンジ色にポール集電の古びたトラムに乗ってナポリ港方面に向かいました。今では、広場には中国系でしょうか、アジア人の物売りが増え、トラムの車両はスマートな低床の3車体連接車に代わり、周辺の雰囲気もずいぶん改善されているように感じます。

01系統のトラム	全面広告車もあります

最近のトラムは、台車にカバーが掛けられた車両がほとんどですが、ナポリのトラムは外付けのモータやディスクブレーキなど、低床車の台車構造がよくわかります。

外付けのモータやディスクブレーキの構造がよくわかる	トラムと併走するトロリーバス

トラムとともに、トロリーバスもやってきます。ガリバルディ広場から王宮方面に向かうナポリのメインストリート、バスやトロリーバスの走るウンベルト一世大通りは、地下鉄工事の真っ最中。でも、少し掘ると遺跡が出るナポリでは、遅々として工事は進まないのだとか。

ウンベルト一世大通りのショーウインドーに、ハローキティーを見つけました。ここイタリアでも人気のようです。

地下鉄工事のウンベルト一世大通り				ショーウインドーのハローキティー

ガリバルディ広場から、01系統のトラムは狭い通りを海に向かい、広い海岸通りに出るとナポリ港を車窓に眺めながら、世界遺産ナポリ歴史地区に向かいます。ヌオーヴォ城、王宮からトンネルを抜けて、卵城に近いヴィットリア広場で折り返します。

ナポリ湾、卵城、ヌオーヴォ城

卵城は、ナポリ湾、サンタルチア港の小島に作られた要塞です。11世紀にナポリを支配していたノルマン人がこの城の基礎の中に卵を埋め込み、“卵が割れるとき、城はおろか、ナポリにまで危機が迫るだろう”と呪文をかけたことから卵城となったのだとか。

ベスビオ火山を背にナポリ湾に突き出た卵城	卵城の日の出

卵城	朝のナポリ湾

卵城から王宮、ヌオーヴォ城に向かう海岸が、ナポリ民謡で有名なサンタ・ルチア地区。ナポリ湾の向こうにはベスビオ火山がそびえ、朝陽が昇ってきます。

サンタルチアから朝靄のナポリ湾とベスビオ火山	プレビシート広場

半円形の柱廊のあるプレビシート広場も、朝が早いのか人影はまばらです。ナポリ港の背後に建つヌオーヴォ城は新しい城の意味。13世紀にナポリ王カルロ1世が建て、卵城より新しいからこの名で呼ばれるのだとか。正面に3本の円筒形の塔を持ち、2本の塔の間に凱旋門が建っています。

ヌオーヴォ城の正面	ナポリ港からみたヌオーヴォ城

ナポリ港から高速船に乗ってカプリ島に向かいます。