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市電に乗ってモスクワ広場へ

子供鉄道のヒューヴェシュヴェル駅から坂道を下ったところに、56系統市電ヒューヴェシュヴェルの停留所があり、折り返しのモスクワ広場行きがの電車が乗客を待っています。ブダペストの市電の折り返し点には、ヨーロッパで一般的なループ線で 一周するところもありますが、多くは日本と同じようにそのまま折り返します。そのため、他都市の市電がバスのように運転台と側扉が片側のみにあるのと異なり、日本と同様に前後に運転台があり、左右両側に扉がついてい るので違和感がありません。

市電の終点ヒューヴェシュヴェル 電車はチェコのタトラ社製 タトラ車の車内 運転台は独立している

ブダペストの市電は、系統ごとに使用する車両の型式が限定されているように見受けました。56系統には東ヨーロッパ、旧ソ連から北朝鮮まで、かつての東側の国々への路面電車の供給をほぼ一手に引き受けていた、チェコスロバキア(当時)のタトラ 社製の車両が使用されています。タトラ車といえば丸みをおびた車体に特長がありますが、ブダペストの4000型はハンガリー人民共和国の末期、80年代後半に導入された、角張った近代的な スタイルです。車内はクロスシート、高加減速で静かな走行音の優秀な性能の車両です。

モスクワ広場 4系統の市電はハンガリーのガンツ社製 ペストの中心部の大環状通の4系統 停留所は島式ホーム

モスクワ広場は市電が3方向から集まり、地下鉄2号線の駅もあるブダ側のターミナルです。ここからペスト側へは地下鉄でも行けますが、4系統または6系統の市電に乗ると、鎖橋の一つ上流のマルギット橋ドナウ川を渡り、国鉄ブダペスト西駅前からペストの中心部に入っていきます。

両系統はマルギット橋から下流へ4番目の橋、ベティーフィ橋を渡って再びブダ側に至る市電の幹線の一つで、ハンガリーのガンツ社製の3車体連接車を2編成併結した長い編成です。ペストの中心部の大環状通では、道路の中央に島式のホームが設けられていますが、左右両側にドアがあるからできることです。

ブダペスト市電はこちらでもご紹介しています


ペスト側の国会議事堂と聖イシュトバーン大聖堂

マルギット橋をわたる車窓から、ドナウの川岸に20世紀初めに建てられたネオゴシック様式の国会議事堂がよく見えます。橋をペスト側に渡り終えたところに、ドナウ川に沿って下流に向かう2系統の電車の始発の停留所があります。

先ほどと同じガンツ社製の3車体連接車に乗ると、国会議事堂のところだけ内側に回り込み、電車の中から 建物の正面を見ることができます。再び川岸に出た2系統の電車の車窓には、鎖橋や対岸の王宮の丘を見ながら走る、眺めの良い路線です。

王宮の丘からドナウ川の向こうに国会議事堂をのぞむ 2番の市電の車窓に見た国会議事堂の正面

2系統の電車は川沿いに、エージェーベト橋や自由橋、先ほどの4系統や6系統と再び出会うベティーフィ橋の下をくぐり抜けて走ります。自由橋で降りて、そばにある煉瓦造りの中央市場に立ち寄りました。

肉や魚、野菜や果物がとても豊富で、日本人から見れば信じられない程安い値段で売られていて、見回るだけでも楽しいところです。真っ赤なサクランボを買ったのですが量の多いこと、ちょっと酸っぱく日本の昔のサクランボの味がして半分にしてもらって正解でした。

ペスト側をドナウ川に沿って走る2番の市電はハンガリー製 紙で車体をつくった東独製“トラバント”

市場の前を通って古風な自由橋をわたる市電には、2系統より古いタイプのガンツ社製の電車が使われているはずです。橋と一緒にカメラに納めてから2停留所ほど先の地下鉄の駅まで乗ろうと思ったのですが、電車が来ません。

仕方なく、電車通りを地下鉄3号線の駅の方に歩いていくと、軌道を掘り返して工事をしていました。線路がはずされており市電は運休(バスで代行?)のようです。

古いタイプの電車には出会うことができませんでした が、東独の崩壊時に有名になった旧東ドイツ製の車体がボール紙でできた車、トラバントが駐車していて、実物に触ることができました。 バンパーだけは錆びていたので鉄だと思います。この可愛い車、今でもブダペストの街中を走っているのを時々見かけます。


ブダペストの夜景

日の長いヨーロッパの夏も、夜10時になれば暗くなります。ドナウ川の向こうにライトアップされた鎖橋や王宮、マーチャーシュ教会が美しく浮かび上がります。市電の路線の中で、ドナウ川に沿って走る2系統は一番お勧めの系統です。

ドナウ川の観光船と国内線船舶発着所の向こうに王宮 ライトアップされた鎖橋 左上にマーチャーシュ教会

 


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