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ブダの登山電車

王宮の後方には、ブダペストで一番高い山、標高527mのヤーノシュ山がそびえています。ブダ側の地下鉄と市電のターミナル、モスクワ広場から始発の56番の市電で2つ目で下車すると、登山電車の始発ヴァーロシュマヨル駅があります。

時刻表がハンガリー語のみのため数字以外はわからないのですが、3種類ほどあったので季節や曜日で運行時間を変えているのだと思います。私の乗った夏の平日は毎時0分、20分、40分発の20分間隔でした。

ラックレールの登山電車 登山電車の車内

急勾配のため線路の真ん中に全線にわたってラックレールが敷設されています。電車はこれにギヤをかみ合わせてゆっくりと登っていきます。赤と白に塗り分けた登山電車の車内は冬季の寒さ対策でしょうか、ドア付近にパーてーションがあり、赤いプラスチックのクロスシートは勾配にあわせて座面に傾斜がついていました。

終点のセーチェーニ山まで20分足らず、距離にすれば5kmたらずでしょうか、沿線には住宅もあり地元の人たちの足としても利用されています。飼い犬や自転車の持ち込みも可能で、車内には自転車が積み込まれていました。山の上からふもとへのサイクリングは快適でしょう。

登山電車はこちらでもご紹介しています


子供鉄道

旧ソ連や東欧諸国には、子供達の社会勉強の施設として、運転士以外は全て子供達が運営する鉄道がありました。ここブダペストでは、共産政権崩壊後13年を経過した今でも、ヤーノシュ山の山麓に子供鉄道が運行されており、8歳から14歳までの子供達が毎日交代で働いています。線路幅が762mmのナローゲージで、機関車も客車も小さくかわいい列車ですが、本格的な鉄道です。

登山電車の終着駅セーチェーニ山がその始発駅と接続しています。電車が終点のセーチェーニ山に着いたとき、1組の若いカップルが猛スピードで走り出しました。子供鉄道の発車時刻が迫っているのだと思い、あとを追いかけていくとディーゼル機関車を先頭に3両の客車が乗客を乗せて発車を待っています。

セーチェーニ山駅を発車する子供鉄道の列車 検札をする車掌さんは中学生

出札窓口には子供の駅員さんがいます。外国人観光客には英語で丁寧に対応してくれます。肩からカバンをさげた車掌さんが乗り込んだらすぐに発車です。登山電車から乗り換えるカップルがいなければ、次の列車まで1時間待ちになるところでした。

3両の客車には、1人ずつ中学生の車掌さんが乗っています。子供鉄道も、他の一般の鉄道と同様に改札口はありません。発車するとすぐに車掌さんが検札にまわってきます。登山鉄道が住宅地を走っているのと異なり、子供鉄道の沿線は森で、住宅はほとんどありません。それでも各駅で少しは乗降があり、無人駅から乗ってきた乗客には切符を販売します。駅に着くと手動扉の開閉、安全確認後発車の合図と忙しく働いています。

   
車掌さんが発車の合図     列車を見送る小学生の駅員

乗客はほとんどが観光客です。夏休みの時期だったためか、平日でも地元の子供連れが多く、外国人はごく一部と見受けました。

途中駅で1回、列車交換をします。ハンガリーでは、国鉄から郊外電車、地下鉄、登山電車、路面電車の全てが右側通行ですが、何故か子供鉄道だけが左側通行です。

途中駅で列車交換 機関車は同型で塗色が異なる 終着駅ヒューヴェシュヴェルジュに到着した列車

こうして、途中の5駅に停車しながら終着駅ヒューヴェシュヴェルジュまで12kmを40分で走ります。ヒューヴェシュヴェルジュ駅はツーリストインフォメーションもある立派な駅です。売店も子供達が運営しています。ホームには、かつてこの鉄道で活躍していたのでしょう、森林鉄道タイプの蒸気機関車が保存展示されています。

子供鉄道のホームページによれば、週末には現役の蒸気機関車が牽引する列車も運転されているようです。

子供鉄道 ヒューヴェシュヴェルジュ駅と停車中の客車 ホームの上には蒸気機関車が保存されていた

駅の隣には、子供鉄道で働く子供達が研修を受ける施設ではないかと思われる建物もありました。

駅から坂道を下っていくと、56番の市電の終点、ヒューヴェシュヴェルジュの停留所に出ます。ここからブダのターミナルモスクワ広場へ直接戻ることができます。

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