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旅の車窓から

スペイン マドリード・サンチャゴ・セゴビア

スペインの首都マドリードからタルゴに乗ってサンチャゴ・デ・コンポステラへ、西海岸のビーゴからポルトガルに入り、格安航空LCCで再びマドリードへ、アビラ、セゴビア、アランフェスをめぐる鉄道の旅にご案内します。

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マドリード サンチャゴ・デ・コンポステラ セゴビア

北京経由でスペインへ

2011年の秋にスペインに行きました。前回、10年前にマドリードからトレド、コルドバ、セビリア、バレンシア、バルセロナのを訪問しているので、今回は北スペインとポルトガルを組み合わせてみました。(2001年のスペインは、こちら

日本からスペインやポルトガルへの直行便はありません。ヨーロッパ内で乗り継ぐと、現地到着が深夜になり、マドリードの場合は空港からホテルまでの経路で治安の問題が生じます。

中国国際航空(エアチャイナ CA)の場合、北京深夜発でマドリードに早朝着、夜明けを待って市内に移動すれば治安の問題はクリヤーでき、1泊のホテル代も浮きます。また、成田便の他に羽田便も選ぶことができ、マドリード往復の正規割引航空券がサーチャージや空港使用料等込みで75,000円と少々で、マイルはANAに貯められるため迷わずゲット。

初めの計画では、マドリードからバスで西へ、ポルトガルのエボラに向かい、リスボン、ポルトと列車で北上してスペインに入り、サンチャゴ・デ・コンポステラから夜行寝台列車でマドリードに戻るコースを考えていました。

しかし、5月のフランクフルトでCA便の遅れで予約していたドイツ鉄道の列車に乗れなかった経験から、マドリードで半日の余裕を持たせ、逆回りで午後の列車でサンチャゴ・デ・コンポステラに向かい、リスボンから夜行寝台列車でマドリードに戻ることにしました。結果的には、これが裏目に出るのですが。

列車の指定券や寝台券は、スペイン鉄道ホームページ上でのクレジットカード決済が何度トライしてもできなかったので、マドリードの旅行会社にメールで早割の購入を依頼しました。E-チケットをメール添付のPDFファイルで送ってもらい、プリントして持参しました。

※ 9ページの末尾にそれぞれリンク先を設けました。詳しく知りたい方はご利用ください。

 


空港からチャマルティン駅へ

羽田の午後便で北京首都国際空港に着き、乗り継ぎ時間を利用して北京市内に出かけ、前門から天安門広場、王府井を回り、余裕を持って出発の3時間半前には空港に戻ってきました。

表示されていた、飛行機までバスで移動の出発ゲートでネットサーフィンをしながら待っていると変更の案内があり、ボーディングブリッジでつながるゲートに移動です。まわりを見回しても日本人らしき乗客はいないと思いきや、成田からの夜便で着いたのか、添乗員の後ろをH交通社の日本人の団体さんがゾロゾロ。

マドリード地下鉄8号線の電車
地下鉄8号線空港駅の券売機と自動改札 マドリード地下鉄8号線の電車

CA907便は定刻に、まだ真っ暗なマドリード・バラハス国際空港に着陸します。入国審査から荷物受け取りを済ませてもまだ早いので、ベンチで休憩してから地下鉄8号線の空港駅に向かいます。第1ターミナルから駅まで、結構な距離があります。

地下鉄は、最新のガイドブックに市内均一1€+空港料金1€で空港と市内間は2€となっていましたが、直前に市内均一1.5€に値上げしたようです。半日のマドリードですが、6€の1日券(1日券の場合は空港追加料金なし)で十分に元が取れると思い、券売機でこれを購入します。支払金額5€以上は、券売機でクレジットカードも使えます。

マドリード地下鉄8号線の電車      

地下鉄8号線の車内

      国鉄チャマルティン駅

マドリードの地下鉄は、とにかくスリやひったくりが多いので気をつけるようにという言葉を目にしますが、早朝でこれだけ空いていれば大丈夫でしょう。8号線は新しい車両で、貫通路も付いているので、他に乗客がいない車内で強盗に取り囲まれて逃げられないという心配もなさそうです。

そういえば、クルマも国鉄も右側通行のスペインで、何故かマドリードの地下鉄だけは左側通行です。でも、日本人には違和感がなく、ホームを間違えなくて好都合。

横断歩道の向こうがコインロッカー室 鍵を閉めると暗証番号をプリントした紙が出てくる

8号線の終点、ヌエボス・ミステリオスで10号線に乗り換え、サンチャゴ・デ・コンポステラに向かう午後のスペイン国鉄Renfeの始発駅、チャマルティン駅に向かいます。11月のスペインは7時半頃になって、やっと空が少し明るくなってきます。

チャマルティン駅でコインロッカーの場所を尋ねると、駅舎の向かい、タクシーの停まっている道路を渡った先と教えてくれます。預ける荷物は、入口でX線の検査機に通します。コインロッカーは、何と日本語表示にも対応。鍵を閉めると、開けるときの暗証番号をプリントした紙が出てきます。

スペインの国電セルカニアスの新型連接車 セルカニアスの車内

マドリードの中心ソルへは、地下鉄より停車駅の少ない国電セルカニアスの方が早いので、スペイン鉄道Renfeの案内所で、地下鉄の1日券でセルカニアスに乗れるか尋ねると、シ(yes)でもノ(No)でもなく、“ゾナ、アー”との返答。もう一度聞き返してもやっぱり“ゾナ、アー”。ん? わかった、zone A の範囲なら乗れるということだ。試しに、セルカニアスの自動改札機に1日券を通してみると、ドアが開きます。

セルカニアスの連接部分 車体中央に車いす対応トイレ セルカニアスの旧型ボギー車

セルカニアスは、チャマルティン駅から都心方面へ、もう一つのターミナル駅であるアトーチャ駅まで地下路線になっています。数年前に、ヌエボス・ミステリオスから先が一旦別れて、マドリードの中心ソルを経由する系統ができたとのことで、近くの乗客によく確認してから乗車します。

朝のラッシュ時に入って、チャマルティン駅にはセルカニアスが次々と到着します。10年前のスペイン訪問時に主力だった角張ったボギー車は少数派となり、新しい流線型の車両が主体となっています。3車体連接の中間車は、中央扉の部分が低いホームに対応した低床構造となり、この部分にトイレが設置されています。

 


マドリードの中心プエルタ・デル・ソル

ソル駅で下車して地上に出ると、そこはマドリードの中心、太陽の門、プエルタ・デル・ソルです。プエルタ・デル・ソル広場の真ん中で、マドリード自治政府庁に向かって立つカルロス3世の騎馬像の前で、クレーンを使って何か丸いものを組み立てています。これは後日、マドリードに戻ってきたときには完成していました。近くには、マドリードの紋章になっている熊と山桃の像も。

プエルタ・デル・ソルの熊と山桃
プエルタ・デル・ソルで何か建設中 プエルタ・デル・ソルの熊と山桃

プエルタ・デル・ソルから西へ、王宮に向かう道から少し横にそれ、デスカルサス・レアレス修道院を横に見ながら先に進むと、地下鉄オペラ駅へ降りる階段のあるイザベル広場に出ます。

デスカルサス・レアレス修道院
デスカルサス・レアレス修道院 地下鉄オペラ駅と王立劇場

広場の真ん中にイザベル女王の像が建ち、背後には華やかなオペラの殿堂、19世紀末に完成のテアトロ・レアル、王立劇場がそびえています。

      王宮を背にオリエンテ広場に立つフェリペ4世騎馬像
王立劇場前のイザベル女王の像       王宮を背にオリエンテ広場に立つフェリペ4世騎馬像

王立劇場を抜けると、そこはオリエンテ広場。中央に立つフェリペ4世騎馬像の背後は、火災で焼失したアルカサルの跡地に、18世紀半ばに完成した白亜の王宮です。

マドリードの王宮 モンターニャ公園のデボッド神殿
マドリードの王宮 モンターニャ公園のデボッド神殿

王宮からスペイン広場に行こうとして、道を間違えてモンターニャ公園に入ってしまいました。小高い丘の上にデボッド神殿が建っています。紀元前4世紀、エジプト南部の神殿で、アスワンハイダムの建設で水中に沈むアブシンベル大神殿の移設工事の援助の礼として、エジプトがスペインに贈ったのだとか。

散歩中の人に、“プラザ・デ・エスパーニャ”と尋ねたら、広い通りに向こうを指さして教えてくれます。

スペイン広場       セルバンテス、ドン・キホーテとサンチョ・パンサ
スペイン広場       セルバンテス、ドン・キホーテとサンチョ・パンサ

通りを横断したところでもう一度聞いたのですが、今度はわからないとの返答。でも、すぐ目の前の茂みの奥にありました、見覚えのあるセルバンテスがドン・キホーテとサンチョ・パンサの像を後ろから見下ろす姿が。ここまで来ると、朝から大勢の団体客が観光バスから降りて、あちこちで写真撮っている姿を見かけます。

 


地下鉄で鉄道博物館へ

プエルタ・デル・ソルから王宮周辺でウロウロしていたのは、本日午前の本命、マドリード鉄道博物館の開館時間までの時間調整でした。オペラ駅から地下鉄2号線、ソルで3号線に乗り換えて、博物館最寄りのデリシャス駅に向かいます。

マドリード地下鉄3号線 旧デリシャス駅を利用した鉄道博物館
地下鉄3号線 旧デリシャス駅を利用した鉄道博物館
初期のタルゴ客車 スペイン製の大型のテンダ機関車
初期のタルゴ客車 スペイン製の大型のテンダ機関車

スペインの鉄道を支えてきた蒸気機関車、電気機関車、ディーゼル機関車から、ディーゼルカーや客車まで、数多くの車両が保存展示されています。なかでも、スペインが誇るタルゴの初期の車両は、とてもユニークです。

マドリード鉄道博物館は、こちらで詳しくご紹介しています