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アントワープ中央駅

アントワープは、ブリュッセルの北45kmに位置する人口50万人の港湾都市。世界のダイヤモンドの取り引きの中枢を担う街としても有名です。

地図で見ると、アントワープ中央駅は行き止まり式の駅のように見えますが、地下ホームにつながる線路は市内の地下をそのまま通り抜けていく構造です。

インターシティーは地下ホームに到着 エスカレータの両側には地上のホームが

メッヘレンから乗ったICも地下ホームに到着。エスカレータで地上に出ると、両側にアントワープが終着になる列車の到着する地上ホームが何層にもなって並んでいます。

地上のホームや高架ホームに停車するアントワープ終着・始発の列車
荘厳なアントワープ中央駅の駅舎とその内部

駅から街に出ると、19世紀末から20世紀のはじめにかけて建設された、高いドームを持つ荘厳な駅舎がそびえ、その前をトラムが行き交います。

 


トラムが地下を走るプレメトロ

市内のトラムやバスに使える1日券を買って、旧市街の中心グローテマルクトに向かいます。まずは、地下に降りてプレメトロに乗車です。プレメトロは、市内の中心部一部区間のみを地下走行としたトラムで、低いホームにゲントのトラムと同じスタイル、同じ塗色の部分低床の連接車が入線してきます。

トラムが地下に乗り入れるプレメトロの地下駅

ゲントとの違いは、片運転台、片側ドアの車体構造。中央駅から3つ目がグローテマルクトの最寄り駅フルン広場ですが、1日券を買ったことだし、何処まで行けば地上に出るか、とりあえずそのまま乗って行くことに。

地上の専用軌道を走るプレメトロとドアが右側だけの車内

フルン広場駅を出ると市内を流れるシュヘルド川の下をくぐり、市の西部へ向かいます。すぐに地上に出て専用軌道を走り、住宅団地などもあって郊外電車の雰囲気です。路線図から見て、そろそろこの系統の終点かなと思っていたら、いきなり電車がUターン。そのままもと来た線路を戻ります。日本のように“終点です”と言って車内確認なんかしないんですね。何故か、私以外にも乗ったままの人がもう一人。

 


アントワープ旧市街

プレメトロをフルン広場で降りて地上に出ると、画家ルーベンスの銅像の立つ広場の向こうにノートルダム大寺院がそびえています。

その脇を抜けると、旧市街の中心、グローテマルクトにでます。中央に、アントワープの名前の由来となった伝説に基づいたブラボーの噴水、背後には16世紀半ばに建てられた市庁舎、広場を取り囲むギルドハウスが商業や金融の中心地としてのアントワープの繁栄を今に伝えています。

フルン広場の向こうにノートルダム大寺院 グローテマルクトの中央にあるブラボーの噴水と市庁舎
噴水の先端 古代ローマ兵士ブラボーが巨人の手を投げる グローテマルクトに面して建つギルドハウス

噴水の先端に立つ古代ローマの兵士ブラボーが、広場のすぐ西を流れるシュヘルド川で巨人の手(アント)を切り取って、投げた(オランダ語でウェルペン)ことで、アントウェルペン(オランダ語、アントワープは英語?)になったのだとか。

ノートルダム大寺院の正面とその前にあるフランダースの犬 ネロとパトラッシュの記念碑

ノートルダム大寺院は塔の高さが123mあり、14世紀の半ばから200年近くかけて建造されたベルギー最大の教会。資金不足で南側の塔はついに完成しなかったのだとか。その正面入り口の前に黒い直方体の石が置かれ、観光客がベンチ代わりに腰を下ろしていたりしています。その石に、何と日本語でフランダースの犬についてが書かれていると思ったら、ネロとパトラッシュの記念碑をトヨタ自動車が寄贈したようです。

     
精肉業者のギルドハウス       ステーン城

ここから西へ、シュヘルド川に向かうと、16世紀初頭に建てられたから300年以上にわたって肉の取り引きに使われてきた、ゴシック様式の精肉業者のギルドハウスがあり、その先の河畔、港のそばにはステーン城が建っています。13世紀初頭の要塞で、ヨーロッパによくあるように刑場や牢獄にもなっていたのだとか。最近まで海洋博物館だったそうですが、今は閉鎖されていて入れません。

聖パウルス教会の正面とその祭壇

聖パウルス教会は17世紀の建築。白と黒の大理石のコントラストが美しい祭壇、ルーベンスをはじめとする有名な画家の絵画、木彫りの彫刻が見事です。

祭壇画と彫刻 聖パウルス教会の側面

 


ツーリストトラムの勘違い

ガイドブックに、フルン広場から1時間ごとに市内を巡るツーリストトラムが出ているとあります。そういえば、広場を一周してトラムが方向転換するループ線が敷かれています。でも、時間になってもそれらしき電車は現れません。停留所でドアを開けた電車の運転士にツーリストトラムの乗り場を確認したのですが、そんなもの知らないとの返事。

フルン広場の電停でトラムの運転手に聞いてみたが これがツーリストトラムだった

そのやりとりを聞いていた車内の乗客が、広場の向こうを指さして教えてくれます。その方向に行ってみると、広場の奥に2両のトレーラーを従えた赤い自動車が乗客を待っていました。これがツーリストトラムだったとは。横のループ線の線路が紛らわしい。

 

フランダースの犬に会いに

ツーリストトラムはやめて、4系統のトラムに乗ってアントワープの隣町、ホーボーケンに向かいます。フランダースの犬の、ネロが住んでいた場所です。やってきたのは旧型車。次の停留所の案内放送は何もありませんが、終点まで乗ればよいので問題なし、というか今度こそ終点をよく確認して乗り過ごさないように。

トラム旧型車の車内 ホーボーケンの住宅地を行くトラム

ホーボーケンの終点から電車通りを少し戻り、横道に入ったところにネロとパトラッシュはいました。ところで、フランダースの犬の物語は英国人が書いたもので、日本や英国では有名ですが、ベルギーでは近年まで全く知られていなかったのだとか。最近になって、町おこしの一環としてこの銅像を建てたのだそうです。

ホーボーケン市の電車通りの横にあるネロとパトラッシュの銅像とその向こうを行くトラム

今度は、2系統のトラムでアントワープ中央駅に戻ります。途中には道路の中央に街路樹のトンネルのある専用軌道もあり、なかなかおもしろい路線です。中央駅の手前で地下に潜り、プレメトロに。

トループ線で折り返してきた2番のトラム 簡易運転台があるトラムの最後部席

 


再びアントワープ中央駅へ

中央駅の近くに中華門を見つけました。その下をトラムがくぐり抜けます。ここはアントワープのチャイナタウン、夕食は中華料理にしようかなと思ってくぐったのですが、中華の食材店等はあっても適当なレストランが見つかりません。

街路樹のトンネル区間 中華門をくぐるトラム 中華門の向こうに中央駅

中央駅横の、わかりやすい写真入りのメニューで指さし注文できる店で夕食を済ませ、アントワープ名物のダイヤモンド近くの店で眺めるだけ。駅の地下ホームでブリュッセルに戻るICを待っていたら、パリ北行きのタリスが遅れて入線して来たため、直前になってICの発着ホームが変更に。

アントワープ中央駅横の宝石店 パリ北行きのタリス