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日本にも、かつては全国各地に軽便鉄道がありましたが、台湾にも線路幅762mmの鉄道が台湾鉄路管理局、阿里山森林鉄路、それに各地のサトウキビ鉄道などにありました。

台湾の東海岸、花蓮と台東間の台湾鉄路管理局の台東線は、1980年に北廻り線が南聖湖(現在の蘇澳新)から花蓮新(現在の花蓮)まで開通後も、改軌工事が完了する1982年までは762mmのナローゲージで運行される花東線でした。花東線の車両については説明のプレートがなかったので、数年前に台北駅の台鉄本舗で買ってきた鉄道雑誌“鐵道旅行7号”(2002年、現在では廃刊)を参考にしています。

ロッド式でB-Bの軸配置のLDH101型ディーゼル機関車は台北機廠製。側面から見ても正面から見ても凸型という変わったデザインです。ナローゲージの花東線のディーゼル機関車の主力は、日本国鉄DD51を小型化したような日本車両製でした。これは1067mmに改軌されて継続使用たそうですが、1両だけ台湾で製造されたLDH101型は改軌されず、保存されたようです。

▲ 花東線のディーゼル機関車

台東線のLDR2200型ディーゼルカーは、1956年の台湾製。台北機廠で車体を製造し、花蓮機廠で仕上げた車両で、1982年まで客車を牽引していたようです。片面は貫通式、反対側は非貫通2枚窓で、前後で顔が異なります。

▲ 台東線のディーゼルカー 片側は貫通式

▲ 反対側は非貫通2枚窓

貫通側が動力台車で、客車牽引のために2軸駆動にしたのでしょうか、機関車と同じロッド式の動力伝達機構を持っています。車体は台湾製でも、台車には住友のマークが浮き出ています。

▲ 動力台車はロッド式で2軸駆動(左) 付随台車(右)

連結されているバス窓の車両はLTPB1810型で、エンジンを持たない付随車のため床下がすっきりしています。おそらく台湾製でしょう。花東線の優等列車、光華号でLDR2300型(東急車両製が4両、台湾製が6両あったそうです)ディーゼルカーに牽引されて、ナローゲージの世界最高速(と“鐵道旅行7号”に書いてあります)70km/hで、1982年まで走り抜けた車両のようです。

▲ 台東線ディーゼルカーの付随車

車内は転換式のクロスシート。車体断面が小さいためか、扇風機が天井に埋め込まれ、屋根上にこの部分の丸い突起が並んでいます。

▲ 付随車の車内は転換クロスシート

阿里山森林鉄路といえば米国リマ社製のシェイ・ギヤードロコ。車体の右側面に縦にシリンダを配置して、ベベルギヤで前後のボギー台車に動力を伝達する、急曲線に強い蒸気機関車です。1913年製の28号機は3気筒の強力型。1973年まで現役だったようです。

▲ 米国リマ社製 阿里山森林鉄路28号機

11403型ディーゼル機関車の1号機は、ロッド式で1-C-1の軸配置で1953年の新三菱重工製。阿里山森林鉄路が最初に導入した液体変速機のディーゼル機関車第一世代で190馬力。故障が多く、最後は北門−竹崎間の平坦線で1982年まで使用されました。

▲ 新三菱重工製 阿里山森林鉄路のディーゼル機関車

同じ11403型ディーゼル機関車でも5号機はB-Bの軸配置で、スタイルは現在運行されている機関車に通じます。1955年の新三菱重工製液体変速機のディーゼル機関車第二世代で、出力346馬力は3気筒の蒸気機関車に及ばなかったとか。1982年まで使用されました。

▲ 新三菱重工製 阿里山森林鉄路のディーゼル機関車

阿里山森林鉄路の高級客車SPC2号は、1971年の日本車両製。光復号の最高級客車で、5台の扇風機が付き、一人がけと二人がけの転換式クロスシートで定員は28名。1982年まで、製造後わずか11年使用しただけで終わったのは、この時現在の阿里山号に使用されている冷房、リクライニングシート装備の車両が入ったからでしょうか。

▲ 日本車両製 阿里山森林鉄路の客車

運材車は、中国語では平車と書くようです。1913年の日本車両製で1973年まで使用されていた、ということはこの年まで森林鉄道として木材の運搬が行われていたのでしょう 。

▲ 日本車両製 阿里山森林鉄路の平車(運材車)

台糖鉄路の331号蒸気機関車は、サトウキビ運搬用途の1935年日本車両製。煙突の上の金網は、火の粉の飛散による火災の防止用だとか。同じタイプの346号は、烏樹林の台糖公司の観光路線で現役です。

▲ 台湾糖業鉄路の蒸気機関車

糖鐵巡道・公務車は、1962年の台糖公司虎尾糖廠製。ガソリンエンジンで走る両運転台車です。そういえば、ここにあるナローゲージの車両はみんな、正面窓にワイパーが無いんですが、雨の多い台湾で、これで良いのでしょうか。

▲ 台湾糖業鉄路の公務車


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