“ラトビア 鉄道歴史博物館” |
バルト三国の一つ、ラトビア共和国の首都リーガは、バルト海リーガ湾に面した人口70万人あまりの、バルト三国最大の都市です。
世界遺産リーガ旧市街の南にあるリーガ駅前から4番又は5番のトラムに乗り、旧市街の西側を流れるダウガヴァ川にかかる長い橋を渡った最初の停留所で下車すると、ラトビア鉄道歴史博物館があります。
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ラトビア鉄道歴史博物館前のトラム 長いポール集電の電車は
旧共産圏の標準型 チェコのタトラカー
ソ連崩壊直前、1991年の独立から3年後の1994年、ラトビア鉄道歴史博物館はここリーガとリーガの南西40kmにあるエルガワの支所の2ヶ所に設立されました。リーガでは、ラトビア鉄道の本線から分岐する留置線の奥にある、古いエンジン倉庫(機関庫?)の建物を使っています。屋外展示車両は、留置線をそのまま利用して並んでいます。
1999年から2000年にリニューアルを行い、ラトビア鉄道の発展の歴史を展示しています。かつては鉄のカーテンの向こう側のソ連にいて、撮影も困難で情報も少なかったため、西側の人間には珍しい車両の宝庫です。
▲ ラトビア鉄道歴史博物館
観音開きのドアからから建物に入ると、保線用でしょうか、レールの上に並んだ軌道自転車や軌道バイクが出迎えてくれます。チケット売り場はその奥に。
1Ls(ラトビアの通貨ラッツ、1Ls=約200円)の入場料を払って中に入ると、ラトビアの鉄道の歴史がパネルで展示されていますが、書かれているのはラトビア語だけ。年号以外は何のことだか○※△×?・・・・。
▲ 入口では保線用の軌道自転車や軌道バイクが出迎えてくれる
ラトビアの鉄道の線路幅は、多くが旧ソ連を構成していた他の共和国と同様に1524mmの広軌ですが、地方には狭軌の鉄道もあり、一部は現在も残り運行を続けているそうです。
明るい緑色に塗られた、狭軌の蒸気機関車がいました。小さいながらも4軸の動輪を持つ、日本流にいえばD型の機関車です。燃料に使うのでしょう、薪が積まれています。
▲ 燃料に薪を使用するナローゲージの蒸気機関車
何枚かの写真のパネルが飾られています。その中の1枚、半世紀前のリーガ駅前の風景では、行き交うトラムやバスに対して、自動車がほとんど見あたりません。駅前のトラムの路線は、今も変わっていないようです。
▲ 半世紀前1960年のリーガ駅前の写真
ソ連の新幹線、ЭР200の大型模型があります。ソ連の看板列車として、最高速度200km/hでモスクワとサンクトペテルブルグを結んだ、ちょっと野暮ったい流線型 の電車です。RVRのマークが付いているので、実物はラトビアのリーガ車両製作工場で製造された車両と思われます。2010年にはロシアにも本物の新幹線が開業してドイツのICE3が走り始めるのだとか。
▲ ロシアの新幹線ЭР200の大型模型
HOゲージの鉄道模型もありますが、残念ながら動いていません。1960年代の駅舎を背景に、ソ連のM62ディーゼル機関車が貨車を連結しています。その向こうには何故かスペインのタルゴが停車中。異なる線路幅の路線を自在に行き来できるタルゴで、リーガからドイツやフランス、スペインを目指す夢を表現しているのでしょうか。
▲ ラトビア鉄道の模型 何故かスペインのタルゴの姿も
駅長さんの執務室でしょうか、駅の内部を再現したような展示や各種の制服や作業服。
▲ 駅長さんの執務机でしょうか
通信設備や閉塞に使った信号設備とおぼしきものがありますが、こちらも説明がラトビア語だけのため、何がかいてあるやら○※△×?・・・・。
▲ 電話機が付いていますが閉塞の機械でしょうか
奥には、広い展示ホールがありますが、その中はほとんど空っぽ。ディーゼル機関車の先頭部分を切り取ったお面がポツンと置かれています。
▲ 広い展示ホールの片隅に置かれたディーゼル機関車のお面
ステップをよじ登って乗務員室扉から運転台に入ると、運転台の機器はそのまま残されています。旧ソ連の列車は右側通行のため、運転席も右側に設置されています。
▲ ディーゼル機関車の運転台
展示ホールの片隅は物置のようになっていますが、狭軌の枕木とレールの上に、木造車体のラッセル車が乗っています。黒い雪かきの部分だけは、鉄でできているようです。
▲ ナローゲージのラッセル車
その隣には、何に使われたのか、窓に写真のパネルをはめ込んだ客車が置かれています。こちらは広軌の客車です。連結装置がピンリンクとバッファだけなので、かなり古いもののようです。
▲ 何か由緒のある客車なのでしょうか
それでは、屋外に展示されている車両にご案内しましょう。 データは、ラトビア鉄道歴史博物館ホームページの情報を使用しています。