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羅漢亭の三段スイッチバック

太白駅を発車してからしばらく進むと、嶺東線に合流します。三角線を通って北に向きを変えると本日のハイライト、羅漢亭のスイッチバックが近づいてきます。標高780mの桶里駅付近ではるか彼方に、これからスパイラルとスイッチバックで降りていく谷底の道渓が望まれます。手前の眼下には、Ω状のカーブのトンネルを抜けたあとに通る線路が続きます。

これから降りていく道渓が奥に 手前にスパイラル路線

スイッチバックを下っていく

列車は深浦里駅を通過して興田駅に近づくと、右下の木々の間にこれから通るスイッチバックの線路が、さらに羅漢亭駅でもう一度スイッチバックしたあとに通るトンネルが川の向こうに見えてきます。

三段スイッチバックの一段目の車窓から二段目の線路 川の向こう岸に三段スイッチバック後のトンネルが

興田駅で停車したムグンファ号は、バックで1000分の30の急勾配をそろりそろりと深浦里駅に向けて下ります。このときの先頭になる列車最後尾の客車のデッキには、前方監視のために車掌が立っているはずですが、残念ながら電源車のために車内から見に行くことができません。

羅漢亭駅を発車  車窓にいま降りてきた線路を望む

桶里駅から365mの標高差を下った羅漢亭駅で再びスイッチバックして電気機関車が先頭に立ちます。道渓駅貨車を連ねた、げんこつ型電気機関車重連牽引の貨物列車と交換。こんな辺鄙な駅でも、一定の乗降客があります。

輸送の隘路となっているこのスイッチバック区間は、すでにループ式の長大トンネルが完成しており、2009年中には路線の切り替えが行われ、スイッチバックが無くなるといわれています。

去りゆく韓国の三段スイッチバックですが、車窓は阿蘇の外輪山を越える豊肥本線立野のスイッチバックの方が勝りますね。

 


韓国東海岸正東津駅

山岳区間を抜けたムグンファ号は北に向かって速度を上げます。やがて厳重な鉄条網付きのフェンスの向こうに海が見えてくると、東海駅に着きます。この路線は貨物輸送が盛んで、ヤードには多くの貨車が停車しています。

鉄条網の向こうに日本海(東海) ヤードに無蓋貨車が並ぶ

列車は日本海の沿って北上し、ソウルから6時間半近くかかって、世界で一番海に近い駅、正東津駅に到着。ここで下車します。ムグンファ号は、先頭の電気機関車が、京浜急行と同じVVVFの“ドレミファソラシド”音を奏でながら、去っていきます。終点江陵まで残り15分です。

正東津駅に到着したムグンファ号 正東津駅を発車するムグンファ号 最後部は電源車

正東津駅は、韓国ドラマ“砂時計”のロケ地で一躍脚光を浴びたところです。ソウルからの夜行列車でこの駅に降り立ち、日本海(東海)の日の出を見るのだそうです。駅には、本日の日の出時刻が掲示してあります。何と、7時38分。韓国の日の出は遅い!

正東津驛では日の出時刻を表示している ギネス登録海に一番近い駅正東津驛

正東津から近い統一公園に行こうと思い、駅前に出たものの、タクシー乗り場には空車がいません。駅前広場の一角に観光案内所があったので立ち寄ります。ここには日本人は余り来ないのか、店番の若い女性とは英語でのやりとりになります。路線バスの時刻表をもらい、バスの運転手に見せる行き先をメモ用紙にハングルで書いてもらいました。お茶まで入れてもらってしばし休憩の後、彼女は観光案内所を締めて鍵をかけ、駅から一本先の通りにあるバス停まで案内してくれました。カムサハムニダ m(_ _)m

赤い屋根の正東津駅と日本海(東海) 日本海を見下ろす客船型ホテル

このとき、駅前にタクシーが戻ってきたのですが、教えてもらったバスが来るまで待つことに。バスが来るまでの時間を利用して、停留所近くの丘に登ったら、眼下には日本海と正東津駅、はるか向こうの丘の上には豪華客船の形をしたホテルがあります。ここはリゾート地のようです。

 


統一公園の北朝鮮潜水艦

バスの時刻が近づくと、停留所にはどこからとなく乗客が集まってきます。江陵行きのバスは時刻通りにやって来ました。彼女に書いてもらったメモを見せ、運転手の横の席に座ります。バスは、線路と並行する海岸沿いの道を走ります。やがて、崖下の埋め立て地のようなところに、韓国軍の退役軍艦とならんで、潜水艦が見えてきます。道路脇の高台には韓国軍の監視塔も。統一公園バス停で降りたのは、私だけでした。

統一公園に向かいバス 統一公園の潜水艦 左上に韓国軍の監視塔

潜水艦の前の青い丸い看板には、韓国語、英語、日本語、中国語で説明が書かれています。日本語の部分を、ここに字の間違いもそのまま忠実に書き写します(ちょっと変?)

北朝鮮の潜水艦
●長1さ:35m ●幅:3.5m ●ターワを含めた高さ:6.7m ●重さ:325t ●速度:8.8knots 16.3km/h 10.12mile/h ●最大乗船人員30名 1996年9月18日正東津海岸に座礁になった「さめ級」潜水艦 

・1986年北朝鮮の自主技術でつくられた ・北朝鮮のスパイ25名乗船 ・座礁時25名全員脱出 ・軍事機密の流出をふせぐために放火。いまでもその臭いがします。 水上速度より水中で早ぃ速度(水上ー7ノット、水中ー12ノット) 

潜水艦侵入目的
単純な偵察活動ではなくて、潜水艦を使用して侵入可能性を試験・評価するための 戦闘偵察任務であった。進入路として安仁津と正東津海岸 ・海岸段丘が非常に発達された地形 ・海岸と山岳地帯がすぐ続けているから隠れと逃避そして内部侵入への好条件 ・6.25戦争の時も侵入されたことがある地域

北朝鮮の潜水艦侵入および座礁経緯
・96.9.14 05:00 テジョ港出発 ・96.9.15 20:00 江陵市安仁津里到着偵察組3名を内陸へ侵入させた後、水中待期 ・96.9.17 21:00 復帰の途中座礁 23:50 潜水艦内部を放火して証拠消滅潜水艦から脱出してゲバン山へ逃走 ・96.9.18〜11.5(49日間)北朝鮮からのスパイ掃蕩作戦展開 ・25名の中で生け捕り1名、射殺13名、同僚による被殺11名

韓国に侵入した北朝鮮の潜水艦 座礁時に落下したノズル付きプロペラと曲がった舵

座礁により潜水艦の舵は曲がり、落下したコルトノズル付きのプロペラは船尾翼の下に置かれています。これでは逃げられませんね。潜水艦の内部は公開されていて、ブリッジ内の機器類は時代物のようですが、プロッタなどは日本の有名メーカ製を装備しています。放火でプラスチック部分が溶けています。

潜水艦のブリッジ内の機器類 日本製のプロッタも装備

後部の機関室には米国製でしょうか、主機関は黄色いV型ディーゼルエンジンで発電機と直結していて、電気推進も可能なのかもしれません。隣の部屋には小型の補機関も入っています。主機関停止中に船内に給電するのでしょうか。

モーター、発電機、ディーゼル主機関? モーター? と推進軸

潜水艦の隣には、韓国海軍の退役軍艦も展示されています。こちらも船内の見学は可能で、軍関係の展示の他、売店もあります。駐車場には、家族連れで訪れたマイカーのほか、団体さんの観光バスも停車していますが、路線バスで来る韓国人は見かけません。

韓国軍の退役艦船 統一公園の横を走る貨物列車

統一公園の横を、ディーゼル機関車が嶺東線の貨物列車を牽引して駆け抜けていきます。

 


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