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T97次特快の乗車券

T97次特快の乗車券をご紹介します。KCR、香港の九広鉄路が発行もとのようで、香港ドルで$1191と印刷されており、中国人民元では1311元となっています。乗車日と発車時刻、10車5号と書いた赤いテープが張ってあるので、10号車に乗って5号室のコンパートメントのドアを開けたら、すでに欧米系の先客が2名います。

京九特快の乗車券 乗車券と交換する換票証 下車前に乗車券と再交換

“Sorry”と謝ってから車掌に確認すると、3号室に案内してくれました。5はベッドの番号だったようで、発車後に車掌が検札に来たときに切符と交換する換票証(以前は金属製でしたがプラスチックのカードに変わってていました)には3包5と印されています。

 


高包車のコンパートメント

中国国鉄の高包車をご紹介します。片廊下でコンパートメントが9室ならんでおり、1両の定員は18名。一方の車端には中国式トイレシャワー室が、もう一方の車端には乗務員室洗面所、それに洋式トイレと乗降口のデッキがあります。

コンパートメントの中は向かい合わせの1段ベッド、窓側にはテーブルがあり、その下にはお湯の入ったステンレスのポットとふた付きのくず物入れ、壁には小さな網棚とハンガー、廊下の天井部分は物入れになっていて、天井は蛍光灯の間接照明です。窓にはレースのカーテンと厚手の遮光カーテンが ついていますが、日本の寝台車のようなベッドのカーテンはありません。

     
高包車の廊下 ドアの取っ手が金色       高包車の車内 2組のベッドとテーブル

前夜に北京の王府井の新東安市場で、非常食用にパンカップラーメンを買い込んできているので、日本から持ち込んだカップとティーバッグで紅茶を入れ、パンをかじっているところに車掌が相部屋となる乗客を案内してきました。

握手をして自己紹介。まず最初に、上手な英語はしゃべれないことを断っておきます。張さんは香港のシステムエンジニアで、97年の香港の中国返還前にオーストラリア留学を終えて帰ってきたそうですから30代前半でしょう。休暇で北京の友人を訪ねた帰りだそうです。

高包車の天井は間接照明 廊下の上は収納スペース 高包車の床は絨毯びき ステンレスのゴミ箱とお湯のポット

荷物を預けると有料のため、張さんは全部車内に持ち込んできたそうで、さすがに旅慣れています。“滑雪”という雑誌を持っているので、スキーと尋ねたら正解でした。もちろん香港にはスキー場はないため、韓国や日本に行くそうで、札幌にも行ったと話してくれました。張さんは日本のことをよく知っていて、私も香港はわかりますので、簡単な英語+漢字による筆談(筆談用にメモ用紙を持ってきています)で話がはずみます。

うち解けあった頃を見計らって、“お願いがあるのでけど”と米ドルから中国元に両替をしてもらえないか尋ねてみました。そうしたら、張さんは2月に大阪に行く予定がある そうで、日本円から中国元に両替してもらえることになりました。やれやれ、これで食堂車にも行ける。

 

T97次特快の車両

高包車の隣の11号車が餐車(食堂車)です。張さんは朝食をとりに行きましたが、私はパンで済ませてしまっていたので、昼食時に行きました。メニューは手書きで、略字のせいもあり漢字を見てもピンと来ません。北京の街中の一般の店の に比べ値段は2倍、味は平均以下です。かつて北京から洛陽まで乗った夜行の直快の食堂車の食事がおいしかった記憶があるだけに、中国の看板列車であるT97次特快の食堂車は全くの期待はずれでした。

清潔な食堂車の車内 張さんとの夕食 値段は高が味はいまいち

それでも、夕食は張さんと一緒に食堂車に出かけました。今度は、張さんがメニューを英語に翻訳してくれたのでよくわかります。食堂車の車端にはフードストッカーがあり、材料が積まれていました。

かつての中国の列車のトイレといえば、おぞましいまでの汚れ方で、できることなら使用を避けたかったものです。高包や軟臥では定員が少ないせいもあるでしょうが、今ではずいぶんきれいになりました。床に穴を開けただけの中国式はどうしても汚れますが、洋式の方は日本の車両と変わりません。

     
食堂車のフードストッカー       高包車の中国式トイレ

ただし、トイレのドアにはかつての日本の国鉄と同様に、停車中は使用しないでくださいとの表示が。垂れ流し式のため駅に停車すると、各車両にいる車掌がトイレのドアをロックして使えなくします。

ドアに淋浴間と書いたシャワールームがあるのですが、夜になってから何度いってもドアがロックされています。車掌に聞いてみようとしても、どこへ行っているのか車端の乗務員室はいつも空 っぽ。

トイレのドアの表示 シャワールームのドア表示 高包車の洗面所 硬臥車の洗面所

T97次特快の編成は、韶山8型電気機関車が先頭に立ち、次が電源車、荷物車、硬臥(B寝台)が4両、軟臥(A寝台)が4両、高包(特等寝台でしょうか)1両に食堂車が1両、ここまでの客車が北京西から香港九龍まで直通し、食堂車の後ろに10ほどつながった軟臥や硬臥は中国国内の広州東で切り離しとなります。食堂車から前の車両の乗客はすでに中国を出国していますが、後半の車両は終点まで中国国内のままです。

軟臥車の廊下も間接照明 ドアのない硬臥車の廊下 3段ベッドの硬臥車 ベッドにカーテンはない

実は、食堂車から後ろの車両への通路は開いていたのですが、ドアに太いチェーンと大きな南京錠が付いていて、もし閉められたら戻れないと思い、列車の後部の車両の探検はあきらめました。

高包車から前方の香港九龍行きの軟臥車と硬臥車の車内をご覧いただきます。軟臥車はドアが閉まっているので乗車率はわかりませんが、硬臥車は空いていて、誰も乗っていない区画 がいくつもありました。