HOME  1/2page  2/2page


旅の車窓から

中国 乗り継ぎの合間の北京

中国国際航空CAで羽田からスペインの首都マドリードに向かう途中、北京での乗り継ぎの時間を利用して機場線と地下鉄に乗り、前門大街と天安門広場、王府井に行ってきました。

北京の気温と時刻 クリックすると天気も表示

北京の気温と時刻 クリックすると天気も表示

乗り継ぎの時間待ちで夜の北京の街中へ

2011年の11月に、中国国際航空CAを北京で乗り継ぎ、スペインのマドリードに行きました。今時、サーチャージや空港使用料等、全部込みで75,000円と少々で日本からヨーロッパを往復できるのは、CAの正規割引料金以外にはありません。安価な航空券は制限が厳しくキャンセル不可(キャンセルしても払い戻し無し)も多い中、キャンセル料が11,000円余りと安いのも、CAの良心的なところです。

マドリード便の北京出発は深夜の0時過ぎのため、成田を夜に出発する北京便が接続しています。でも、成田空港は使いたくないので、羽田の午後便にしました。

羽田午後便の場合、夕刻に北京首都国際空港に着いてから、乗り継ぎ時間が7時間ほどあるので、一度中国に入国して北京の街中まで出て、軽めの夕食にすることにしました。実は、5月に北京からフランクフルトへの深夜便に乗ったときも、北京での乗り継ぎ時間が8時間ほどあるので、街中に出ようと思っていたのですが、羽田からの北京便が3時間以上も遅れたため、断念した経緯があります。

※ 2ページの末尾にそれぞれリンク先を設けました。詳しく知りたい方はご利用ください。

 


地下鉄機場線で北京市内へ

北京首都国際空港は、オリンピックで拡張され、第1から第3ターミナルまであります。CAの羽田からの便も、マドリードに向かう便も第3ターミナルです。

飛行機を降りて入国審査を通ってから、機内預け荷物受け取り(今回は乗り継ぎのために北京ではピックアップしませんが)まで遠いので、新交通システムのような車両に乗っての移動です。高速で走行しますが、成田の第2ターミナルや関空に比べ、その移動距離の長いこと。

北京首都空港内の新交通システム 機場線の自動改札

北京は3年半ぶり、ということは前回は2008年の北京オリンピックの前のことになります。オリンピックで北京の地下鉄網の整備が進み、地下鉄の経営する空港直通電車機場線(机场も開通しています。乗り場は、空港につながる建物で、市内まで25元はバスの16年に比べずいぶん割高。しかも都心までは行かずに、北京を周回する地下鉄2号線の北東の角に当たる東直門(北部郊外に向かう13号線とも接続)が終点ですが、渋滞の心配がないので安心です。

北京の地下鉄やバスで使えるICカード、一卡通を持っているので、荷物のX線検査を受けた後、自動改札機にタッチ。ここの自動改札機は日本製のようです。

機場線の電車 機場線の車内はクロスシート

ホームに4両編成の電車が入線してきます。第三軌条から集電するため、架線は無くすっきりとしています。また、大江戸線や長堀橋線のような車輪のあるリニアモーターカー方式で、線路の間にリアクションプレートが設置されています。車内はクロスシートですが、リクライニングも回転もできません。

3号航站楼(空港第3ターミナル駅)をほぼ満席で発車するとトンネルに入り、次の停車駅は2号航站楼。ここでしばらく停車。第1ターミナルや第2ターミナルに向かう乗客が下車し、代わりに北京市内に向かう客が乗ってきます。3号航站楼も2号航站楼も行き止まり式の構造で、スイッチバックで電車の進行方向が変わります。

ホームドアのある地下鉄10号線の駅 国貿駅で10号線から1号線へ乗り換え通路は大混雑

トンネルから抜け出ると、高架線で北京市内に向かいます。空港内を除くと機場線の途中停車駅は1個所のみで、地下鉄10号線と接続する三元橋の手前で再び地下へ。三元橋駅で乗り換えてみると、新しい10号線はステンレス車にホームドア。ちょうど夕方のラッシュ時で、10号線は大混雑。何とか積み残されないように乗り込んで、国貿で降りたら、1号線への乗換通路が人であふれて大渋滞。開通して間もない路線でこの有様では、ラッシュ時の利用客数の見込みを過小評価した設計ミスとしか思えません。

地下鉄1号線の電車 地下鉄2号線の電車

建国門で1号線から2号線に乗り換え、やっと天安門広場の南側にある前門駅に到着。1号線は以前と同じ鋼製の車両が残ってましたが、2号線は新しいステンレス製の車両に替わっています。機場線から東直門で直接2号線に乗り換えれば良いものを、空港から前門まで1時間と15分、予定よりずいぶん時間がかかってしまい、三元橋で乗り換えたのが間違いでした。

 


前門と箭楼

天安門広場の南にそびえる高さ42mの正陽門は、一般には前門と呼ばれていて、地下鉄2号線の駅名も前門になっています。かつて、北京の市街地を取り囲んでいた城壁にあった門の一つで、城壁が取り払われたあとは道路となり、その下を地下鉄2号線が方向幕に環行と表示して周回しています。そのため、地下鉄2号線には門が付く駅名が多いものの、実際の門が残っているのは他には徳勝門だけでしょうか。

天安門広場の南にそびえる正陽門(前門)

前門の前に建つ箭楼は、武器や弾薬を蓄えておき、攻め来る敵をこの上から狙い撃ちをするための施設で、城壁が撤去される前には前門と箭楼は城壁で結ばれていたのだとか。そういえば、箭楼には外側に向かって窓がたくさん開いています。

正陽門の南に建つ箭楼

 

前門大街

箭楼の東にある時計塔を有する建物は、かつて東北方面の列車が発着した北京正陽門駅で、今は鉄道博物館となっています。

箭楼から南へ、夜も大勢の観光客で賑わっているのが前門大街です。2007年にここを訪れたときは、オリンピックに向けて北京の大改造中で、前門大街に沿った建物は全て撤去され、フェンスに囲われた工事現場になっていました。

旧北京正陽門駅の鉄道博物館 前門大街の入り口

それが今、前門大街の両側には1920年代、清朝末期から中華民国の時代を再現した街並みが新しく作られ、路面電車と歩行者のトランジットモールとなっています。ちょうど路面電車がやってきましたが、乗客を降ろすと留置場所でしょうか、柵で囲われた中に入ってしまい、今日の営業は19時で終了のようです。地下鉄で余計な時間を取ってしまい失敗です。

路面電車前門1号 キャパシタに充電中

前門大街の中央に複線の線路が敷かれていますが、折り返しのポイント等はなく、正陽橋と繁体字で書かれたゲートを箭楼の方向に抜けると、それぞれの線路が左右に分かれて、その先は電車の留置場所につながっています。今帰ってきた電車が前門1号、もう一両、フェンスの扉が閉まった先に留置されているのが前門2号で、線路は単線並列として、それぞれの電車が1両ずつ専用に使っていると見受けました。

路面電車前門2号

この電車、屋根にビューゲルは付いていますが架線がありません。キャパシターに蓄電して動くハイテク車両のようです。留置場所に入った前門1号は、ビューゲルとは別に屋根から小さなパンタグラフを伸ばして充電中。上海の豫園の周辺を走っている、架線が無く停留所でパンタグラフを上げて充電する電気バスと同じ方式かと思います。

それにしても、車体をよく見ると腰羽目の部分に縦に筋を入れて木造車風にしているにもかかわらず、ウインドウシルやヘッダーにはリベットのような突起があって初期の鋼製車風という不思議な設計です。運賃は1乗車20元で、地下鉄の10倍だとか。

前門大街は中央に路面電車の線路のある歩行者天国

前門大街の両側に並ぶ民国時代風の建物には、ショップやカフェ、レストラン等の有名店も入居しています。全聚徳、同仁堂、張一元などの中国を代表する老舗が多くある中に、优衣库(ユニクロ)の看板も出ています。