“台湾高鐵(台湾新幹線)に自由席登場”


台湾高鐵(Taiwan High Speed Rail 台湾新幹線)は、台湾最大の都市“台北”から桃園、新竹、台中、嘉義、台南を経て第二の都市“高雄”へ、西海岸に位置する台湾の主要都市を、南北に結びます。2005年秋の開業予定が数度にわたって延期になり、やっと2007年1月に台北から台鐵(中華民国交通部臺湾鐵路管理局=国鉄在来線、高鐵は民営です)で2駅目の板橋から高鐵左營(高雄から台鐵で2駅目) 間で仮開業、3月に台北駅まで乗り入れました。

その後、数度のダイヤ改正で運行本数も増え、JR東海/西日本の700系をベースにした700T型が12両編成で最高速度300km/h、台北−高鐵左營間345kmを最速1時間36分で順調に稼働しています。

高鐵は台北、板橋で台鐵及び台北捷運(地下鉄)に、高鐵台中で台鐵新烏日駅に、終点高鐵左營で台鐵新左營駅に接続しています。その他の駅は鉄道の接続が無く、高鐵台中や高鐵左營も含め市街地から離れた不便な立地です。高鐵と台鐵で経営が異なるからか、 開通時点では新烏日や新左營に停車するのは台鐵の區間車(各駅停車)と區間快(快速)のみで、優等列車は全て通過です。

▲ 台湾高鐵台北駅の切符売り場 自由座を宣伝する幕を掲げている 2007/12/23

2007年11月の高鐵ダイヤ改正では、途中駅板橋、台中停車のみの速達タイプと各駅停車タイプに加え、板橋−台中間ノンストップでその他の全駅に停車する新しいパターンの列車も登場 (2008年1月の改正で消滅)しました。 また、高鐵台中から台中市内へ、新左營から高雄市内へ、無料循環バスを運行して台鐵や高速バスに対抗しています。

11月改正の数日後から、12両編成のうち普通席の10〜12号車が自由座(自由席)となり、12月末までの期間限定で指定席から2割引の運賃が設定されました。

台北から台中までの自由席に乗車したのは2007年12月24日。高鐵の窓口では英語が通じます。乗車券には、左上から片道切符、自由席限定、磁気テープ面を上にして改札機に通してください、台北→台中、自由席車10〜12号車、555台湾元、クレジットカード、大人、切符の番号(おそらく)、2007/12/24発行、2007/12/24有効と 印字されています。

▲ 磁気カードになった高鐵のチケット

優等列車は全車指定席で、満席の場合は無座(立ち席)の切符を販売する台鐵に対して、始発駅で並べば座れる自由座は、台湾では初めての試みではないでしょうか。日本の自由席が有効期間2日間に対して、台湾高鐵は当日のみ、どの列車にも有効となっています。

地下1階の改札口には、飛行機の搭乗口のように自動改札機の前に案内の女性職員がいます。改札を入ると待合いコーナーの椅子があり、地下2階のホームに降りる階段には、市街地から外れた高鐵台中や高鐵左營から市内各所への無料送迎バスの垂れ幕が掲げられています。

▲ 台湾高鐵台北駅の改札口 飛行機の搭乗口のように自動改札機に案内の小姐がつく

切符は磁気カードになっています。JRと同じかたちの自動改札機を使っている台鐵に対し、高鐵は台北地下鉄と同じタイプのヨーロッパ製でしょうか。切符を裏返してから自動改札機に挿入する、変な仕様です。向きを間違えるからでしょう、切符の表面に磁気面を上にして入れるように明記するとともに、自動改札機の挿入口にも図示しています。

▲ 高鐵の自動改札機には切符を裏返して磁気テープ面を上にして通す

かつては台鐵が使っていた地下のホーム4面8線のうち南側の半分、2面4線を譲り受けて高鐵台北駅になっています。2本のホームがそれぞれ月台1、2(1番線、2番線)となっていて、各ホーム両面それぞれにA、Bの番号がふられています。線路は、路面電車のように舗装されていて、枕木が見えません。

7時18分発の板橋−台中間ノンストップ便に乗ろうと1番A線に行くと、指定席はガラガラですが、自由席の窓側には空席がありません。隣のホーム2番B線から発車する7時30分発 の各駅停車タイプにしました(その後ダイヤが改正で時刻が変更されています)。

▲ 台鐵(台湾国鉄の在来線)のホーム2面を転用した高鐵台北駅に停車中の700T 右のホームは台鐵

車内とデッキを仕切る扉は、横の大きな四角のボタンを押さないと開きません。扉の車内側に荷物置き場が設けられ、この部分に窓がありませんが、デザインを考えてか車体の外側にはダミーの窓が設けられています。

普通席は、高雄に向かって進行右側、海側が3人がけ、山側が2人がけになっています。自由座(自由席)車では、車内の両端の5席ずつ、博愛座(シルバーシート)と書いた青い枕カバーがかけられています。

座席はテーブルの背面に貼った車両の案内まで含め、日本の700系とそっくり。車内の中央付近の窓ガラスに、緊

▲ 普通車自由席の車内 入り口に荷物置き場 青いシートカバーは博愛座(シルバーシート)

急脱出口のシールが貼ってあり、横の壁にハンマーが装備してあります。

▲ 座席の背面の案内は日本とそっくり(左) 緊急脱出口の窓とハンマー(右)

運転室の扉はなく、鍵があれば車掌はどこの客用扉ででも開閉操作ができるのは、台鐵と同じ仕様です。

デッキに電話室らしき小部屋がありましたが、中に公衆電話機はありません。扉に窓があるので、更衣室にも使えません。何なのでしょうか。

▲ 全てのドアで開閉操作ができる 右側にはハンマーも(左) 電話室の中は空っぽ(右)

トイレは1両おき、奇数号車の台北寄りにあります。男女共用が2ヶ所に、男子小用が1ヶ所。男子トイレも鍵がかかります。独立した洗面台は無く、小さなものがトイレの中に。デッキには、飲み物の自動販売機も設置されています。

▲ 連結面にトイレと自販機 洗面台はトイレの中

台北を発車時点で乗客は1/3程度でしょうか。次の板橋までは地下をゆっくり走ります。板橋で同程度の乗客が乗ってきました。板橋を発車すると地上に出て、市街地を抜け速度が上がります。防音壁は少なく、展望は良好です。

桃園は国際空港の最寄り駅。自由席はほぼ満席になります。丘陵地帯を短いトンネルで抜け、次の新竹でも乗降があります。

▲ 高鐵台中駅に到着した新幹線 上下線の間にガラスの仕切がある

車掌の検札、車内販売のワゴン、日本の新幹線と同じです。車販の小姐の制服がクリーム色のブラウスにオレンジのベスト、黒いパンツで、新幹線車両と色を揃えています。

台中市街地を左側の車窓に見て通り過ぎた先に高鐵台中駅があり、ここで下車します。台中は、板橋とともに全ての列車が停車しますは、島式ホーム2面のそれぞれ外側に通過線も設けられています。

▲ 荷物置き場の窓が塞がれている 車販の小姐の制服は新幹線とお揃いの配色

上下線の間には仕切りがあるので、向かいのホームに入線してくる列車の撮影は困難です。台北方面のホームに入線する列車を撮るために、ホームにあがります。

▲ 高鐵台中駅に進入する台北行き新幹線 足下の黄色い線にLEDが点滅

台湾の駅は、かつての日本の国鉄駅がそうであったように、乗車と下車の改札口が分かれていますが、高鐵は乗車するために改札からホームに向かう階段と、下車したあとホームから改札に向かう階段も分けられています。

高鐵台中駅は、広いコンコースを持つ駅です。高鐵の開通に合わせて設けられた、台鐵新烏日駅にも直接つながっています。

▲ 高鐵台中駅のコンコース

駅構内のセブンイレブンに、高鐵グッズのコーナーには、新幹線700TのNゲージやプラレール、マグカップやキーホルダー、携帯ストラップなどが並んでいました。

▲ 高鐵台中駅構内セブンイレブンの高鐵グッズコーナー

最新の時刻や運賃等の詳細等は、台湾高鐵日本語ホームページでご覧ください。

2003年末の、台湾高鐵建設中の様子は、こちらをご覧ください

 

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