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ストックホルムの市電

再び中央駅に戻ります。わずか1路線ですが、セルゲル広場の近くから市の中心部を7番系統ミュージアム線のクラシックな路面電車が走っています。1967年に車が左側通行から右側通行に切り替わったときに廃止になった路線を、1990年代のはじめに観光用復活したそうです。

1920〜50年代の車両を使用して、夏期は毎日運転していますが春と秋は週末だけ、冬季は特別の行事以外は運休だそうです。観光用のためか夕方6時頃には運転が終了します。乗ろうと思ったらもう終電後でした。

ストックホルムのクラシックな路面電車 終点がループ線のため運転台は片側だけ 後ろはこんなスタイル

現地では気づかなかったのですが、その後のインターネットの情報では、郊外にはこれ以外に路面電車タイプの路線があり、また1990代末に開通したLRTもあるそうです。

 


ストックホルム発オスロ行き国際列車

スウェーデンに到着した翌日は、もうノルウェーへ向けて出発です。私にとって、この旅行のハイライトのひとつ、ストックホルム発オスロ行きの国際列車に乗る日です。列車で国境を越えるのはこの時が初めての経験です。

ストックホルムとオスロの間は東京−大阪間より少し遠い574km。大半の旅行客は飛行機を利用するのでしょう。当時は、この間の直通列車は朝と午後発の2本のみで、電気機関車が客車を牽引していました。

ストックホルム中央駅にて オスロ行き国際列車 ストックホルムの機関区に憩うスウェーデン鉄道の電気機関車

私の乗ったのは、朝の列車で1999年の時刻表ではストックホルム7時24分発、オスロ13時25分着で、終点まで通してスウェーデンの電気機関車がスウェーデンの客車を牽引して走ります。表定速度95km/hですから、在来線では結構高速です。今では、スウェーデンの誇る振り子式の高速列車、X2000が運転され、さらにスピードアップされているそうです。

 
スウェーデン鉄道の気動車   編成の中にはプレイルームも

私が乗車したのは2等車でしたが、中央にテーブルのついたゆったりとした4人がけのシートで、ボックスシートながら座面を前にずらすことで背ずりの角度が変えられるリクライニング式になっていました。

福祉の国だけあって、編成の中には子供の遊び場を備えた車両も連結されています。夏ということもあって、乗客はほとんどが観光客です。もちろん旅の楽しみ、食堂車も連結されています。

食堂車 貫通扉の窓越しに 途中駅で接続するローカル線の気動車

ストックホルム中央を出発するとすぐにメーラル湖とバルト海をむすぶ水路を鉄橋でわたります。機関区に憩う機関車や気動車の姿が消えると、車窓には森と湖の風景が広がります。女性の車掌さんが検札に来ました。行程の半分程度までは、複線でスウェーデン第2の都市イエテボリへ向かう幹線を走り、X2000ともすれ違います。

 
国境の駅 カルロッテンベリ スエーデン鉄道の女性車掌が下車   スウェーデン・ノルウェー国境のモニュメント

オスロへ向かう線にはいると単線になり、列車本数も少なくなります。森の風景もそろそろ見飽きた正午前にスウェーデン最後の駅カルロッテンベリに到着し、ここでノルウェーの乗務員と交代します。

カルロッテンベリを発車してしばらくすると、車窓にスウェーデンとノルウェーの国境を示すモニュメントが見えるよと、乗客が教えてくれました。ノルウェーに入国です。

 


旅のヒント

スウェーデン、ノルウェー、デンマークの北欧3ヶ国は、言語はよく似ており、通貨はレートが若干異なるもののいずれもクローネ、日本人から見れば違いがわかりません。スカンジナビア航空として国際線の航空機を共同運行したり、日本における観光の窓口も、赤坂見附の東急ホテルのそばのビルにスカンジナビア政府観光局として共同で運営しています。東京近辺の方で、この3ヶ国へお出かけの方や観光情報を入手したい方は、ここを訪問されることをおすすめします。

北欧3ヶ国は福祉の国ですが、その財源確保のために税金は高くなっています。消費税は20〜25%でなかったかと思います。円高の95年当時で、物価の高いことは日本と変わらないように思いました。パッケージツアーで行くなら、なるべく食事付きのツアーを選定することをおすすめします。食事の多くは、北欧式バイキング(バイキングは日本語で、英語ではbuffetといいます)のスモーガスボードで、肉や魚、野菜も豊富でとてもおいしいです。個人で旅行される方には、ユーレイルパス又はその北欧3国版、スカンジナビアレールパスがおすすめです。

北欧3ヶ国は世界でも治安が良いことで知られています。でも、ECの中を自由に行き来できるようになった現在、観光客をねらって、スペインやイタリア(とスウェーデンの人は言っています)から出稼ぎに来るやつが増えているそうです。北欧だからといって気を許してはいけません。

ところで、私が北欧3ヶ国に旅行した95年の夏時点では、日本ではまだWindows95の発売前で、今のようなネット環境は整っていませんでした。事前に訪問国の情報を得る手段としては、ガイドブックと政府観光局で入手する最新の地図やパンフレットだけでした。

ストックホルムの市街地で偶然に市電を見かけて、現地で初めてこの街に市電があることを知りました。復活から数年、日本のガイドブックには掲載されておらず、こんなマイナーなことは政府観光局のパンフレットにもありませんでした。

芸術作品のような地下鉄の駅の存在も、最近ネットで情報を入手するまで知りませんでした。私が利用した数ヶ所の駅はただの地下鉄駅で、もう一駅足をのばせば珍しい光景に出会えたのにと思うと、そう何度も足を運べる都市でないだけに残念です。ストックホルムにおいでの際は、ユニークなデザインの地下鉄駅めぐりも街歩きのプランに組み込むと楽しいと思います。

1995年7月 旅
1999年8月 記
2004年5月 改

 


お役に立つリンク集

これからお出かけになる方や鉄道ファンの方に役立ちそうなリンクをそろえました