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エレベーターでグントに降りる

ノートルダム寺院の裏手にある広場に面した建物のドアを開けて、自転車の親子連れが出てきます。お父さんが子供を乗せている自転車、日本のもこんなのがあるといいですね。

エレベータで上がってきた自転車の親子連れ  こんな自転車欲しいな

ひっきりなしに人が出入りするこの建物に入ってみると、その中には渓谷の中へ、グント(低地)に降りるエレベータがあります。これなら自転車でも、上の街と下の街を楽に行き来できます。

この中にグントに降りるエレベータ 高台のサンミッシェル教会

エレベータで下りて地下のトンネルを抜けると川岸に出ます。ここをゆったりと流れるのはベトリュッス川と合流したアルゼット川。旧市街を見上げると、サンミッシェル教会がそびえています。

グントのアルゼット川沿いの風景

 


ギョーム広場と大公宮

歩き疲れたのでアルゼット川に面した公園のベンチで一休みの後、再びエレベータで旧市街に戻ります。旧市街の中央にあるギョーム広場は、食べ物からお土産まで、観光客目当ての仮設店舗で埋め尽くされています。

ギョーム広場 大公宮

その先にある大公宮は、ルクセンブルグの国家元首である大公の住居兼執務室で迎賓館を兼ねています。建物はかつての市庁舎で、16世紀の再建だとか。

先ほどグントから見上げたサン・ミッシェル教会のわきを抜け、旧市街の断崖絶壁、ボックの砲台に向かいます。

大公宮の裏手 サン・ミッシェル教会

 


ボックの砲台

ボックの砲台は、断崖の上に位置するルクセンブルグ旧市街の東端、眼下にアルゼット川を見下ろす急峻な崖に18世紀頃にオーストリア軍によって造られた地下要塞の跡です。

世界遺産のレリーフ 地下要塞跡

1994年に、城塞都市としての旧市街全体が“ルクセンブルク市街、その古い町並みと要塞都市の遺構”として、世界文化遺産に登録されていますが、そのことを示すと思われるレリーフがあります。

遺跡の向こうに新市街のビル群 市内をめぐるミニトレインがグントに降りていく

ボックの砲台は、地下要塞跡そのものにも増して、崖の先端に位置するため、アルゼット川が流れるグントの街並みや崖のすぐ下に建つサン・ジャン教会などの絶景が堪能できます。

あるぜっと川とサン・ジャン教会 グントを渡る国鉄線

また、川の向こうの丘の上の新市街にはヨーロッパセンターや欧州議会事務局、欧州裁判所などのEU欧州連合の重要な組織の入るビル群がのぞまれ、小国ルクセンブルグがEUの中で重要な位置を占めていることがうかがわれます。

新市街の高層ビル群を背にインターシティーが行く

そんな風景の中、ルクセンブルグ国鉄の北に向かう線路が、何連ものアーチで構成される高い橋で、蛇行するアルゼット川を2個所で渡っています。列車の運転本数は多く、目の前を赤と白に塗り分けた二階建て客車 の一端に電気機関車が付き、プッシュプルで運転するインターシティーや、2両編成の国電やそれを2組使った4連のローカル電車が通ります。

ベルギー国鉄から乗り入れの列車 ルクセンブルグ国鉄のインターシティー
ルクセンブルグ国鉄のローカル電車

リエージュから来る国際列車でしょうか、ベルギー国鉄の電気機関車がわずか3両の客車を牽いて、ルクセンブルグ中央駅に向かいます。

 


ダルム広場

ボックの砲台から、もと来た道を旧市街にダルム広場に向けて戻ります。広場に面して自治宮殿が建ち、その一角では遊園地のような列車が子供を乗せて回っています。そろそろ陽も傾いてきました。

ダルム広場の自治宮殿 子供を乗せて豆列車が走る

広場に面して多くのレストランやカフェがあり、店の前にテーブルを出しています。でも、入り口に掲げたメニューは、どこもフランス語(多分)だけで、何の料理だか全然わかりません。中国人のパックツアーご一行が中華料理屋に入ったので、漢字のメニューがあれば解るかと思ったのですが、大陸からの団体さんと一緒はゴメンですね。

カフェ・フランセの店と19€(ビールは別)のセットメニュー

カフェ・フランセにセットメニューらしきものが出ていたので、近くにいたウエイターに聞いてみると、一つづつ英語に翻訳してくれます。これで何とか夕食にありつくことができます。

サマータイムを採用しているため、5月のルクセンブルグの日没は21時を過ぎます。まだまだ明るい道を、ルクセンブルグ旧市街から歩いて中央駅近くのホテルに戻ります。

 


ルクセンブルグ駅からベルギーへ

ルクセンブルグ中央駅からブリュッセル南駅へ、毎時20分発で1時間毎に所要時間3時間7分のインターシティーが運行されています。夏期を除く平日には9時発があり、停車駅が少なく2時間50分で走破するので、これに乗ることに。

ルクセンブルグ中央駅 ルクセンブルグのローカル国電

ルクセンブルグ中央駅にも、他のヨーロッパの駅と同様に改札口はありません。駅の構内には、ルクセンブルグ国鉄のインターシティーやローカル国電の他、フランス、ドイツ、ベルギーから乗り入れる列車が発車を待っていて、国際色豊かです。

ルクセンブルグ国鉄インターシティー フランス国鉄から乗り入れの二階建て電車

ブリュッセル南行きのインターシティーはベルギー国鉄の車両。前面の周囲に連結したときに貫通幌の代わりになる黒いゴムタイヤを取り付けた、デンマークなどでよく見かける独特の面構えです。

ドイツ鉄道のディーゼルカー ブリュッセル南行きベルギー国鉄インターシティー
ベルギー国鉄インターシティーの2等車 ベルギー国鉄インターシティーの1等車

窓の上に黄色いラインが入った1等車2両と、2等車2両の3両固定編成を2本併結した6両編成で、全車自由席。先頭車同士の連結面は、ゴムタイヤがぴったりとくっついています。1等車の車内は片側4人、反対側は2人のボックス席、2等車の車内は左右とも横2人ずつで、一部に向かい合わせのボックス席があり、いずれもシートの向きを変えることはできません。

ご覧のように車内はガラガラ。2等車でも十分にゆったりと座っていけます。ただ、1等車が窓割りと座席間隔が一致しているのに対して、2等車は同じ車体に座席を詰め込んであり、窓とシートの位置が一定でなく、横が壁に当たる席があります。シートの向きも含め、ヨーロッパ人はこんなことは気にしないのでしょうか。

     
ゴムタイヤの連結面       ルクセンブルグ国鉄の入れ換え用ディーゼル機関車

列車は定刻に発車します。すぐに、丸にBのマークのベルギー国鉄の車掌さんが検札に来ます。車窓をルクセンブルグ国鉄の入れ換え用ディーゼル機関車が横切ります。次の停車駅にはベルギーの国電が停まっており、もう国境を越えたようです。

 


旅のヒント

ルクセンブルグは、東がドイツ、南がフランス、西と北がベルギーに接する小さな国です。旧市内の観光だけなら、中央駅から自分の足だけで、半日あれば十分に回ることができます。中央駅から旧市街まで、バスも頻繁に運行されています。

ルクセンブルグ中央駅から、列車が東西南北の4方向に通じていて、国際列車が乗り入れています。東のドイツへは、トリールまで1時間毎のERで1時間、コブレンツ経由でケルン方面のICが1日4本で、コブレンツまで2時間20分。フランクフルトへはさらに1時間。

南のフランスへは、パリ東までTGVが2時間10分で1日5本程度のほか、フランスのMetzとの間にローカル電車があるようです。北のベルギーへ、リエージュまで1時間半で1日8本程度運行されています。

一番便利なのは、北西のベルギーの首都ブリュッセルからのインターシティーでしょう。3時間少々を要するものの、終日1時間毎に運行されていますので、日帰り観光が十分に可能です。

 


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