“スイス アルプス 氷河急行 レーティッシェ鉄道” |
東のサンモリッツから西のツェルマットまで、8時間余りの時間をかけて標高差1400mを登ったりおりたり、アルプスの山々に抱かれた美しい車窓をゆっくりと楽しめる列車が“GLACIER EXPRESS 氷河急行”です。
氷河急行はスイス国鉄ではありません。線路幅がちょうど1mのナローゲージの私鉄3社の路線をつなげたもので、それぞれの会社の接続駅で機関車は交代しますが、乗客の乗った客車はそのまま直通します。
3社の中で、一番東の区間を担当するのがレーティッシェ鉄道。路線の総延長が400kmにも及ぶスイス最大の私鉄です。夏のハイシーズンには4往復の氷河急行が運行されますが、そのうち2往復は高原の高級スキーリゾート、サンモリッツに発着します。
ナローゲージだからでしょう、氷河急行の客車はスイス国鉄に比べて長さも幅も一回り小さく、3社とも赤い色に塗られています。窓の上の黄色のラインは一等を表します。イタリアのデザイナーの手による新しいパノラマ一等車はエアコン付きですが、窓が開かないので夏の車窓を楽しむには旧型車の方が良いでしょう。
レーティッシェ鉄道には普通列車もあり、氷河急行の走らない路線もあります。国鉄との接続駅クールでは区間運転用でしょうか、昔の京浜急行によく似た電車も見かけました。
サンモリッツからアルプスを越えて南に向かうベルニナ線は、国境を越えてイタリアのティラノまで乗り入れています。ベルニナ線では、電気機関車並みの高出力の電車が長い客車を牽引しています。次に機会があれば、車窓の風景が氷河急行に優るともいわれているベルニナ急行に乗ってみたいと思います。