“ベルギー ブリュッセル  オールドトラムで小旅行”

ベルギーの首都ブリュッセルの東の郊外にトラム博物館があり、多くの保存車両が展示されています。春から秋の週末の午後、動態保存されている車両が博物館の来館客を乗せ、市電の営業路線を運行します。

▲ トラム博物館の前で発車を待つオールドトラム 2011/5

ブリュッセルの都心から東西に走る5番のメトロに乗り、モンゴメリーで39番または44番のトラムにトラムに乗り換えます。地下駅から発車したトラムはすぐに地上に出て、緑の多い郊外の閑静な住宅街を走ります。トラム博物館前の停留所で下車。

▲ オールドトラム984号の運転台

トラム博物館は市電の車庫を利用ており、隣には39番や44番の営業車も入庫しています。発車時刻が近づくと、博物館の中からオープンデッキの2軸単車984号が、同じく2軸で側面がオープンの付随車301号を従えて出てきます。

984号の運転台には大きなコントローラとハンドブレーキ。あとで設置されたのでしょう、エアーブレーキも付いていて、床下からゴトゴトゴトゴトとコンプレッサーの音が聞こえます。

▲ 優雅な造作の984号の天井

984号の窓ガララスに書かれた1906の数字は製造年でしょう。御年105歳の木造車体は綺麗に整備され、まるで工芸品のようです。

▲ トラム博物館を発車するオールドトラム

運転士さんは、この電車の現役当時の制服でしょうか、マントを着て乗務です。14時08分に今日の第一便がほぼ定刻通りに博物館から発車し、ポイントを渡ってトラムの営業路線に入ります。

▲ 984号の車内

クラシックな制服の車掌さんが検札に来ます。この984号は、オープンデッキから客室に入る部分に引き戸がありますが、短い車体の客室をさらに半分に仕切ってドアを設けています。両方ともロングシートですが、後方の客室だけ座席に赤いクッションが敷かれていて、こちらは一等室だったのかもしれません。

▲ 走行中の車内の様子

博物館から先は専用軌道を走ります。オールドトラムの性能は日本の路面電車なみでしょうか。現代のブリュッセルの連接車に比べると加速は悪くスピードも出ないので、44番のトラムが15分のところを24分もかかって終点テルヴューレンに到着です。

テルヴューレンに到着した電車

▲ オールドトラムの運転士と車掌

乗務員も乗客もしばし休憩の後、トラム博物館に戻ります。乗客には、ここで降りてテルヴューレン公園に向かう人もいて、帰りは少し空席ができました。

 ▲ ソワーニュの森を走る電車の運転台

テルヴューレンのループ線で方向転換して、もと来た道を戻ります。ソワーニュの森の中の専用軌道を走る車窓をご覧下さい。

トラム博物館を出てから1時間ほどで再び戻ってきました。ここにはループ線がないので、運転士さんがポール(集電装置)の紐を持ってぐるっと回して後ろに付け替えます。ポール回しです。ポイントを切り替え、984号の連結面の運転台に乗り換えて、301号をゆっくりと押しながら乗客を乗せたまま車庫入れです。

▲ トラム博物館に戻ったオールドトラム

運行日や時刻等、詳細は http://www.trammuseumbrussels.be/ で確認してください。