事業用車も展示されています。無蓋電動貨車66号は、石炭や灰、保線用の資材等を運搬しました。特に石炭は19世紀末頃より、ポルト近郊の炭坑から火力発電所に運搬していたようです。雨の日には、運転士はマントを着て帽子をかぶり、ゴム長靴を履いて防護のための手袋をはめて乗務したのだとか。
▲ 石炭運搬車66号
無蓋貨車80号は、70号から90号までの11両のうちの1両で、1932年にポルトで製造されたと推定されています。漁村からポルトの市場まで、魚を入れたかごを乗せて運びました。朝顔型の連結器。トラムの貨車らしく、デッキ付きでハンドブレーキを装備しています。ブレーキマンが乗務していたのでしょうか。
▲ 魚を運んだ貨車80号
49号は、1932年にポルトで製造された架線修理車です。
架線修理車49号
屋根上に手動で上下する台があり、側面のハンドルを回転することで、5.3mの高さまで上げることができます。
▲ 架線修理車49号の側面
車内は、架線の修理に必要な部品を搭載するとともに、簡単な作業ができる工房にもなっています。
▲ 架線修理車49号の車内
緑の架線修理自動車は、1929年にドイツから購入した“Hansa Lloyd”です。ガソリンエンジンは4気筒で排気量3970cc。架線修理に使用する上下台を装備し、5人乗れる席が用意されています。
▲ 架線修理自動車 Hansa Lloyd
何故かもう一台、架線修理自動車が展示されています。色違いですが、書いてある説明の内容は同一です。
▲ 架線修理自動車 Hansa Lloyd
ポルトには、今はトロリーバスの路線はありませんが、過去にはこんな車が走っていたようです。説明がないため、詳細はわかりません。
▲ トロリーバス
トロリーバスの車内は、中扉より前方がロングシート、後方が前向きシートで、バスと同じです。天井の真ん中を通る紐は、次停車の合図でしょうか。
▲ トロリーバスの車内
その他、切符や乗務員の制服、昔の写真パネル等が展示され、お土産品の販売コーナーもあります。大八車の車輪にモーターの中身がぶら下がっていますが、修理工場で運搬用に使っていたものでしょうか。
▲ モーターを運搬?
一番奥にジオラマのコーナーもありました。模型を運転することもあるのでしょうが、この日は入り口に鍵がかかっていて、近くに行くことはできませんでした。
▲ ポルトの街を再現したジオラマ
実は、博物館より面白そうなのが、隣の車庫です。191号は、博物館の展示車両と同様にデッキの扉が無く、正面に大きな救助網を付けて待機中です。 一般営業用ではなく、観光用でしょうか。
▲ 博物館の隣の車庫の中
近くにいた職員に、写真を撮っても良い?と聞いたら、OKと言ってくれたので、車庫の中に入ろうとしたら“ダメ”と制止されてしまいました。外からなら写真はOKという意味だったのでしょう。車庫の中には廃車と思われる車両がたくさん保管 されていています。復活するチャンスはあるのでしょうか。
▲ 車庫内の廃車体?
19世紀から20世紀前半のトラムををご紹介しましたが、ポルトでは21世紀になってメトロの路線が開通しました。旧市街は地下路線ですが、それ以外では専用軌道、一部併用軌道もあります。車両は低床のLRTそのものです。
▲ ドン・ルイス一世橋を渡るポルトのトラム
ポルトトラム博物館の詳細は、http://www.museudocarroelectrico.pt/へどうぞ。