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旅の車窓から

ルクセンブルグ

ドイツ南西部の街トリールから、ドイツ鉄道の地域急行で国境を越えてルクセンブルグへ。市内観光の後、翌日はベルギー国鉄のインターシティーに乗ってブリュッセルに向かう列車の旅にご案内します。

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ドイツのトリールから列車でルクセンブルグへ

2011年の5月に、中国国際航空の正規割引航空券で、ドイツからルクセンブルグを経てベルギーへ行きました。ブリュッセルなら、パリの方が便利ですが、北京からの深夜便があり、翌朝着けば朝から行動できて1泊分のホテル代も不要になることからフランクフルトにしました。

ドイツ鉄道DBのホームページで、フランクフルト空港駅からコブレンツ乗り換えでルクセンブルグまで、インターシティーの指定席を早割でネット予約していたのですが、飛行機の遅延で乗り遅れる羽目に。

フランクフルト中央駅まで戻ってインターシティーでコブレンツへ、ローカル列車に乗り換えてトリールまでやってきました。

ルクセンブルグ大公国は、東はドイツ、南はフランス、西と北はベルギーに接する立憲君主国。オランダ、ベルギーとともにベネルクス三国として知られています。神奈川県ほどの面積に50万人ほどの人々が住み、首都はルクセンブルグ市。ルクセンブルグ語、フランス語、ドイツ語が公用語ですが、ルクセンブルグ市では中央駅がガーレですから、街中の看板はフランス語のように思います。

この国は、かつては鉄鋼業で栄えましたが、今はユーロ圏の国際金融センターや情報通信産業の中核となり、小さな国ですが購買力平価ベースで計算した一人あたりの国民総所得が世界一の豊かな国です。鉄道は、ルクセンブルグ国有鉄道で、ルクセンブルグ中央駅にはドイツ、フランス、ベルギーの列車が乗り入れ、国際色豊かです。

※ 2ページの末尾にそれぞれリンク先を設けました。詳しく知りたい方はご利用ください。

 


ルクセンブルグ行き国際列車

トリールの駅で待っていたルクセンブルグ行きの地域急行は、ディーゼルカー2両編成の質素な国際列車です。コブレンツからのローカル列車が遅れたので、すぐ後を追ってきたコブレンツからの地域急行が入線して来ます。

大急ぎで乗り換えですが、地域急行はすぐに乗り換えできるよう向かいのホームに到着しますが、下車したローカル列車のホームからは遠く、急いで乗り換えます。重い荷物があったので、ホームのエレベータのありがたさが身にしみます。

DB地域急行の二等車内 一等車も二等と同じシート

車両の外観写真を撮っている余裕はなく、わずかな乗客を乗せて定刻から数分遅れて発車です。後ろの車両にディーゼルエンジンが付いていて、クロスシートの二等車と、運転台よりに跳ね上げ式ロングシートの自転車スペースが、前の車両にはエンジンはなく、二等車と自転車スペースの間に狭い一等室があります。シートそのものは一等も二等も同じで、違いは一等はシートピッチが多少広く、枕の部分に赤いカバーが掛かっている程度です。

折りたたみ式ロングシートの自転車室 モーゼル川を渡る

車掌が検札にきます。列車は各駅に停車し、3つ目の駅で南に向かう路線と別れて西に向きを変え、モーゼル川を渡ります。モーゼル川に沿って進み、ちょっと大きな駅でドイツ鉄道の車掌からルクセンブルグ国鉄の車掌に交代します。二度目の検札。どうやら国境を越えたようです。

ルクセンブルグに入国したようだ ルクセンブルグの国電

川から離れ、緑の中を進んだ先の駅で、CFLと書かれたフランス顔のルクセンブルグの国電と出会います。乗ってくる乗客の言葉が変わったような気がします。

ここから先は小さな駅は国電に任せ、ドイツ鉄道から乗り入れの地域急行はやっと急行らしい走りになります。線路は単線になったり複線に戻ったり、複線も右側通行だったり左側通行だったり。

車窓にルクセンブルグ旧市街が見えてきた ルクセンブルグに到着したドイツ鉄道の地域急行

途中駅でドイツ鉄道のインターシティーと交換します。飛行機が遅れなければ乗る予定だったインターシティーが、ルクセンブルグで折り返してドイツに戻るところのようです。

トリールを発車してから西に向かって1時間近く。車窓に台地と谷間に広がる都市が見えると、北から来る線路と合流して、終着ルクセンブルグ中央駅に到着です。予定していたインターシティーなら正午前に到着のはずが、3時間遅れです。やれやれ。

ルクセンブルグ国鉄のインターシティー インターシティーの制御客車

駅には、電気機関車のプッシュプルで走るルクセンブルグ国鉄のインターシティーや、フランスから乗り入れの列車も見えます。まずは、駅で翌朝のベルギーのゲントまでの乗車券を買おうとしたら、国内線と国際線で出札が別の部屋らしく、よくわからずに行ったり来たりに。駅構内のツーリストインフォメーションで地図をもらってホテルに向かいます。

 


ルクセンブルグ旧市街へ

駅近くのホテルにチェックイン後、メインストリートのリベルテ通りを歩いて10分ほどの旧市街に向かいます。金融立国ルクセンブルグを象徴するように、各国の銀行が建ち並ぶ賑やかな通りに面した公園では、親子連れがひなたぼっこ。フランスのパリ市内で見かけたのと同じレンタサイクルもあります。

駅近くの公園と親子連れ
パリと同じレンタサイクル 渓谷に架かるアドルフ橋

やがて通りは高さ46mアドルフ橋で、ベトリュッス川が刻んだ深い渓谷を渡り旧市街に入ります。渓谷に比べると川そのものの幅は狭く、両側は緑豊かな木々に覆われた公園のようにになっていて、橋の手前から渓谷に降りる道がついています。

渓谷にせり出した一段高いところが憲法広場 憲法広場からみた渓谷とアドルフ橋

ルクセンブルグ旧市街は、その古い町並みと要塞群が世界遺産に登録されています。ここからの眺めは、三方をアルゼット川とベトリュッス川の渓谷に囲まれた要塞都市であることがよくわかります。

ベトリュッス渓谷 憲法広場の中心に建つ第一次世界大戦慰霊塔

橋を渡ってすぐ、渓谷に突き出た憲法広場の中心には、第一次世界大戦の慰霊塔が建っています。その上には金の女神像が。

 


ノートルダム寺院

憲法広場の先には、17世紀に建立されたイエズス会の教会、ノートルダム寺院があります。尖塔に特徴のあるルクセンブルグで一番大きな教会で、現在の建物は第一次世界大戦後の再建だとか。

ノートルダム寺院

ドアを押して中に入ると、豪華な祭壇、可憐なステンドグラス、聖母マリア像、壁や天井のフレスコ画。いずれも、目を見張る美しさです。

ノートルダム寺院とその内部