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元朗と屯門をむすぶ軽便鉄路

バスターミナルの前の通りをオレンジ色の外吊り3扉にステンレスの車体を輝かせ、先頭と後部が白とオレンジ色に塗り分けられた真新しい電車が行き交います。私がここを訪れる前年の1988年に開通したばかりの軽便鉄路です。

当時は現在のような低床車の技術はありません。先頭部がメルボルン市電によく似たオーストラリア製の電車は、路面電車ながらステップはなく、都電荒川線のように高いホームから乗り降りします。

 

軽便鉄路の始発 元朗のターミナル

バスターミナルから東へ、電車通りの商店街を15分ほど歩くと、町はずれに元朗の電車のターミナルがあります(今ではここもバスターミナルを併設しているようです)。ヨーロッパの路面電車のような片運転台ですから、終点ではループ線をぐるっと回って向きをかえています。ホームに券売機があり、ヨーロッパのようなゾーン制の運賃制度を取り入れています。

ホームに改札口はなく、運転手も運転に専念して運賃の収受は行いません。2両編成でも運転手一人だけ。運賃の支払いは乗客の自主性に任せるヨーロッパ方式です。途中駅で私服の係員が検札に乗ってきました。

元朗市内は併用軌道 元朗の市内を走る屯門行の電車

電車の車内は前向きに固定されたプラスチックのシートに、黒いプラスチックの玉のついたつり革と、九広鉄路とよく似ています。後年になって、日本の川崎重工製の車両も入ったそうです。

屯門(ツェンムン)行きの電車は、元朗の街中をはずれると専用軌道になりスピードも上がり、一路南西に向かいます。途中には大規模な高層団地がいくつもあり、本線からその中に何本もの枝線が分岐しています。方向幕には行き先のほかに系統番号も表示され、運行系統はたくさんあります。

やがて、街に入り、私たちの乗った電車は終点屯門のフェリーターミナルである屯門碼頭に到着しました。

 

荃湾から尖沙咀へ

屯門碼頭から再び東に向かう荃湾(ツェンワン)行きの二階建てのバスに乗ります。バスは途中から高速道路に入り、快調にとばします。

荃湾は地下鉄の西の終点。ここから九龍の中心街を通って香港島の中環(セントラル)をむすぶ地下鉄荃湾線が出ています。電車は九広鉄路によく似たアルミ製で、やはりコイルバネの先にプラスチックの玉についたつり革がならんでいます。シートはピカピカのステンレスのロングシート。クッションはなく、電車がブレーキをかけるとおしりが滑っていきそうです。

尖沙咀彌敦道 香港名物の大看板と二階建てバス 九龍と香港島をむすぶ市民の足 スターフェリー

このまま乗っていれば、海底トンネルをくぐって香港島まで行けるのですが、九龍一の繁華街尖沙咀(ツィムサーツィ)で一旦下車して、昼食をっとってから天星小輪スターフェリー)で海を渡りました。

1989年当時のスターフェリーは、1階の2等が0.6HK$(約10円)、2階の1等は1HK$位だったでしょうか(現在では2等が2HK$だそうです)、海底トンネルに割増運賃のあった地下鉄に比べて数分の1ときわめて安く、いつも満員でした。わずか10分たらずですが、潮風を浴びて気持ちよい船旅です。


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