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エギーユ・デュ・ミディ頂上駅

ロープウエーの頂上駅からエレベーターで上がった展望台からは、ヨーロッパ最高峰、標高4807mのモンブランをはじめ、4000mを超えるシャモニー針峰群が一望できます。白銀の尾根づたいにモンブランを目指す人々が、ゴマツブのような黒い点に見えます。

8月とはいえ、展望台では雪がガチガチに凍り付いていて気温は氷点下、風が強くて体感温度は真冬の北海道なみです。レストランのコーヒーで身体を暖めました。

ヨーロッパ最高峰 標高4807mのモンブラン 白銀の尾根をモンブランに向かう人の列

ここからゴンドラを乗り継いで、イタリア側に降りることも可能です。ロープウエーの国際線とは、さすがにヨーロッパアルプスです。ちなみに、モンブランの下にはフランスとイタリアを結ぶ幹線道路のモンブラントンネルが通っていて、路線バスに乗ってフランス側に戻ってくることもできます。

 


フランス国鉄コル・デ・モンテ線

首都パリからシャモニーへは、TGVでスイスのジュネーブまで行き、路線バスに乗り換えて1時間半程度ですが、シャモニーまで鉄道を利用する場合は、TGVでアヌシーまで行き、標準軌の在来線でサンジュルヴェへ、その先は軌間1mの狭軌のフランス国鉄コル・デ・モンテ線に乗り換えます。最急勾配は1000分の90でラックレール区間はありません。

コル・デ・モンテ線のシャモニー駅には架線が張られていません。でも、ここにやってくる2両編成のモンブランエクスプレスの車両は電車で、屋根にはパンタグラフは付いているのですが降ろしたままです。よく見ると2本のレールの外側にもう1本のレールがあります。大阪市の地下鉄の多くの線と同じ直流750Vを、地下鉄のように第三軌条から集電用しています。

SNCFのモンブランエクスプレス 線路のそばに集電用の第三軌条 シャモニー駅での列車交換

シャモニーの街中には踏切もあり、道路の部分は第三軌条は切れていますが、踏切のすぐ先から第三軌条が始まっています。ドクロマークを付けて危険と (フランス語なのでおそらく)書いた看板が掲げてあるのですが、線路に入り込んだ子供が感電事故に巻き込まれる危険がないか心配します。個人主義の西欧と日本では責任の持ち方の考えが異なるのでしょう。

SNCFフランス国鉄コル・デ・モンテ線は、スイス国境でスイスの私鉄マルティニ・シャトラール鉄道に接続しており、国際的な相互乗り入れをして、マルティニ駅に至ります。 マルティニでは、スイス国鉄のジュネーブ、モントルーを経てブリークに向かう国鉄線に接続します。マルティニ・シャトラール鉄道には、ラックレール区間や架線集電区間があるため、 モンブランエクスプレスはそのための装備を持っています。

 

シャモニー・モンタンヴェール鉄道

国鉄シャモニー駅の裏手には、私鉄のシャモニー・モンタンヴェール鉄道の登山電車の駅があります。この駅には珍しく改札口があり、乗客の切符をチェックしていました。

シャモニーからメールドグラスの氷河を望むモンタンヴェールまで、5km余りの距離で900m近い高低差を20分程度で登ります。最急勾配は1000分の220で、2本のレールの間にはシュトルプ式のラックレールが敷設されています。

電化前に使われていたSL シャモニー・モンタンヴェール鉄道の電車

駅前には、電化前に使われていた蒸気機関車が傾斜を付けて展示されています。勾配区間で水平になるように、ボイラの部分だけが前のめりになっているのであって、決して古くなって折れ曲がってしまったのではありません。

予備車でしょうかディーゼル機関車や貨車もいた 幹線道路から見上げるメルードグラスの氷河

電車は、電動車が勾配の下側に付き、一回り小さな制御車を押し上げます。電動車と制御車で大きさが違うのは、電化前の客車を制御車に改造したのではと見受けました。予備車でしょうか、ディーゼル機関車が運転台付きの客車と貨車を連結して停まっていました。

モンブランエクスプレスとシャモニー・モンタンヴェール鉄道は、こちらでも紹介しています。

 


旅のヒント

スイスのオマケでフランスのシャモニーに立ち寄りました。北側がスイス、南側がフランスの東西に長い国境の湖、レマン湖のスイス側の湖畔に建つシオン城に立ち寄ってから、バスで湖の東側を回り込んで国境を越えてシャモニーに入り、再びバスで湖の西側で国境を越えてスイスのジュネーブに戻りました。

まだ通貨がユーロになる前で、シャモニーの街中ではフランスフランとスイスフランの両方が使えました。フランスフランに両替する必要がなくて助かりました。おそらく今ではユーロとスイスフランの2本建てとなっているのでしょう。

鉄道でシャモニーに来る人は、おそらく少数派でしょう。SNCFフランス国鉄のモンブランエクスプレスは狭軌の小さな電車の2両編成です。でも、これが乗り入れるスイスの私鉄、マルティニ・シャトラール鉄道にはラックレールの急勾配区間もあり、車窓には深い谷を見下ろす絶景が楽しめるとのことです。

次に訪れる機会があれば、日程に余裕を持たせて、スイス国鉄のマルティニ駅でマルティニ・シャトラール鉄道に乗り換えてと、夢は続きます。

2000年8月旅
2003年9月記

 


お役に立つリンク集

これからお出かけになる方や鉄道ファンの方に役立ちそうなリンクをそろえました

 


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