HOME  1/4page  2/4page  3/4page  4/4page


南口駅

土曜の朝だからでしょうか、車内は一部に空席はあるものの、混み合っています。中国の列車は、こんな鈍行でも全車指定席のはずです。でも、それは始発駅だけ。途中駅から指定を受けることはでき ません。座席は片側4人、通路をはさんで6人がけのボックス席です。とりあえず今ある空席に指定券を持った人は来ないだろうと思い座ります。

車掌に“八達嶺長城”と書いた紙を示して車内で切符を購入します。1人4.5元(70円)の切符とは別に1元要求されました。車内で発券する手数料でしょうか?

隣のホームにオレンジと白に塗り分けた空調普快の呼和浩特行きが入線してくると、入れ違いに発車です。こちらは各駅に停車する普慢。15分後に北京北を発車する空調普快は、 我が普慢が2駅目の清河駅に26分も停車している間に追い抜いて行きます。清河では大勢乗車してきて、車内は満席になります。

南口で普快と交換 南口駅でしばし停車

5つ目の停車駅南口は八達嶺までの間では最も大きな駅で、空調普快と列車交換です。わが鈍行は、ここまで41kmに1時間半を要しています。 ここでもホームには大勢の人が待っていて停車と同時に入り口に殺到します。

13分の停車時間があるので、同行者にカバンを置いて座席のキープを頼んでからホームに降りてみました。写真を撮り、ホームのワゴンで水を買って車内に戻ると、もう席が ありません。隣の中国人のおじさんがこの席は戻ってくると言ってくれたのに、強引に座ってきたそうです。あと1時間半近く立ちん坊かと思ったのですが、立ち退いてくれました。おじさんに“謝謝”とお礼を言います。

ホームに売店のワゴンもやってくる 車窓に万里の長城が見えてきた

南口の次の駅、東園を過ぎると車窓に万里の長城が見えてきますが、八達嶺はまだ先です。上り坂にかかったのか、列車の速度が落ちてきます。高速道路と併走する区間で、長城とともに居庸関が見えます。 居庸関はかつての関所跡で、最近になって建物が復元されたものだそうです。

列車は居庸関の近くを通り抜け、短いトンネルをくぐると居庸関駅に停車しますが、ここで途中下車をすると八達嶺へ向かう列車は明日のこの時刻までありません。

服務員が車内販売のワゴンを押して通る 青龍橋駅では立ち客もいっぱい

1両に1人ずつ乗務している服務員が車内販売のワゴンを押して回ります。飲み物やお菓子のほかに、ヒマワリの種カップラーメンも売っています。中国の長距離列車では、テーブルの上 をゴミだらけにしながらヒマワリの種を食べていたり、服務員からお湯をもらってカップラーメンを昼食にしている乗客をよく見かけます。中国人の真似をしてみた くて、ヒマワリの種を買い込んでいたのですが、この短距離列車では誰もカップラーメン食べていないのと、満席で立ち客もいるので、お菓子だけにしておきました。

 

八達嶺駅

列車は勾配を登り10番目の停車駅、青龍橋に到着します。この駅はスイッチバックになっていて、列車の進行方向が変わるため、機関車を切り離して反対側に付け替えます。

その様子を写真に撮ろうと思い、ホームに降りようとしたのですが、服務員が“ダメ”と言って(多分)ドアを開けてくれません。ここはまだ八達嶺ではないよと、親切に言ってくれていると解釈して、おとなしく車内に残りました。

八達嶺駅に到着した7173次普客 新しい八達嶺駅舎

青龍橋駅を発車した列車がトンネルを抜けると、11番目の停車駅八達嶺です。11時05分の定刻に到着します。北京北から62kmに2時間50分を要し、7371次普慢列車の 表定速度はわずか22km/hです。

ここで数十人が下車しますが大半の乗客はまだ先まで行きます。八達嶺で下車した乗客に、外国人は私たちだけのようです。でも、同じ中国人の乗客でも、ここで降りる観光客とその先まで乗車していく乗客とでは、服装が違いますね。

 


八達嶺長城

八達嶺駅のホームに降りたとたん、冷たい風に震え上がります。3月とはいえ、ここは北京市内と違い昼間でも気温は氷点下でしょう、ホームの雪はガチガチに凍っています。

八達嶺駅には新しい駅舎ができていますが、ここに停車する列車は1日に上下1本ずつのみ。中国国鉄は、北京オリンピックに来る観光客をこんな列車に乗せようと思っているのでしょうか。それとも、北京北駅にホームを増設していたこともあり、オリンピック期間には臨時の快速でも走るのでしょうか。

駐車場の奥にロープウエー乗り場 万里の長城に登るロープウエー

八達嶺駅からバスが通る上り坂の道を行くと、右手に西側の長城に登るロープウエーが見えますが、強風のためでしょうかゴンドラが動いていません。さらに行くと右手に919路(919系統)のバスの折り返し点があり、北京に向かうバスが満員の乗客を乗せて発車していきます。

さらにその先の左手に、いかにも中国という門があり、その前に有料トイレが並んでいます。このまま道をまっすぐ行くと万里の長城の入り口の料金所がありますが、左手の門をくぐった駐車場の奥に東側の長城に登るロープウエー乗り場があります。

八達嶺長城 東側で登れる一番高いところ

ロープウエーは片道40元、往復60元ですが、長城を歩いて下まで降りるため、登りだけの片道にします。ロープウエーを下車するとまた料金所があり、長城に入るには35元かかります。土曜日ということもあってか大勢の観光客で賑わっていますが、列車で来た人など千人に一人もいないでしょう。

この付近の長城は明代に北方遊牧民族の侵入を防ぐために、石とレンガで築かれた堅牢なもので、北側の城壁の縁は一段と高くなっていて銃眼が開けられています。

うねうねと龍のように長城が続く ジェットコースターのような乗り物も

長城には、一定の間隔で2階建ての城楼があり、上層は見張り台兼戦闘台、下層は兵士の住居になっていたそうです。

長城を半分ほど下ると、ジェットコースターのような乗り物があります。ロープウエー以外にも、これに乗って中腹まで登ってくることもできるようです。